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YOUNG GUITAR 6月号 KOBAMETAL interview


3月23日・24日に沖縄コンベンションセンタ一展示棟にて開催された
"TOUR FINAL IN JAPAN LEGEND - 43"をもって、怒濤のロング·ツアー”BABYMETAL WORLD TOUR 2023-2024″を終えたBABYMETAL。しかし 休息も束の間、 すぐさま今度は4月開催の“THE BABYKLOK TOUR"を手始めに、再び複数の海外公演のためにアメリカへと旅立つ彼女たち
──そこで本誌は、この節目のタイミングでプロデューサー: KOBAMETALに取材をオファーし、 まさに渡米直前に本インタビューが行なわれることと相成った。先のワールド・ツアーの話題はもとより、5月25日・26日開催のBABYMETAL主催フェス “FOX_FEST" といった注目のトピックに至るまで、たっぷりと熱く語り尽くしてくれたのだった。


YG🎸 : BABYMETALのワールド・ツアーがファ イナルを迎えたこのタイミングで、ぜひお話を伺えればと思います。2020年以来3年ぶりに世界各国を廻ったロング・ツアーでしたが、今振り返ってみていかがですか?

KOBAMETAL💀: 2023年は“第2シーズン”と呼ばれる新生BABYMETALとしてのツアーを開催したわけですけども、新しいBYMETAL スタートにふさわしい、希望の光が見えたツアー だったなというのが終わった後の感想ですね。その理由としては・・まず、2014年くらいから本格的にBABYMETALの海外ツアーがスタートしたんですけども、当時「ギミチョコ!!」が話題になったり、イギリスのフェス"Sonisphere festival UK”に出演したり、 レディー・ガガさんと一 緒に北米ツアーを廻らせてもらったりと、 そういうピーク・ポイントがあった年なんですね。それから約10年ぐらい経ちますが、多くのアーティストは山あり谷ありな感じでいろんなことが起きていると思いますし、実際BABYMETALもそういったことはあったんですけども、フタを開けてみると、 あれから10年経った今回のワールド・ツ アーが結果的には公演数も動員数も一番大きい形になって、まだまだやればやるほど拡大していくことをすごく実感できたんです。

YG🎸 :ああ、なるほど。身をもって希望の光をリアルに感じられたと。

KOBAMETAL💀 :はい。特にメンバーは世界各国の様々な土地でライヴをやって、ステージ上から見た景色が目に焼きついていると思うんですけども、その土地土地でBABYMETALを待っている人たちがこんなにたくさんいるんだなというのを目の当たりにして実感できていると思うんです。それまでもネット上とかでいいな言語でコメントをいただいたりするので、世界各地にファンの方がいることは何となくふわっと認識していたと思いますけども、あくまでもネットって、リアルなようでいてリアルじゃない空間だったりするじ ゃないですか。実際に目の前に人がいるわけじゃないですから。その中で有象無象のいろんな言葉が飛び交ってはいるけれど、なかなかリアリティを感じられないことも多いはずで。たとえば何百万再生とか、数字の部分でのすごい記録はあったとしても、それとは違う、目の前にあれだけ多くの人がBABYMETALのために集まっている光景というのは、おそらくリアルにツアーを廻っているアーティスト以外はなかなか体験できないことですし。やっぱり、そこで初めて人と人がつながるというか、「あ、こんなにもBABYMETALを応援してくれている人たちが世界中にいるんだ」ってことを実感できたのが、2023年から2024年のワールド・ツアーだったんじゃないかなという風に総括していますね。

YG🎸 : 本数的にはかなりタフな印象を受けますが、今話されたようなリアルな経験が体力的なところも上回って、今回のツアーを乗り越えていけた部分もあったんでしょうか?

