METAL HAMMER_jp BABYMETAL
ついにBABYMETALは完全体たる3人編成となった。
SU-METAL、 MOAMETAL、そしてMOMOMETALによる新BABYMETALが動き出したのだ。これまでもステージ上での人数は同等だったかもしれないが、それを観ているオーディ エンスの感情、そしてなによりも本人たちの意識は大きく違っているはず。その証拠に、 現在サーキットをしている世界中のどの国でも、これまで以上に大きな反応が沸き起 こっている。
世界を旅し互いを見つめ合うことで、自分たちがBABYMETALというひとつの生命体であるという意識は日を重ねるごとに高まり、その気持ちがパフォーマンスをより強固にしているからにほかならない。それは本ワールド・ツアー中に3人が口にし てくれた言葉のひとつひとつからも感じられるはずだ。
それぞれがそれぞれを信頼し、新たな一歩を踏み出しいまだ見ぬメタルの新天地へ と向かう3人の、包み隠すことのないクリスタルの如き現在の心境とは。
4月1日、横浜は [ぴあアリーナMM] にて、ついにBABYMETALは本来の形と言える“3 人体制”へとその姿を戻した。ピラミッドの側面がそうであるように、古来より3点で構成 される形状は、安定感・形状美・先鋭さ・・・・・・と、物事の調和が最も取れる数として、さまざまな”もの・こと”に採用されてきた。 BABYMETALがそのことを意識して結成され たわけではないだろうが、やはり正面に3人が並ぶそのシルエットは、それが正しいことだと言葉を用いずとも伝えているように感じられる。
もちろん、近年も3人が壇上に並んでのパフォーマンスがほとんど常であり、ステージでの歌唱やダンスに大きな違いはないかもしれない。しかし、それを観ているオーディエンスはもちろん、
SU-METAL、MOAMETALふたりの心境には大きな違いがあるはず。そしてなにより、新生BABYMETAL のメンバー となった MOMOMETAL にとって、それはまったく違う心持ちなのではないだろうか。 今年1月に幕張メッセで行なわれた 《BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -》にて、クリスタルの棺が3基登場することでその予告がなされ、4月1日・2日の2days 開催となった 《BABYMETAL BEGINS THE OTHER ONE -》の初日である1日の、そ のエンディングにて、SU-METAL, MOAMETAL, MOMOMETALからなる新生 BABYMETALがキツネ様によって召喚された。
この瞬間、MOMOMETALはどのようなことを考えていたのだろうか? “
💜MOMOMETAL:やはり、ファンの方に受け入れていただけるかなと、不安な気持ちが一番大きかったです。BABYMETALはこれまでの歴史が長い分、「BABYMETALとは」 というイメージ 画みたいなものが変わっていくことに対して、受け入れたくない方や嫌だなと思う方は絶対にいると思います。正直、私自身も本当に自信がなくて、発表する瞬間を想像するだけで、 緊張して若干震えていましたから。
これまで大舞台においてもなんら不足のないステージングを見せてきた MOMOMETAL だったが、心のなかには不安も抱いていたのだ。そして初日公演当日の最後となる「イジメ、 ダメ、ゼッタイ」が終わり、そのときがやってきた。そこでMOMOMETALは、自分の想 像が杞憂だったことを知る。
その名前——SCREAM & DANCE MOMOMETAL─がヴィジョンに映し出されたとき、オーディエンスからのひと際大きな声が彼女に向けて発せられたのだ。
💙MOMOMETAL:でも発表の瞬間に、想像のはるか上の上をいく大きな歓声が聞こえてきたんです! それはファンの方々にとっても「この瞬間を待っていた」 ・・・・・・そんな感情が溢れ出したよ うな歓声でした。私はあの歓声を聞いたことが本当に自信につながったし、 「MOMOMETAL」という名をいただけたことを本当に誇りに思いました。そして、まさに 公演タイトルにあるように 「BLACK」のモヤモヤした気持ちから、光がさすように「CLEAR」になって、これから走り出していくのがとても楽しみで仕方なくなりました!。
