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舟編みの人~第5話・バレンタインデーチョコ~

朝倉
「そろそろ、バレンタインデーだな…」
伊島
「流石にチロルチョコとかは無しでお願いします。」
朝倉
「先手打たれてしまったか…」
伊島
「流石にGODIVAやモロゾフとかは勘弁してあげますけど…」
朝倉
「今からだと手作りじゃ間に合わないし…」
伊島
「別に朝倉さんにスイーツの腕前なんて期待してませんよ…」
朝倉
「それはそれで…
 ちょっと傷付く…」
伊島
「何なら…
 以前の社内イベントのバーベキューの時も危なっかしかったし…」
朝倉
「それは流石に俺じゃないし…
 危ないのを止めに入ったくらいだぞ。」
伊島
「ミイラ取りがミイラになりかけてましたよね…」
朝倉
「言い返したくても…
 言い返せない…
 やな事思い出させんなよ…」
伊島
「実際に火に油を注ごうとしている人…
 目の当たりにしたのは初めてです。」
「あと…
 消火し損ねている朝倉さんも新鮮でした…」
朝倉
「皮肉にしか聞こえないのだが…」
伊島
「最終的に消火したの私なんですからね…」
「ご褒美もらっても良いくらいの行動しましたよね私…」
「文句言っていいんですか?
 GODIVAやっぱり買って貰おうかな…」
朝倉
「財布を質に取られてる気がしてならないのだが…」
伊島
「しょうがない…
 中を取ってミスドの限定コラボの奴で勘弁してあげます。」
朝倉
「本当にいいとこ突くよな…」
「俺の懐具合を的確に把握して奢ってもらえそうなギリギリを攻めるとは…」
伊島
「あんな美味しいもの…
 食べない選択肢はありませんよ。」
「ミスドで奢ってもらうなんて…
 私にとっては良い事あったお祝いみたいなものですから…
 ミスドだけに…」
朝倉
「宣伝文句に乗せられているだけだろ…」
「何上手い事言ってやったみたいなドヤ感出すんだよ…」
伊島
「そんな事を言ってると買ってもらうセット増やしますよ…」
朝倉
「敵わないな…
 買やぁいいんだろ…」
伊島
「ところで…
 日本でのバレンタインのイベントを仕掛けたのって神戸のモロゾフがきっかけみたいですね…」
朝倉
「でも日本にバレンタインデーが定着するまでに40年近くもかかっているんだぜ…」
伊島
「だからバレンタインデーを流行らせたのは俺だみたいな論争がある訳なんですね…」
朝倉
「そういやあ…
 うちらの年代くらいだった気がするなあ…」
「学校にチョコのプレゼント持ってくるの禁止とか…
 あからさまに言われたのは…」
伊島
「あれは…
 モテなかった先生たちの僻みですよね…」
朝倉
「かと思えば…
 人気殺到の先生もいたな…」
「日本のバレンタインデーはチョコレート業界の陰謀とか言ってるやついるけどさ…」
「普及に40年近くかかっているんだから…
 どっちかというと執念だよなあ…」
伊島
「お話夢中になるのは仕事柄仕方ないですけど…
 本当に忘れないで下さいね…
 ミスドの限定コラボ。」

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