KOBAMETAL💀 : 終わってみたら、みんな普通に 「楽しかったね」みたいなことを言ってましたからね(笑)。移動とか含めて、もちろんいろいろ大変なこともあるんですけど、メンバーももう10年選手でアスリートとしてはベテランじゃないですか。そう考えると、そこはもう我々が心配することはないですし、我々なんかよりも全然プロフェッショナルなので(笑)。本人たちのほうが長けてますし、体調管理も含めて自分たちできちんと考えながらやっていますね。

YG🎸: そうした中での日本国内の公演としては、 2023年11月開催のフェス “NEX_FEST”への 出演がありました。ブリング・ミー・ザ・ホライズンとの共演で「Kingslayer」(2020年『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』収録)をパフォーマンスするBABYMETALを観ることができましたが、「ついに・・・!」といった感がありましたね。

KOBAMETAL💀 : 「Kingslayer」でコラボレーションする話は2019年か2020年ぐらいにはあって、それがコロナ禍の最中 (2020年10月)にリリースされたんですけれども、それからお互いに なかなか思うような活動ができなかった時期を経て、(ライヴでの共演に関して)いよいよ機が熟したといいますか。ブリング・ミー・ザ・ホライズンさん自身のステージで演奏していたことはあったはずですけど、ついに時が来たというか、すごく象徴的な出来事だったかもしれないですね。しかも日本で開催されるフェスで、そのスペシャルな形が実現したというのは。ただ、あれも狙って実現したものではなくて、キツネ様のお導きじゃ
ないですけど、本当に偶然のような必然のような運命のような、そういう流れで実現していったのかなと感じますね。

YG🎸: あの時の「Kingslayer」のライヴ・パフォーマンスに関して、彼らと事前に打ち合わせする時間はあったんですか?

KOBAMETAL💀: いや、その辺りもかなりフワッとしていましたね。彼らと実際に一緒にやるのか やらないのか、結構ギリギリまで分からなかった 記憶がありますし。まあ、なんかやるんじゃない かなぁっていう本当にフワーッとした感じでしたよ(笑)。海外のアーティストって、結構その場のノリだったりすることが多いですよね。当日はヤングブラッドさんも出演していて、彼らも作品でコラボしていた流れでオリヴァー(サイクス/ VO/ブリング・ミー・ザ・ホライズン)さんと共演してましたけど、たぶん打ち合わせらしい打ち合わせはほぼなかったと思うんですよね。


YG🎸: "NEX_FEST”の映像で構成された「King- slayer」のMVに当日の模様は記録されていますが、結構、即興的な要素もそこにはあったと。

KOBAMETAL💀: その要素はだいぶ大きいと思い ますよ。あのステージ上でのパフォーマンスも、 結果ああなったということなんじゃないですかね。彼らもすごく忙しい人たちですし、ワタクシたちも会える時間というのが限られていて、それ こそステージ裏でちょろっとしゃべって、「じゃあ 行きましょう」ぐらいの感じだったはずです (笑)。


YG🎸: あらゆる状況を経験してきているだけあって、そういった環境も楽しめるプロフェッショナル感が凄いですね! そして、2023年8月リリースの「メタリ!! (feat. Tom Morello)」についても改めて聞いておきたいのですが、トム・モレ口(g)のフィーチュアリング案はどういったところから生まれたものだったんです?

KOBAMETAL💀: 元々の楽曲がミクスチャーと言っていいのか分からないですけど、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなどに代表されるようなタイプの曲だったので、まさにトム・モレロさんの音が聴こえてくるようなギター・リフだったりして ・・・そういうところから話が膨らんでいったという流れですかね。

YG:🎸 いわゆる正統派のヘヴィ・メタルだけに固執しないKOBAMETALさんの守備範囲の広さと柔軟さが、ごく自然にこの人選につながったということですか。

KOBAMETAL💀: 何となくパッと音を聴いた時の印象がすごく大きくて、第一印象で「ああ、これはこういう人が弾いていそうだな」みたいな画が浮かんできて。そこから先はもうダメ元と言ってしまってはアレですけど、「まずは話してみないと 分からないですよね」というところで、アホになって(笑)実際にアプローチしていくような流れだったと思います。

YG🎸: アホになった結果、BABYMETALの歴史においては次々に現実のものとしてきたところが本当にミラクルで。ちなみに、ライヴでのギ ター・ソロのパートは・・・。

KOBAMETAL💀: トム・モレロさんがレコーディングしたギターの音をそのまま使用して流してますね。あれはもうトムさんしか弾けないフレーズだと思うので、そこは最大限のリスペクトをもって 「ライヴでもトム・モレロに弾いてもらいたい!」 という愛ゆえに、(映像と音源を使った)ああいった形で出演していただいているんです。

YG🎸: また今年3月には、
「LEAVE IT ALL BEHIND] (F.HEROxBODYSLAMxBABYMETAL)が配信リリースされました。
「PA PA YA!! (feat.F.HERO)」の時もそうですが、このコラボレーションはタイの音楽シーンに注目していることの表れですか?

