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舟編みの人~第14話・伏線あるいは付箋の回収~

伊島
「付箋がいつもよりも多く貼られているみたいなんですが…
 修正箇所とか気になる所とか今回多いのですか…」
朝倉
「今回…
 誤用や言い間違いに関する記事を依頼されてだな…」
「気になる単語を片っ端からリストアップしているんだよ。」
伊島
「それで今回…この付箋の量なのですね…」
「これほどまでに多いと…
 一々覚えていられないんじゃありませんか…」
朝倉
「糸井重里さんが…
 一時期テレビ番組とかで取り上げていたのがあるだろ…」
「どうやら最近再び…
 SNSで言い間違いに関する投稿が…
 様々な反応・反響を呼んでいるらしい。」
「自分もここのところ、
 言い間違いとかをやらかしているから自戒も込めて…
 取り組もうとしているんだよ。」
伊島
「普段…
 言い間違いしない人が言い間違いをする時って…
 得てして習慣化しているものだったり、
 日々の願望がその言葉に隠されていたりするんですよ…」
「疲れが溜まっているのもあるかもしれませんし…
 日頃やりたい事を我慢し過ぎなんじゃないですか…」
朝倉
「出来る事なら人の揚げ足取りするような記事として書くよりも…
 自分自身のくだらないギャグとかで埋めたいんだよ。」
「だから今回の記事は願ったり叶ったりなんだが…
 シリーズものとして書ける気がする半面…
 掴みのネタをどれにするか迷うんだよ…」
伊島
「最近…
 窓際を決め込んでいた朝倉さんにとっては…
 錆取りに打ってつけなんじゃないですか。」
朝倉
「伊島も言うようになったな…
 良いだろう…
 俺の腕が鈍っているとは言え…
 まだまだ錆びついちゃいないって事を証明してやるから。」
伊島
「この企画が好評になれば新しい書籍も出せますし…
 何より新しい辞書も作れるんじゃありませんか。」
朝倉
「それに今まで出してきた辞書の売れ行きにも繋がれば万々歳だ。」
伊島
「各部署から…
 誤植や言い間違いに関する案件のアンケートするのも良さそうですね。」
朝倉
「そう言うならアンケート作成と集計は伊島に任せるぞ…」
伊島
「朝倉さんからだと角が立ちますからね…」
朝倉
「だから窓際扱いされると…
 こうした不名誉案件や失敗ネタは上がってきにくいんだよな…」
伊島
「あと…
 年上とか上役からだと…
 どうしても萎縮してしまいますからね。」
「ここは私の腕の見せ所ですね。」
朝倉
「ドヤ顔すな…
 それもいつもよりも二割増しな感じは…」
伊島
「にしても…
 今から楽しみですね…
 朝倉さんが…
 どんな伏線を張っていくのか…」
朝倉
「こうしたネタの為に辞書作り始めたのかと最近思うようになったよ…
 目くじらなんか立てるよりも…
 笑ってしまうようなポカを俺もした事あったんだなって…
 飲み屋のネタにするくらいでちょうどいいんだよ…」
伊島
「一ネタ上げたらシリーズ化の為にも決起集会しましょ。」
朝倉
「それはお前が飲みに行きたいだけだろが…」

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