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全産連女性部協議会が初の集合型総会
真の循環型社会を実現するためには
産業廃棄物処理業というと、一昔前は不法投棄など一般にはとかく悪いイメージがつきまとっていました。また、3Kなどと言われ、男社会の印象が強い業界でした。
しかし、最近ではSDGs、サーキュラーエコノミー等が注目される中で、廃棄物処理業から資源循環業への進化が進み、資源循環型社会の重要な担い手として、世の中の見方も変わりつつあります。
そうした流れに合わせて、まだまだ男性が大勢を占める業界ではありますが、最近では女性経営者も目立ち始め、環境ビジネスに取り組む企業として就職先に選択する女子学生も増えてきています。
これから真の循環型社会を実現するためには、女性ならではのきめ細かい視点は不可欠でしょう。
全国産業資源循環連合会女性部協議会が総会を開催
そんな時代の流れを象徴するような組織が、昨年11月に誕生。産業廃棄物処理、資源循環業界の業界団体である「全国産業資源循環連合会」に、「女性部協議会」が発足しました。
同女性部協議会はオンラインによるコミュニティサイトでの活動を核としてはいますが、実践研修会などリアルでの事業も行っており、今年6月16日に東京都港区の明治記念館で初めての集合型総会となる第1回通常総会を開催しました。
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総会では、22年度活動および収支報告、今年度活動計画および収支予算案の承認などが行われました。
二木玲子会長の挨拶
開催にあたりあいさつした同女性部協議会の二木玲子会長は、「昨年11月の設立から7カ月が過ぎ、当時13都府県にあった女性部は現在17都府県となりました。そしてここはコミュニティサイトということで女性部がなくても参加できるのが特徴で、コミュニティサイトの登録者数も100名を超え、一つの区切りをつけてまた次のステップに進めると思っています。
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4月には京都で観光は一切なしの実践研修会、5月には環境省の仲立ちでファッションロスをテーマにJSFA(ジャパンサステナブルファッションアライアンス)と話を始めるなど、女性目線で新しい活動が、これからできていくのかと楽しみに思っています」などと話しました。
全国女性部協議会の活動
昨年11月18日の設立総会の際には第1回全国女性部会のつどいをオンラインで開催。多様な人材を活用する企業の事例紹介や、ブレイクアウトルームに分かれての交流などを行いました。
今年度は親会の全産連などが主催する産廃全国大会の開催に合わせて、11月10日に都内で第2回つどいを開催する計画です。
今年4月19、20日には実践研修会を京都府で開催。従来の産業資源循環協会が行っている施設中心の視察ではなく、「多様な人材の活用」や「地域循環共生圏」に焦点を当て、廃棄物処理業だけでなく多様な人材が働きやすい環境づくりに取り組む異業種企業も視察先に加えた女性部会ならではの研修会となりました。今後も年1回程度各地で研修会を行っていく方針です。
また、今回の総会も女性らしい趣向を凝らしたものとなりました。
従来のカタチとは違う女性だからこその趣向
従来総会というと夕方に行いそのまま懇親会でお酒を酌み交わすというイメージが強いですが、女性部協議会の総会は午前11時30分にスタート。総会終了後はランチ会を行い、その後環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課の影山凡子課長補佐を迎えてトークセッションも実施しました。
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これは、影山氏が4月に女性部協議会が行った実践研修会に参加したことから実現したもので、進行役の武本佳弥同女性部協議会世話人兼事務局を相手に、環境省に入省したきっかけ、国連への出向や米国留学時のこと、日本の廃棄物処理業界への期待など、約1時間のトークを繰り広げました。
総会に所管省庁の幹部等を呼んで話をしてもらうということはよくありますが、インタビュー形式でこれまでの経験で得たものなどを聞くというスタイルはあまりなく、斬新な試みとなりました。
環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課の影山凡子課長補佐
実践研修会に参加した感想について影山氏は、「私たち廃棄物規制課は、廃棄物処理法の運用は当然ですが、先進的な取り組みをされている方やその取り組みをもっと後押しするにはどうしたら良いか、循環経済と脱炭素を前に進めていくためにはどのようなことができるのかを課の大事な仕事と考えています。そんな中で私はなかなか経営者の皆さんと長い時間ご一緒する機会が今までなく、皆さんが廃棄物事業だけでなく広い視野でいろいろな分野の新しい取り組みを吸収して、自分たちもさらに進んだことをできないかと模索されている姿には学ばせていただくことが多く、濃密な2日間でとても勉強になりましたし、何より楽しかったです」と話していました。
さいごに
これからも同女性部協議会が、資源循環業界に新しい風を吹き込んでいくことに期待し、注目していきたいです。