KOBAMETAL💀: もちろんタイも大切な国なんですけど、タイだけに限らず、アジアという大きな枠組みで言うと本当に素晴らしいアーティストさんがいっぱいいらっしゃいますし、まだまだ BABYMETALが出会っていないアーティストさんがいっぱいいるんですよね。その輪をもっと広げていきたいなというところから、今回もF. HEROさんを通じてBODYSLAMさんというタイではものすごくビッグなロック・バンドと共演させていただいて。本当に光栄ですね。

YG🎸: KOBAMETALさんがアジア圏のシーンに 非常に注目していることが伝わりますね。

KOBAMETAL💀: たぶんアジア圏の皆さんも、 我々日本のアーティストと同じような感覚を持ち合わせているんじゃないかなと思うんです。ことメタルやラウドみたいなシーンというのは、基本 欧米発ではあるんですけれども、アジアにはアジアの独特なサウンドやグルーヴがあるのをワタクシは感じているんですね。 そういったアジアのアーティストにしか出せないようなノリみたいなものも含めてユニークだなと思っているので、 どんどん取り入れたり、コラボレーションしていきた いなと以前から考えていたんです。

YG🎸:また、 レーベルの資料によれば作詞・作曲 とミキシングまでKOBAMETALさんが監修さ たとえばアーミング&タッ ピングから派手に入るギター・ソロなどもKOBAMETALさんのアイデアが注入されているのでしょうか?

KOBAMETAL💀:いや、そこまで細かく関わっているわけではなくて。確かにワタクシが関わってタイでプリプロ的なことをさせていただいたんですけど、ただ基本的に軸となるのはアレンジをやられているタイ出身のMAG The Darkest Romance(Thitiwat Rongthong)さんという方ですね。 その彼が本当に天才だとワタクシは思っているんです。彼のイメージが素晴らしくて、各アーティストの特性を際立たせていて・・・トリプル・ コラボってバランスを取るのが難しいんですよ ね。「どの場面で誰がどう出てくるか」みたいなところがすごく難しいと思うんですけども、 構成含めて、彼はそのバランスの取り方がとても絶妙で。F.HEROさんだったらラップのパートが活きてますし、BODYSLAMさんは独特な歌唱の部分、それでBABYMETALはBABYME TALらしいフレーズで・・・どこでどのキャラクターが登場してくるのかがすごく考えられたアレンジをされていますよね。本当に素晴らしい才能を持った方だなと感じていて、またいつか一緒に仕事ができたらいいなと思ってます。

YG🎸:おお、そこまで。今回のコラボではその出会いも大きな収穫だったということですね。

KOBAMETAL💀: そうですね。元々「PA PA YA!!」の時にも少しお手伝いしていただいた方で、 ご自身でバンドもやってまだ若いんですけ ど、すごくオールマイティでロックからヒップホ ップ、ポップスまでいろんなことに対応できる人なんです。日本も素晴らしいアーティストさんがたくさんいますけど、アジアのいろんな国々にも ワタクシたちが知らないだけでめちゃくちゃすご い才能を持った人があちらこちらにいらっしゃるんだなと感じてますね。こうした新しい出会いがすごく楽しいですし、いろんな発見があって勉強させていただいてます。