これは MOMOMETAL、そして新たな力を宿した新生 BABYMETALが誕生した瞬間だった。
3人となった新生 BABYMETAL としての 新章のスタートだが、それは当然ながら SU-METAL & MOAMETALのふたりにとっても、その歴史のなかでも忘れることのない大きなターニング・ポイン トとなったはずだ。
💗MOAMETAL:心強いです。ふたりで戦っていたことが、3人で共有できるようになったこ と、楽しいことも嬉しいことも3人で分かち合えること、すごく嬉しいです。背負っていたものが軽くなりました”
と、その心境をMOAMETALは語る。
またSU-METALも新たなチームワークについて
💜SU-METAL: 1番大きな影響だなと感じているのは、MOMOMETAL はポジティブな方向に 引っ張っていってくれる人だなということです。ツアーで疲れていても彼女が空気を明るいほうへと持っていってくれるので、2ヵ月のワールド・ツアーもみんなで楽しく回り切ることができました。
💗MOAMETAL:パフォーマンス面だけではなく、コミュニケーションの部分で も支えてもらっています。横にいてくれると、すごく安心するん です。今も横にいますが、何も話していなくても楽しいです (笑)。 彼女はとても明るい性格で、ときには適当なところもあるんです けど(笑)、一緒にいてとても楽ですよね! BABYMETALのチー ムに加わり、一緒に活動をしていくことを決めてくれた彼女の情 熱と覚悟は、とてもカッコいいと思います。そして本当に感謝し ています。これからも毎日笑顔で、楽しく、ときには真剣に、素 晴らしい時間を過ごしていきたいです。BABYMETALは13年目 になりますが、MOMOMETAL のおかげでフレッシュさも取り戻 せました(笑)。
と、おどけた表情も交えて MOAMETALがつけ加えてくれた。
SU-METAL & MOAMETAL のふたりは現状についてこう語ってくれたが、ではMOMOMETAL にとってのふたりとは?
💙MOMOMETAL:SU-METALの、どんなノリにでも乗ってきてくれるところが 大好きです! すごくくだらないことを言っても笑ってくれるし、 乗っかってきてくれます! 逆に MOAMETALは、いつでも冷静 で的確な鋭いツッコミをしてくれるんです。それにMOAMETAL は本当に物知りなので、いろいろなことを教えてくれます。特に私は忘れっぽいので、「それ、前も話したよ」と言いながら何回でも話してくれます(笑)。
新生BABYMETAとして数ヵ月、
ワールド・ツアーを続ける3人はミュージシャン/アーティストであるとともに、同世代の友人同士としてもすでにそれぞれがお互いを支え合うワンチームとなっているようだ。そんな一枚岩のBABYMETAL だが、高みを目指すが故にメンバー間で衝突をすることはないのだろうか? そんな難しい質問に、MOAMETALが答えてくれた。
💗MOAMETAL:SU-METALとはお互いのことを尊重し、足りないものを互いだがいに補い合ってきた関係です。 だからこれかもぶつかるよえなことはないと思っています。MOMOMETEとはSU-METALほど一緒にいた年月はありませんが、BABYMETALに関わってくれたときから今日まで、嫌だと思ったところがなく、気が合い、 なんでも一緒に楽しめます。BABYMETALは3人とも穏やかな 性格なんだと思います。メンバー3人でいるとひとりくらいは強めの子がいそうですが、みんな穏やかです。誰かが怒り出しても 笑い合って、きっとケンカは成立しませんね (笑)。
彼女の回答からも、やはり今の3人の自然体な関係性が見えてくる。むしろこれは本人たちに聞くまでもなく、ステージでの一体感を見ればわかっていたことでもあるのだが!
本取材時は、欧州〜アジアをツアーしていた BABYMETAL。すでに何ステージとこなしてきた MOMOMETAL だが、ズバリ "ライヴでパフォー マンスするのが一番好きな曲”とは!?
💙MOMOMETAL:
[Road of Resistance」 です!
