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中環審小委員会が7月28日に初会合

積極的に取り組む静脈企業の認定制度を創設?

中央環境審議会循環型社会部会に設置された「静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会」の初会合が7月28日に開かれました。

同小委員会では現在環境分野で課題となっている脱炭素と資源循環の統合を加速し、静脈産業の脱炭素型資源循環システムを構築するための具体的な施策のあり方について議論していきます。

資源循環における背景・問題意識

一言で言えば、「どうしたら静脈産業で脱炭素化が進められるか?」を議論するのが趣旨。

一部では「積極的に取り組む静脈企業を認定する制度を創設する」という先行報道もあり、注目を集めていました。

 28日の初会合ではまず、環境省環境再生・資源循環局の角倉一郎次長が、「現在政府においては2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みをあらゆる分野で進めているところですが、資源循環についても極めて重要な政策課題だと考えています。さらにカーボンニュートラル、資源循環、この二つは切り離して考えられるものではなく、相互に深く関係する政策課題だと考えております。資源循環の取り組みを進めることによって、わが国のCO2排出量を36%分削減することが可能ではないかという試算もあります。小委員会においては年内をめどにご意見を取りまとめていただければと考えており、小委員会の議論を踏まえる形で、われわれとしても資源循環の取り組みを加速化し思い切りアクセルを踏んでいけるよう頑張っていきたい」と小委員会設置の趣旨などを説明しました。


 

2時間の審議会のうち、前半約1時間は「脱炭素に向けた資源循環を取り巻く状況」について事務局(環境省)から説明。


長い説明が終わり、ようやく出してきた議論してもらいたい事項というのが、「脱炭素と資源循環の統合を加速していくためには、どのような制度支援が必要か」ということ。議論を行う上での観点としては、以下の3点を挙げました。


① 今後の我が国の資源循環を考える上で、特に考慮しておくべき状況として他に(当日説明した以外に)どのようなものがあるか(国際状況、国内状況など)

② 静脈産業の脱炭素化の取り組みとして特に注目すべき取り組みにはどのようなものがあるか(動静脈連携、地域の資源循環、処分工程の脱炭素化、再エネ設備の適正処理など)

③ 脱炭素化と資源循環を進めるために、静脈産業はどういった情報をどのように発信することが必要か(発信すべき情報の内容、手段、頻度など)

具体的な支援策の案や議論のたたき台などは一切出てこず、やや肩透かしを食ったような感じでした。

委員たちも初回とあってか、手探り状態で意見を述べている印象でした。

そんな中で、ある委員から「静脈産業の積極的な取り組みがなければ循環の輪は成り立たないが、廃棄物処理法が厳格でなかなかそのパフォーマンスを発揮できないこともあります。きちんとやってきた業者を認定するような制度を作っていくということも十分に考えられるのでは。認定を受けた業者は都道府県の許可や保管の期間などが優遇されるようになれば、効率的でコストに見合うリサイクルになっていくはず」といった意見が出ました。

認定制度という言葉が出てこなかったので委員があえて言ったのか、それとも環境省が委員の口から言わせたかったのかは、わかりませんが…今後は認定制度創設に向けた議論になっていくのでしょうか。

小委員会は年内には取りまとめを行う計画です。

今回の小委員会の委員名簿をみると、それほど斬新な顔ぶれではなく相変わらず学者さんが多いな、という印象を受けますが、それでも多少変化を感じました。


それは、17人の委員のうち、6人が女性ということ。まだまだ男性の割合の方が多いですが、以前の国の審議会、委員会というと男性ばかり、女性はいても1、2人ということが多かったので、環境省の女性を登用しようという姿勢が見て取れるのではないかと思います。


そんな女性たちの中で、個人的に特に注目したいのが、初めて国の委員会の委員に選ばれた武本佳弥さんです。

静脈産業界内でマルチな活動をしている武本佳弥さん

武本さんは人材育成会社を経営する傍ら、全国産業資源循環連合会女性部協議会では世話人兼事務局、兵庫県産業資源循環協会では女性部会と青年部会の副会長を務めるなど、マルチな活躍をされています。そして、何より実家がスクラップリサイクル業を営んでおり、現場の実務のことを良く知っていることが大きいです。

これまで資源循環などについて議論する国の会合に参加するのは、学識者や動脈側がほとんどで、資源循環の真の担い手である静脈産業はいつも置いてけぼり。

今回の委員にもなっていますが、産廃処理業界からは全国産業資源循環連合会の専務理事が委員に名を連ねることが多いです。もちろん全産連の専務理事は廃棄物政策や業界のことを大局的に見ることはできるでしょうが、環境省の出身であり、処理業の実務を経験しているわけではありません。

そういう意味では現場を知る委員であり、さらに女性目線できめ細かく物事を見ることができる武本さんには、新しい風を巻き起こしてほしいと期待しています(あまりプレッシャーかけても良くありませんが 笑)。

今回も現場の状況について丁寧に説明されていました。
いずれにして、この小委員会の議論の成り行き、今後も注目していきたいです。

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