YG🎸: 最先端にいる人にとっては当然の認識でしょうけど、アジア圏に注目しないことはありえないと。

KOBAMETAL💀:ええ。仮に何かで先を行っていたとしても、油断していると追い越されちゃうんじゃないかという勢いを感じますから。人々の活気もすごく溢れてますし、イメージ的に若い感じがありますよね。よく言われる数十年前の日本みたいな、'80年代や'90年代ぐらいの、日本がいろんなところですごく盛り上がっていったあの感じみたおなものが、街を歩いているだけでも伝わってきますね。開発された大きな街並みが一番最初にドーン!と目に入ってくるじゃないですか。 それが東京にある街並みよりも全然最新で、しかも規模もデカいものがあちこちにあるのを見ると、本当に映画のような近未来の世界にいるような、20XX年みたいな雰囲気をすごく感じるんですよね(笑)。

YG🎸: その様子だと、今後の関わりも十分にありえますね。

KOBAMETAL💀: そうですね。その辺りは地政学的な問題もありますが、今後10年、20年後とかに(音楽シーンにおいても) すごく大きな変化がありそうな気がしてるんですよね。

YG🎸:では、今年3月2日・3日に開催された "BABYMETAL WORLD TOUR 2023 - 2024 LEGEND - MM”について。本当に見どころ満載のライヴでしたが、特にセットリストで象徴的 だったのは2日間のラスト・ナンバーとなった 「Arkadia」です。この曲でまず思い出すのは、 当時はまだ未発表で初披露、しかも1曲目となっ たライヴ、2019年6月の“BABYMETAL AWAKENS - THE SUN ALSO RISES -”で。 会場も同じ横浜アリーナですし、アベンジャー ズが初お目見えしたあの時から現在に至るまでのドラマを踏まえての選曲かなと感じていたん です。実際、観た方からのそういった声もありましたよね。

kOBAMETAL:💀 そこはいろんな解釈があるんじゃないかなというところで、受け取った方のイメ ージに委ねたほうがいいのかなと。それぞれの考察を聞くのも面白いと思いますし。

YG🎸:また、神バンドによるソロ回しが厚めにフ ィーチュアされていたことも印象的でしたが、ああいったセクションを入れたのには何か理由が?

KOBAMETAL💀: セットリストの構成的に、ここ で一回ブレイクが必要だなとか、そういった全体の流れを踏まえた結果、ああいう形になっているということですね。そこは都度都度変わっていて、 映像でつなぐパターンもあれば今回のように演 奏でつないでいく場合もあったり。

YG🎸: 分かりました。あと、「メタり!!」も然りで すが、あの日のみのヴァージョンの「ヘドバンギ ャー!!」でもMOMOMETALさんがデス・ヴォイス・パートを担うのは、どういうところからの 発想だったんです?

KOBAMETAL💀: 過去、いわゆる20歳の“聖誕祭”と呼ばれる“LEGEND - S" や "LEGEND - M”の時にもいろんなスペシャルなものがあって、 今回の“LEGEND - MM”はどうしようかと考えた時に、MOMOMETALにSU-METALや MOAMETALともまた違うキャラクター、存在感を見せてあげるには・・・というところからの発想ですね。まず、他の2人がやっていないことを考えて、ああいう形になったんですけども。

YG🎸: そのマッチングが想像の斜め上ですよね、 過去メタルを通ってきていないMOMOMETAL さんとデス・ヴォイスの組み合わせというのは (笑)。

KOBAMETAL💀:まあ、そうですね(笑)。ただ、 本人も結構それが気に入っているみたいです本格的にデス・ヴォイスを担当する以前から、個人的に練習していたりしましたし。「メタり!!」の中にある“J-RAP”と呼んでいる部分、あそこの くだりなども、彼女はすごく努力家なので練習をしていたんですよね。なので、デス・ヴォイスも キャラクターやポテンシャルが反映されているんじゃないかなと思いますね。

YG🎸:そして、ツアー・ファイナルで初の沖縄公演となった3月23日・24日開催の“BABYMETAL WORLD TOUR 2023-2024 TOUR FINAL IN JAPAN LEGEND - 43"。ファイナルをやって迎えることや、エイサー隊とのコラボレーションという特別な趣向などの構想はいたからあったんでしょう?