まさにBABYMETALの代表曲でもあるし、お客さんがサークル・モッシュをする瞬間があったり、会場全体でひとつになれるのがすごくわかる一曲だからで す! それに最初にグループの旗を掲げるところも、お客さんと一緒に歌うところも、間奏で3人一緒に踊るところも・・・・・・とにか く1曲のなかに好きなポイントがありすぎますね!。
勇壮な曲想の「Road of Resistance」 は国内外を問わず特にメタル・ヘッズに人気のナンバーだが、それを間髪なく挙げてくれ MOMOMETALには、やはり間違いなくメタルのハートが宿っている! ぜひ次に目にする公演では、同曲でより一層楽しそうにはじける彼女のダンスに注目したい。またそのダンスのキレでも高い評価を受ける MOMOMETAL そのパフォーマンスについて
💜SU-METAL:MOMOMETAL は新しいダンスの 引き出しをたくさん持っているので、MOAMETALと私で 「MOMOMETALのこんな動き方ができるようになりたい!」っ て教えてもらったりしているんです。
とSU-METALが教えてくれた。
支え合う以上に刺激を与え向上し合えることが、今の3人の最も素晴らしいところなのかもしれない。
さて、話をワールド・ツアーに戻 そう。4月14日、サバトンとのジョ イント・ツアーとしてイギリス からスタートした本ツアーは、以降各国で熱狂的なリアクショ ンを受けている。”パンデミッ クが終わった” という認識が高 い欧州の会場では、彼女たち のステージをこれまでと同様に ………………いや、これまで以上に楽しもうというオーディエンスたちのエナジーで溢れていたことは明らかだ。
もちろんそれは、BABYMETALの3人、さらには西の神たち自体が、眼前で拳を挙げるファン以上のパワーでライヴに挑んでいるからにほかならない。そのため、その疲労度も推して知るべし ・・・・・・というところだろう。そこで大事になってくるのが休息である。ここではツアー中のステージ外のことについても語ってもら おう。
💜SU-METAL:今回のツアーがイギリスからだったので、イギリスの街はけっ こう観光できましたね! 完成したビックベンをようやく見に行 くことができたのが嬉しかったし、グラスゴーの街並みも美しく て大好きな街になりました。
とSU-METAL
💙MOMOMETAL:私はバンコク!
バンコクで食べ に行ったお昼ご飯が忘れられないほど全部美味しかったんです! 私たちはトリュフの入ったメニューを必ず頼んでしまうんですが、 そのお店にはトリュフを使ったメニューがたくさんあって、もう まさに天国でした。もし、また行く機会があったら、違うメニュー にもチャレンジしたいです!。
ちなみに、バンコクでのお店選びは MOAMETAL が担当したそう。
そんな嗅覚鋭いMOAMETALは、やはりツアー中に食べたグルメを思い出し熱弁!
💗MOAMETAL:移動日は、ひとりでお菓子パーティを開催することにハマって いたので、たくさんの美味しいお菓子の発握ができました! で もやっぱり、ひとりじゃなくてメンバーやスタッフさんとで食べ るご飯が一番おいしく感じます。サバトンさんがもてなしてくれたBBQはおいしかったな〜。それ以外にも、グラスゴーで食べ たパスタがとてもお気に入り。感動するほど美味しくて、「私が食 べたパスタ BEST5」 に入りました。だからまた必ずリピートしたいです。味はカルボナーラ。お店の名前は内緒 (笑)! 見つけてみて(笑)!。
英METAL HAMMER チームに相談してぜひ見つけたい・・・・・・ので、ぜひもう少しヒントが欲しい!
そして我々同様、彼女のお菓子パーティに参加したいと考える人は多いだろうが、MOAMETAL も招待したい相手がいるらしく
💗MOAMETAL:本当に来てくれるかはわかりませんが、メタリカの皆さんには来てもらいたいです。彼らに最新アルバムの素晴らしさと、これまでの感謝を伝えたい! 本当に『72 シーズンズ」は最高。 BABYMETAL の新曲 「メタり!!」 でギターを弾いてくれたトム・ モレロさんも招待したい! そして、トムさんにはマネスキンにも声をかけてもらいます(笑)。あ、ブイリング・ミー・ザ・ホラ イズンにも招待状を送らなきゃ。大晦日の紅白歌合戦でコラボし たX JAPANのYOSHIKIさんも招待したいです。うーん、想像 するだけでワクワクしますね。ただ私、人見知りなので、だんま りしちゃいますが(笑)。これを見てくれた皆さん、ぜひよろしく お願いいたします!。
・・・と話は尽きないのだった(笑)。
ほかにも、ツアー中はそれぞれ新しくハマった趣味があったよ うで、SU-METALはツアー・パートナーのサバトンの影響から
💜SU-METAL:今回、サバトンのグッズで売られていたピンバッジがかわいくて、そこからピンバッジ集めにハマりました。国旗やそれぞ れ土地の有名なものなどが描かれた、そこでしか手に入らないも のを集めることにハマっています。
世界中を周る BABYMETAL なだけに、今後集まるバッジの数も相当数になることだろう!
