ゲイの私が推すBL その2・・・ゲイ漫画とBL漫画を両立! ミナモトカズキ『壁サー同人作家の猫屋敷くんは承認欲求をこじらせている』
今回紹介するのは、『壁サー同人作家の猫屋敷くんは承認欲求をこじらせている』(略して『壁こじ』。
ストーリーは・・・
作者のミナモトカズキさんは、もともとゲイ雑誌でゲイ漫画を描いていた方。その後、女性向けの漫画を描くようになり、最近はBLも描いています。また、ゲイとしての自分の体験も漫画にしています。
こうなってくると、BL漫画とゲイ漫画の区別も難しい・・・というか区別に意味あるの?という気がします。
実は、何冊ものBL雑誌が発売されている一方、今、ゲイ雑誌は一冊も刊行されていません。昔は、ゲイ雑誌、何種類もあったのですが・・・
ゲイがBLが描くとどうなるか・・・まだ、そんなに作品数が多くないので、一般化はできないですが、少なくともミナモトカズキさんの作品についていうと、登場人物が多様になっています。二人だけの世界、というよりも、いろんな人がいる世界に二人がいる、という感じ。
先日書いた、『巨乳好きですがBL界に転生しました』の紹介でも書きましたが、『壁サー・・・』のでも、いろんな人が登場します。こちらでは、特にゲイ/BL漫画の同人サークルの人たちが面白かった!腐女子からガチムチゲイ、素朴ゲイ、陰キャオタクと色々います。コミケのあと、その人たちが集まって打ち上げしてるシーンがよかった!ある種のゲイのコミュニティと言えるかもしれません。(腐女子も参加してますが)
そう、BLで描かれないのは、ゲイのコミュニティなんです。ま、ゲイ漫画でも少ないのですが。でもミナモトさんはゲイ雑誌でゲイ漫画を描いてるときから、ゲイの仲間たちを描いていました。
カムアウトやホモフォビアについての表現にもリアリティがあります。なので、これはゲイ漫画なんだ、っていえばそうなのかもしれません。
一方で、猫屋敷と一星の関係も、丁寧に描かれています。そして、猫屋敷にはっきりゲイという自覚があるのに比べて、一星はゲイというわけではなく「猫屋敷が好きなだけ」みたいな設定は、BLぽいとも言えます。猫屋敷がリアルなゲイ担当、一星が、BL人間(ノンケ?なのに男性が好きになる男)という役割分担で、ゲイ漫画でありながら、BL漫画になっているのかもしれません。
実はこの漫画、ドラマ化もされているのです。(登場人物の再現度・・・特に2:08あたりから登場の髭フランボワーズさん・・・・・すごい!)
この漫画・ドラマでは、「表現者の辛さ」も大きなテーマになっています。ドラマで猫屋敷を演じる松岡広大さんのコメント、とても真摯でした。
BL、果てしなく進化してるね。