KOBAMETAL💀:ツアー・ファイナルを沖縄でやろうという話しは、実は10年前ぐらいから出ていたんです。それこそ2016年の東京ドーム公演ぐらいの時には、ツアー・ファイナルとして沖縄でやろうと具体的に話していたんですけど、そうした中でまたレッド・ホット・チリ・ペッパーズさんの ツアーに誘われたりとか次々とオファーをいただ いたりして、結局なかなかファイナルらしいファイナルというのができなくて。それと、長期のツアー自体が今までなかなかできなかったんですいど、やっぱり今回のツアーは本数も100本近かったりと本格的なワールド・ツアー然としたものになっていたので、やっぱりこのタイミングで10年越しの念願を叶えて沖縄でやりたいなと。そこから、今回の“LEGEND - 43” につながってい ったんです。

YG🎸: まさに悲願の沖縄公演だったと。

KOBAMETAL💀: はい。で、沖縄といえばシーサ 一が有名ですし、他にも三線やエイサーといった独自の文化が豊かで、もちろん神話みたいなものも含めてすごく歴史深い土地だと思うんですよね。なので、そういったものと交わるような FOX GODと沖縄の文化とのコラボレーションというか・・・何か沖縄らしいスペシャルなことができないかなと考えて、そこから「メタり!!」でのコラボのアイデアが生まれていったんです。元々、 シーサーがキツネ様と合体するようなイメージは構想としてはあって、 それが“LEGEND-Sの広島公演を彷彿させるようなステージ・セット造りにつながっていったと。 セットのシーサーの口が開いた中からメンバーが登場するオープニングのイメージはすぐに生まれてましたね、 それで、「メタリ!!」がハイライトだったと思うんですけど、 地元のエイサー隊の皆さんにも入っていただいて、太鼓などが加わった、 いわばちょっとトライバル的なアレンジですよね。あとは、お客さんの 掛け声も加わってすごくスペシャルなものになりましたし、それと環境ですね。沖縄の気候や島の雰囲気も含めたあの空気感の中で披露して、 沖縄アレンジの「メタリ!!」 が初めてパーフェクなものになったなぁという印象を受けました。 地元のお客さんにも来ていただいて、掛け声もそうですし 指笛を吹いていただいたりして、す べてが合わさって完成したんだなと実感しましたね。 現地の方にもすごく喜んでいただけたみたいで、たくさんの方に「すごく良かった~!」って言ってもらえて嬉しかったです。


YG🎸: 地元に根付いている大切な文化を、舞台上で融合させて表現してくれたところが感慨深かったんでしょうね。

KOBAMETAL💀: おそらくそうだと思います。地元の方にとっては沖縄へのリスペクトを感じられたのかなと。前段のストーリームービーと呼ばれる紙芝居的なものも含めて、どういう経緯で今回の公演が開催されて、どうして「メタり!!」でああいった演出になったのかを打ち出してはいるんですけれども、その全体の流れを見ていただいた上で地元の方は楽しんでくれて、すごく感動したっていう言葉をいただけたので、本当にやって良かったなと思いましたね。

YG🎸: 単にツアー・ファイナルだけに終わらず、我々が想像していた以上に意味のある形を残せたんだなと、話を聞いていて思います。

KOBAMETAL💀:そうですね。太鼓を叩いてくれた地元の方々もそうなんですけども、 日本・・・いや、アジアとなるんですかね、 グルーヴを感じられて、 その土地に根付いた 改めて「ああ、これがいいんだよな」と。言葉ではなかなか言い表せないんでさけど、おふくろの味的なものというか (笑)、なんかしっくりくるんですよ。決して無理している感じがせず、 自然にそういったノリが出ている・・・海外の人の演奏ともきっと違ったでしょうし。 だから、西の神バンドの人たちがどう感じたのかはすごく気になっていて。やっぱりカルチャーが違うじゃないですか。彼らから見て、すごく独特なものに映ったんだろうなとは思うんですけど。

