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北海道が好きになったわけ13

北海道の田舎の方は車が無いととても不便。僕らの住む納内町にはスーパーと雑貨屋さんと酒屋さんはあったので、車が無くても生活はできたけど、ほんの少し遠くに行くにもバスもJRもとにかく本数が無くて。

なので、アパートの7人でお金を出し合って車を買う事になった。とは言えボロアパートに入るだけあって、お貧しい人が多かったので値切りに値切って中古車2台を20万で買った。15万のラムダ号と5万のサニー号。両方とも恐ろしく古かった。

ラムダはパワーウインドウを上げる時に介添が必要だったし、左折するとパワステが切れる事もあった。サニーは坂道が不得意で、スキー場の駐車場まで辿り着くことができなかった。しかも、例のマッスルボーイ・チクリンが力任せにシガーソケットをブチブチっと引っこ抜いたせいでヒューズが飛び、すぐに入院が必要になった。

そんな2台だったけど、あると便利で行動範囲が広がった。まず向かったのが富良野の麓郷の森。そう、ドラマ「北の国から」の舞台であり、黒板家が住んでいた家が残っているのだ。その後、何回も行ったが、やっぱり初めて黒板家に入った時は震えるほど感動した。凄く粗末で汚い家なのにとても魅力的で、できることなら泊まりたかった。「北の国から」のお陰で、東京しか知らないモヤシっ子が、遥か北の大地で初めての一人暮らしをする事になるとは思ってもみなかった。その、自分のルーツとも言える麓郷の森、そして黒板家が最初に住んだ家は正に聖地だった。

「やっぱり車があるといいなぁ」と思った僕は免許を取る事にした。東京の細くてチマチマした道より、北海道の広い道路の方が取りやすそうだし。

で、やっぱりお金がないので非公認の教習所に通って検定試験を受ける事にした。

初日に行って驚いた。教官に「アンタ、車運転したことある?」って聞かれたのだ。

「エンジンかけて少しだけ動かしたことはあります」
「そっかそっか。したらさ、ほれ、仮免Aコース走ってみ」
「え?」
「検定はAからCまでコースあるから。今日は初めてだからまずAいってみっかな」
「え?え?ちょ、ひ、1人でですか?」
「ちょっとトイレで踏ん張ってくっから、適当に走っておいて。スピードだしちゃダメだよ」

おい!いいのか?教習所って乗り方とか確認の仕方とかから教わるんじゃないのか?

う〜、ま、いいっていうから走ってみるか。
走ってみたら意外と行けたwww


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