舟編みの人~第21話・好き避け?~
伊島
「最近、
朝倉先輩…
そっけないんだよね…
美土里さん、
なんか心当たりある?」
与那嶺
「それは、
泉先輩が一番ご存じなんじゃありません?」
伊島
「先輩…
そんなに恋愛経験多くないとか言ってたからなあ…」
与那嶺
「やっぱり心当たりあるんじゃないですか…
恋愛沙汰で年齢差もあって、
おまけに恋愛経験が少ないって事も加われば…
それは臆病にもなりますって…」
伊島
「意識させ過ぎたかなあ…」
与那嶺
「昔に比べて、
職場内恋愛も容認されているんでしょ…
うじうじしてないで、
ストレートに告白すれば良いんですよ。
別に直属の上司でもないんだし、
振られたところでやり直しは効くでしょ…
関係がぎくしゃくしそうだなんて…
今さらな心配は余計です。」
伊島
「振られたら振られたで、
あんた、
ネタにするでしょ…」
与那嶺
「それはちょっとだけしますけど…
ちょっとだけ…」
伊島
「ちょっとだけね…
確かに何も話題に触れないのも不自然だからね…」
与那嶺
「どっちに転んでも、
涙拭いたり…
手当する為のハンカチは用意しておきますね。」
伊島
「泣くの前提ですか…」
与那嶺
「だって、
朝倉先輩も泉先輩もこの手の事…
慣れていないでしょ?」
伊島
「なんか上級者顔して鼻につくわね…」
与那嶺
「少なくとも恋愛に関しては…
二人よりは経験してるつもりですよ…
参考になるかはわかりませんけどね…」
伊島
「こんなにも人の好意に向き合うのが難しいとはね。」
与那嶺
「難しく考えすぎですって…
こうしたのは早めに失敗して…
掠り傷くらいつけるのが勲章みたいな感じで良いんです。
恋も受け身だけじゃ試合にもなりませんよ…」
伊島
「あんたは寧ろ躊躇わずにお目当ての人…押し倒してそうね…」
与那嶺
「なんか泉さん可愛いからギュってしたくなります。」
伊島
「…変化球なんか投げずにストレートで勝負してくるわ。」