YG🎸:ああ、それは興味深いですね。

KOBAMETAL💀: ワタクシはおふくろの味噌汁を飲んでいたような感覚もあって、実家に帰って来たような、すごく日本っぽい、アジアっぽいグル―ヴが気持ち良かったんです。本当に夏祭りに参加しているような感覚がありましたね。お客さ んを始め、スタッフも演者もそうですけど、みんなが隔たりなく、いろんな立場とか全部すっ飛ばして、そこにいた全員が自由にそれぞれの楽しみ方で、お祭りで盛り上がっているような一体感や空気感があったなぁと思います。

YG🎸:ええ。会場の造りやあの日の暑さもそれを後押ししてましたね。また、一連の公演を観て、 世界を相手に場数を読んできただけあると感じ たのは、「BxMxC」のふうな曲ももはやギミック に思わせないことで。期は飛び道具的に感じ たものが、たとえばSU-METALさんの歌唱なども今や完全にナチュラルに自身のものにしていて、その成長ぶりに改めて圧倒されたんです。

KOBAMETAL💀: やっぱりメンバーもキャリアを重ねて、それこそ年間100本近いライヴをしていく中で、ライヴで楽曲を育てていくとメンバーも言ってますけども、本当に生き物のように曲がどんどん進化していっていることはワタクシも感じます。久々に横浜アリーナで披露した曲とかも、 改めて聴くと「ああ、この部分はすごくいいな」 とか再発見するところもありましたから。

YG🎸: MOAMETALさんやMOMOMETALさん のダンス・パフォーマンスも然りですし、同時に各メンバーの遊び心を感じさせる場面も垣間見られて、貫録の凱旋公演だったと思います。

KOBAMETAL💀: それぞれのスキルが高まったがゆえの、何て言うんですかね・・・ちょっと円熟した上積みみたいなものが見られたりしたので、そこ はワタクシも楽しめたところですね。

YG🎸: では最後に、いよいよ開催が迫った "FOX FEST" について聞かせてください。このタイミングでBABYMETAL主催のフェスを 開催しようと思ったきっかけは何だったんです?

KOBAMETAL💀: まず“FOX_FEST”自体は、2018年のサバトンさんとギャラクティック・エンパアさんが参加したイベント ”BABYMETAL WORLD TOUR 2018 in JA SHOW DARK NIGHT CARNIVAL””を起点にして始まっているんですね。2023年からのワールド・ツアーにおいて、1月の幕張メッセ公演、4月のぴあMMアリーナ公演、夏はライジング (RISING SUN ROCK FESTIVAL 2023 in EZO)とサマソニ (SUMMER SONIC2023)に出演して、秋は“NEX_FEST”、そして今年3月には横浜アリーナ公演と沖縄公演が あって、コンスタントに3ヵ月に1回ぐらいは日本でライヴをしていたんですよね。なので、通常の形のライヴなどは沖縄公演をもってひと通りやり尽くしたなというところで、“DARK NIGHT CARNIVAL"のような、しばらくやっていなかっ た海外のゲストを呼ぶ形のフェス的なものを開催しようとなったんです。本当は、2019年にブリング・ミー・ザ・ホライズンさんをスペシャル・ゲ ストに迎えたライヴの“次”もやりたかったんですけど、コロナ禍が挟まったことによって、それができなかった時期が続いたんですよね。それでようやく今回、タイミングも含めて合致したので開催できることになったんです。

YG🎸: 出演ラインナップに関しては、どういった 経緯で決まったんでしょう?

KOBAMETAL💀: まず、BABYMETALがこれまで歩んできた10年は、どちらかというとレジェンドのバンドさんたちに引っ張り上げていただいてきたと思うんですね。ただ、これからの10年ということでいうと、新生BABYMETALとしては、 今度は自分たちがシーンを担っていく、作っていく・・・で、次の世代の人たちを引っ張り上げる立場になっていくことを目標としているんです。そうすべきだなということを今回のワールド・ツアー ですごく実感できたんですよね。さらに、この後 また4月から6月にかけてアメリカやヨーロッパのフェスに出演しますけど、だんだん出演する位置も良いポジションになってきてることを考えると、やっぱりBABYMETALといえアーディスト が10年間積み重ねてきたものか評価されていて、 すごく期待していただいているんだなということを改めて感じまして。そこで、やっぱりBABYMETALが日本でフェスをやるのであれば、新しい人たちをぜひ紹介したいというところがあり、今 回こういうラインナップになったんです。たぶん普通に考えると、たとえばレジェンド・アーティストやビッグネームが来て、もう少し分かりやすい形のアーティストが入ってくるとフェスとしてはウケがいいのかもしれないですよね。

