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ここでしか得られない〝愛媛のたのしみ〟を0 から体験

環境省などが推奨しているZEB

環境省などが推奨しているZEB(ゼブ)というのをご存じでしょうか。

Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことを言います。

建物の中では人が活動しているため、エネルギー消費量を完全にゼロにすることはできませんが、省エネによって使うエネルギーを減らし、創エネによって使う分のエネルギーをつくることで、エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにすることができます。

ZEBは達成状況に応じて4段階に定義

ゼロエネルギーの達成状況に応じて、以下の4段階のZEBシリーズが定義されています。

① 『ZEB』(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ゼブ))

省エネ(50%以上)+創エネで100%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物

② Nearly ZEB(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ニアリー ゼブ))

省エネ(50%以上)+創エネで75%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物

③ ZEB Ready(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・レディ(ゼブ レディ))

省エネで基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物

④ ZEB Oriented(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・オリエンテッド)

延べ面積10000㎡以上で用途ごとに規定した一次エネルギー消費量の削減*を実現しさらなる省エネに向けた未評価技術(WEBPROにおいて現時点で評価されていない技術)を導入している建物
 *環境省サイト ZEB PORTALより

最近さまざまな建物がZEB認証を受けていますが、なかなか達成が難しいとされるのが「ホテル」。

常に人の出入りがあって、オフィスのように就業時間が終わったら消灯というわけにはいかず、空調等で省エネを図るのも、お客さんに快適に過ごしてもらうという観点からなかなか難しい。

また、都市型のホテルは縦型の高層ビルが多く、屋上に太陽光パネルを設置して創エネというのもスペースの関係等であまり適しません。
こうした理由から、ホテルのZEBは進んでいないのが現状です。

「日本一美味しい水」のまちで5月末にオープン

そんな中、日本のホテルで初めて『ZEB』(上記4段階の①)認証を取得したゼロエネルギーホテル「ITOMACHI HOTEL 0(ゼロ)」が、愛媛県西条市で5月27日にオープンしました。

同ホテルは西条市に新しく誕生した「いとまち」街区に集まる人びとのための、参加型プロジェクト「糸プロジェクト」の一環で建設されたもので、現在国内外から大きな注目を集めています。

北に瀬戸内海、南に西日本最高峰の石鎚山を望む西条市は、日本一美味しいといわれる水が湧き出る水の都。

山から流れる伏流水が地下水脈に満ち、市内各所に「うちぬき」と呼ばれる水が湧き出ています。豊かな伝統的食文化もある美しい街ですが、近年は他の地方都市同様人口減少が深刻な問題となっていました。そうした状況を打破し、賑わいのある街をつくることを目指してスタートしたのが糸プロジェクトで、プロジェクトは「エネルギー」「テクノロジー」「グリーンインフラ」「食」「建築」をキーワードとしていて、ホテルに先行して2020年8月には地産地消をテーマにした食の複合施設「いとまちマルシェ」がオープン。

同施設の屋根には太陽光パネルが設置されており、ZEB Readyの認証を受けています。


 このプロジェクトの一環として、今年5月に開業したITOMACHI HOTEL 0は、ホテル運営で実質的に電力エネルギーを消費しない初の「ゼロエネルギーホテル」を実現しました。

事業主は、西条市の創業で、グローバルでの半導体関連機器製造を中心に、近年は再生エネルギーや地方創生・まちづくり事業も展開するアドバンテック。

設計は著名な建築家・隈研吾氏の隈研吾建築都市設計事務所。

企画・運営は「SORANO HOTEL」「白井屋ホテル」「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」など国内外で話題のホテルを多数手掛けてきたGOODTIME(東京都渋谷区)が行っています。

このホテルは、都市型の高層ホテルと異なり地上2階(HOTEL棟)と地上1階(VILLA棟/RECEPTION CAFE棟)で屋根が多く、客室数57室(HOTEL棟50室、VILLA棟7室)という作りだったことから、屋根に太陽光パネルを設置しての創エネが実現しました。

 屋根に太陽光パネルを設置して発電

アメニティなどにもこだわり 「愛媛のたのしみ」感じられる仕掛け

同ホテルを訪れた人は、ゼロエネルギーの仕組みが一目で理解できるインフォグラフィックスやエネルギー循環を学べる体験ツアーなどを通じて、知的好奇心を刺激しながら、日々の暮らしを支えるエネルギーへの新たな気づきを得ることができます。

また、ホテル名には「ここでしか得られない〝愛媛のたのしみ〟を0から体験してほしい」との思いが込められており、日々当たり前のように使用するエネルギーと向き合うきっかけを提供しながら、ここにしかない「愛媛のたのしみ」を感じられる仕掛けが用意されています。

館内のインテリアとランドスケープデザインはDugout Architectsが手掛け、西条市でみられる自噴井「うちぬき」や、約2億年前に海底に堆積した岩が日本列島のできる地殻変動の際に隆起し地表に現れた「伊予青石」の美しい色合いをモチーフにデザインされています。

森林から供給される木質由来の再生可能な非可食バイオマスを使用したTarkett社の再生塩ビシートやジーンズの端切れを活用したSTELAPOP社の天板、再生ガラスを活用したベンチなど、館内のさまざまな場所に素材の循環を感じる工夫が施されています。

ホテル内のRECEPTION CAFÉでは、地元愛媛の産地から仕入れた旬の野菜や果物を使った食事をデリカテッセンスタイルで提供しています。

アメニティにもこだわっており、客室には国の伝統⼯芸品に指定される砥部焼の窯元「遠藤窯」によるホテルオリジナル湯呑・急須(⼀部客室のみ)、愛媛県松⼭市で⾖からこだわった⼀杯を提供する「ICOI COFFEE」によるオリジナルドリップパック、愛媛県で90年以上も愛される⻄条発の銘菓「たぬきまんじゅう」(HOTELタイプのみ)などが用意されています。

実際に宿泊して見て…

今回このホテルで先日実際に宿泊体験させてもらいました。

ゼロエネルギー、環境にやさしいということよりも、まずは「快適で心地よく、地域ならではのものを感じることができる楽しい空間」というのが感想です。

客室は快適でくつろげる空間

ホテルの中庭には水のまち西条市のうちぬきをイメージしたモニュメントがあり、猛暑の中にも涼しさを感じることができました。

中庭にはうちぬきをイメージしたモニュメント

客室の蛇口も湧水をイメージできるような工夫がされていました。また、客室は快適な空間で、可愛らしいイラストの「たぬきまんじゅう」なども置かれていて癒されます。

客室の蛇口にも工夫が
地元の銘菓「たぬきまんじゅう」などアメニティにもこだわり

楽しみながらエネルギーや環境問題について考えるきっかけも与えてくれるITOMACHI HOTEL 0、機会があればぜひ泊まってみてほしいです。

今回私は一人での宿泊でしたが、家族、友人、恋人などと訪れることをおススメします。

ここでしか得られない〝愛媛のたのしみ〟を0 から体験
日本初のゼロエネルギーホテル「ITOMACHI HOTEL 0」
公式ホームページはこちら

インスタグラムもチェックしてみてください
https://www.instagram.com/itomachihotel0/


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