なお、さまざまな国のステージを経験してきたSU-METALがもし日本以外で住むならば”と想像するのがフィンランド。メタル・ ファンならば一度は行っておきたい、国をあげてのメタル大国だ。
💜SU-METAL: 日本の夏は暑すぎるので涼しいところに行きたいっていうのと、 食べ物やゆったりと流れる街の空気感が好きです。メタルが熱い 国なので、メタル留学したいですね!。
このように、今や日本を代表するミュージック・エンターテイ ンメントであり世界をベースに活動する BABYMETAL なだけに、 ステージ以外のさまざまなことも楽しむ余裕のある3人なのであった。
現在行なわれてるワールド・ツアーもいよいよ後半戦、10月末には《NEX FEST》出演に合わせ一時的に帰国を果たすが、すぐ さま北欧へと飛んでいく。年内はそのままツアーを継続し、来年には日本単独公演が開催される。
このように 2023年の活動はまだまだ 残ってるとも言えるが、少しフライングを して“2023年最大のチャレンジは何だったのか?”を聞いてみたい。
その問にSU-METALは
💜SU-METAL:今年から新生BABYMETALがスタートしました。 ライヴ活動封印期間があったので、またBABYMETAL を知ってもらうところから始まったし、知ってくださっている方にとっても、進化した姿を見せられるように今チャレンジの最中にいます。日々挑戦は続いているので、まだ決められな いですね。
と答えてくれた。日々前進する BABYMETALのことであるから、その過程においてはすべてがチャレンジである・・・・・・ということだろう。そのなかでも、 MOAMETALは自分自身の心境についてこう振り返る。
💗MOAMETAL:学んだのは「強い心」! そして私の永遠のテーマ 「愛」 です。2023年は久し振りのライヴで始まりました。そして新体制がスタートしました! ここまで 来るのには、強い心が必要でした。多くの雑音で心を痛めることもありましたが、 逃げずに進んできたからこそ、2023年にステージに立っていられたんだと思います。「強い心」 と 「BABYMETAL を想う気持ち」・・・これを持って生きてきた自 分に誇りを感じることができました。改めてこのチームがすごく好きだということを実感しています。
さらに愛するファンに向けても
💗MOAMETAL:この活動は楽しいだけじゃなくて、つらいことも多いです。でもそれを超える幸せな気持ちを持てています。皆さんの笑顔を 見る瞬間がとても好きです。このチームと出会ってくれる皆さんが大切です。その気持ちを再確認でき、これからも MOAMETAL の愛を貫いていきたいと感じさせられました。
MOMOMETAL からも
💙MOMOMETAL:今はまだとにかくふたりについていくことで必死ですが、いつか絶対に MOMOMETAL という存在を確立させたいです。
と力強い言葉 を聞くことができた。
取材の前半で MOAMETAL ( "BABYMETAL も今年で13年目” とキャリアを話題にしていたが、ではその13年前、当時12歳だっ たSU-METALに、今の彼女が声をかけるとしたのなら?
💜SU-METAL:これから見たことのない世界をたくさん見るけど、思うがまま に吸収して、好きにやっちゃってください。戸惑うこともあるかもしれないけど、 誰もやったことがないことに正解なんてないから。楽しんで!。
BABYMETALは、これまでの歩みで我々メタル・ファン、ラウド・ミュージック・ ファンにとっても、見たことのない世界に連れて行ってくれる無二の存在となっ た。ではすべてを見きったのかと考えるに、まだまだ新しい扉がその先にあるは ず・・・との答えが浮かんでくる。そして未来へと進むそのスピードは、3人になっ たことでもっともっと加速することだろう。その流星の如き勢いに振り落とされ ないよう、これからも彼女たちの勇姿を見届け、ともに進んでいきたい。きっと その先には、さらに見たことのない鋼鉄の世界が存在するはずだから。彼女たち ……………新生 BABYMETALが連れて行ってくれる次なるステージを、ぜひ我々もー緒に楽しもう!
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