怪説~モノノケガタリ~第6話
沙彦
「今回は物事の表と裏をちゃんと見ていかないと…
解けぬ問いなのかもしれないな…
それも平面で捉えているだけでは見えないものもある…」
惟嶺
「気付けば案外簡単な仕掛けかもしれないですよ。」
沙彦
「例えそうだとしても…
手がかりが見つかるまでは難しいとか無理とか思ってしまうのが…
人間の心理だ…
取り敢えず…
これまでの先入観を疑ってかかった方が良いだろうな…」
響子
「なんか惟嶺さん…
今回…
心当たりあるんじゃないですか…」
惟嶺
「ギクッ…」
沙彦
「もしかして…
八卦鏡を壊して回っていたのはお前なのか…」
惟嶺
「異国の得体の知れないものって…
実際怖いじゃないですか…」
沙彦
「得体の知れないものを恐れて…
ごっちゃにするから…
こうした怪異が現れるのを知らないのか…
そもそもの起こりは未知への恐れからくるものなんだよ…」
惟嶺
「だから心を強く持てとか言うんじゃないでしょうね…」
沙彦
「俺は必ずしも…
そうは思わない…
寧ろ普段強く心を保っている奴が壊れた時の方が厄介なんだよ…」
響子
「どっちかと言うと…
簡単に挫けて…
簡単に立ち直ってくれる人の方が怪異を起こしにくいんです。」
沙彦
「そうじゃなくても…
日々の暮らしには様々な問題・課題が…
散りばめられているものなんだよ…」
響子
「問題・課題をちゃんと見極める人である事の方が大切なんですよ…」
沙彦
「手前みたいに力技で…
どうこうしようとする奴が…
いざという時に行き詰るんだよ…
俺もあんまり人の事は言えないんだけどな…
今回本当に灯台下暗しだな…」
惟嶺
「どういう事なんですか…
さっぱりなのですけど…」
響子
「沙彦さんの勘と言うのか…
レーダーみたいな能力範囲が狭まっているのは…
護符とか八卦鏡を通して見る範囲が狭まっているって事なんですよ…」
惟嶺
「普及するついでに…
そこからデータを取得しているって事ですか…」
沙彦
「アナログからデジタルに移り変わっても…
そうした情報収集の仕方なんて…
そんなに変わるもんじゃないんだよ…」
響子
「あなた達の世界でのPCが…
呪術師や占星術師にとっては…
八卦鏡やホロスコープみたいなものなんですよ」
沙彦
「別にPCとかでやっても…
八卦鏡やホロスコープの技術なんてのは使えるんだが…
如何せん…
仕事に関係ないノイズが入りやすいんで…
普段は使うのを避けているんだよ…」