YG🎸: 確かにそういった部分はあるでしょうね。

KOBAMETAL💀: ただ、"NEX_FEST”もそうだったのかなと思うんですけど、あのフェスはこれからのシーンを担っていくような同志みたいな人 たちと一緒に次を作っていこうという動きが感じ られて。それで、今回出演するエレクトリック・ コールボーイさんやポリフィアさんも、海外のフ ェスではBABYMETALと同じフェスに同じぐらいのポジションで出ることも多いんですけど、日本ではまだ知らない方も多いアーティストだと思 うので、今後を見据えて、ぜひこの機会に観て いただきたいなと思ってこういう形になりました。

YG🎸: BABYMETALとコラボしたポリフィアはともかく、エレクトリック・コールボーイとビルムリは多くの人にとって意外なセレクトだったで しょうね。

KOBAMETAL💀:今後BABYMETALにとっても良いコラボレーションができそうだなという期待を込めてラインナップしたところもあったので。 まずラインナップに共通しているのは、“間口の広さ”や“入口の多さ”みたいなものがテーマとしてあります。曲をまったく知らなくても楽しめればいいなと思ってセレクトさせていただきました。


YG🎸:では、せっかくの機会なので各アーティス トについてコメントをいただけますか。

KOBAMETAL💀: それぞれいろんな特徴があすけど、まずエレクトリック ·コールボーイさんは前バンド名の時から数えると2010年ぐらいから活動していて、BABYMETALと同じくらいのキャリア感なんですね。活動に波があったり、メンバーが変わったりしながらも、ここ数年はヨーロッパを中心にすごく人気が高まってきていて。楽曲などのクリエイティヴ面やライヴもすごく面白いし、メタルやラウドといった音楽に普段接していない方にも入りやすいアーティストだなと感じているんです。ライヴもいわゆるパーティーのノリみたいな感じで、たとえば“Ultra Music Fes tival”に来ているようなお客さんでも一緒に盛り 上がれるようなバンドですね。曲が分かりやすくてキャッチーで、曲を知らなくてもライヴを楽しめると思います。

YG🎸:では、ポリフィアについて。

KOBAMETAL💀: ポリフィアさんはインスト・バン トですが、まずヴィジュアルが良いというのがすごく好きなところで。もちるテクニックも素晴らしいですし、ミュージシャンとしても最高なんですけど、ちょっと彼の と違うのが彼らのヴィジュアルだったり、あとはクリエイティヴのセンスですよね。グッズにしてもMVにしても、 すごくセンスの良さを感じられて。若い人や普段 メタルを聴いたことのない人にもアプローチしやすいなと思ってるんですね。BABYMETALもそうなんですけど、間口の広さ、入口の多さはすご く大事だし、今後のシーンにおいてそういうものが必要になってくるんだろうなと考えた時に、ポリフィアというのは象徴的なアーティストだなと思っています。歌のないインスト・バンドというのはなかなか馴染むまでは難しいと思うんですよ ね。でも、アメリカとかでのライヴを観ても若いファンがたくさん集まっていて、インスト曲でみんなモッシュしたり、クラウドサーフしたりして、 すごく盛り上がっているんですよ。その感じが面白いし、こういうバンドはそういないなと。観た ことのない方はこの機会にぜひ、ですね。

YG🎸: 続いては、ビルムリです。

KOBAMETAL💀: ビルムリさんはアタック・アタック!というポスト・ハードコア/メタルコア・バン ドのメンバーが立ち上げたプロジェクトになる 思うんですけど、曲だけ聴くとメタルとはかけれてますし、ポップス・ロックというか・・・歌だけ聴いていると王道のグッド・ミュージックなメロディーなんですけど、オケをじっくり聴いてみ と、クランチのカラッカラなギターでありつつめちゃくちゃダウン・チューニングで、弾いているリフにメタルコア要素が出てきたりとか、そういう 隠し味的なものが面白いなと。そういうセンスが ワタクシはすごく好きで、ぜひ彼らのライヴを生で一度観てみたいなというところからお誘いしたんです。まだ日本ではあまり知られていないと思うんですけど、楽しみにしてもらえたらいいなと。

YG🎸:そして、METALVERSE+ASTERISM.

