ゲイの私が推すBLその4・・・二人にとって一番大切なことは? 野田彩子『ダブル』
以前紹介した『ふしぎなともだち』の作者、新井煮干し子さんが、別名(野田彩子)で発表している作品とのことで読んでみました。
ストーリーは・・・
この漫画、ずっとBLとは思わないで読んでました。多家良は映画で共演した女性アイドルと付き合ったりしてたし。
ところが4巻で、多家良は舞台の役作り(つかこうへいの『初級革命講座 飛龍伝』の山崎!)に行き詰まり、以前出演した映画の監督、黒津(最初怖かったけど実はすごい人格者)に相談し、「秘密を持て」とアドバイスされる。多家良は「秘密ならもうあるんです。俺友仁さんが好きなんだ」と、言い出して、びっくり!!(黒津はびっくりしなかったが・・・まあ、二人を見てればわかるとも言える。)
さらに、黒津は「そういうのは思い切りが肝心」(告れってこと?)とアドバイスするが、多家良は激しく拒絶。
一緒に舞台に立ち続けるためには、好きであることを秘密にしなければならない、と思うのは、わかる気がする。
しかし、黒津の言葉がきっかけになって、結局多家良は友仁に好きだといってしまう・・・(ええっ!)
大丈夫?って思ってたら、案の定、友仁は怒りだしてしまう。
これは、友仁が自分自身に言っている、とも言える。
「あー、言っちゃった」って感じなんだけど、二人は、次の日の朝から、普通に生活しています。ほっとしたー。(ただし、お互いになかったことにはしてない)。
二人にとって一番大事なのは、一緒に芝居をすること(と多分ずっと一緒にいること)、そのことは揺るがないと思う。
好きという気持ちと、一緒に演劇をやっていきたいという気持ちを、どうやって両立させるのか・・・
こういう問題は男女でもありうるのでは。漫才コンビとか、仕事を一緒にやってるカップルとか。
この作品、演劇界が舞台なので、役者、マネージャー、演出家、映画監督・・・と、演劇関連の多種多様な人物が登場します。それぞれが「へのへのもへじ」じゃなくて、命が吹き込まれていて、「演劇って面白い」って思わせる。そして演劇ものの漫画に必須の(?)、悪役ライバルや嫉妬で邪魔する人が出てこない。みんな演劇に夢中になっている、ある種理想化された演劇界が描かれています。10代で読んでたら、劇団に入ってたかも。