KOBAMETAL💀: METALVERSEはプロジェクト 自体がすごく実験的でもありますし、常に変化をしていくプロジェクトなので、今回に関しては “FOX_FEST”のテーマのひとつでもある次世代のメタル/ラウド・シーンにチャンスを含めてつなげていきたい気持ちがあります。ワタクシ自身も使命感ではないんですけども、BABYMETALで培ってきたもの、レジェンドのアーティストさんたちから引き継いだものをさらに次の世代に引き継いでいくことは絶対に必要なんだろうなと思って、今回METALVERSEに参加してもらうことになりました。

YG🎸: しかも今回はスペシャル・ヴァージョンと して、ASTERISMがゲスト・バンドとして参加すると。

KOBAMETAL💀: そうですね。ギターのHAL-CA さんは、話を聞くとフェイヴァリット・ギタリスト が高崎晃さんと言っていてすごく面白いなとい ご本人よりも何世代も上のアーティストさんをフェイヴァリットに挙げているというのがワタクシからすると不思議か感覚なんです。ただメタルな限らず、たとえばK-POPのNewJeansとかも、 Y2Kと呼ばれている当時のリヴァイヴァルみたなものが入っていたりもしますし、 やっぱり時代というのは常に回っているんだなぁというのは感じていて、そこが打ち出し方次第ですごく新しく感じられることも多いんだなと。 ・・・で、ASTERISMのメンバーにフェイヴァリット・アーティストを聞くと本当に意外な答えがいっぱい出てけるんですね。 なぜ今そんなレジェンドなバンドを聴いているんだ?って(笑)。ひと回りもふた回りもした新しさみたいなものがあるのかなと思うんです。 ASTERISMはポリフィアよりもさらに下の世代ですけど、出している音はすごく正統派なものが多いので、ワタクシにとってはそれが新鮮で、なぜこれを今やっているんだろう?というような音を出しているし、ここまでガチにやっているバンドは最近なかなか見かけないですよね。ビルムリなどは、ちょっと“ひねる系”の 曲が多いんですけど、ASTERISMは今回のラインナップの中で最も直球のメタル・バンドなんじゃないかなと。しかもあの若さで・・・というところ が面白くて、“FOX_FEST”らしいなと感じます。


YG🎸:確かに。ASTERISMが加わることで、さらに新世代感があって良いですね。他に何か伝えておきたいことはありますか?

KOBAMETAL💀:若い人たちや普段メタル /ラウド・ロックをあまり聴いたことのない人たちにもぜひ観てもらいたいと思って、今回“FOXチケット”というものを設けています。 小学生以上~ 22歳以下の人はチケット 代が半額になるんです。BABYMETALを観たことがないという人にも観てもらいたいですし、これまでなかなか観に行けない・・・という人もいたかと思いますが、これを機にぜひ遊びに来ていただきたいなと。 それともうひとつ、BABYMETALがヘッドライナーと して行なう2024年の日本国内でのライヴは、こ れが最後になります。 

YG🎸:えっ、そうなんですか!?

KOBAMETAL💀: 先日の沖縄公演まで長いワー ルド・ツアーを行なってきましたが、ほとんど休むことなく、4月から次のワール・ツアーがスタートするんですね。この後もかなり長い期間で海外公演が続くことになりまして、フル・サイズのショウで日本に戻ってくるのはかなり先の話になると思うので、BABYMETALをよく知るファンの方もタイミングが合えばぜひご来場ください、ということをお伝えしておきます。実は沖縄公演のエンディング・ムービーでもさらりと英語でアナウンスしていたんですけど、 たぶんほとんど気づかれてないだろうなと思って(笑)。 そういう意味でも"FOX FEST"は見逃さないでいた だきたいですね。

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