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北海道が好きになったわけ25

僕が行っていた頃の北海道拓殖短期大学は、大きく分けると3つの学部に分かれていた。

北海道内各地の農業や酪農業を家業とする家の息子さんが主に農業の経営を学ぶ「農業経済コース」。男子ばかりで、外見はヤンキーっぽいんだけど優しくて本当にピュアなヤツが多かった。

そして、北海道内各地から保母さんを目指してやってくる「保育科」。僕らはあまり縁が無かったので何をしているのかは知らなかったけど、多分、ピアノとかやってたんじゃないすかね。知らんけど。

そして、主に北海道外各地から、北海道で2年間島流しを耐えれば、一応テストはあるもののほとんどの人が3年生から東京の本校に編入できる「農経IIコース」。何で「農経」なのか分からないが、簿記の授業のお題も「農家のAさんの家でトラクターを買いました。農地は20haあり」みたいに農家をベースに学んだ。

「農業経済コース」は北海道の男子、「保育科」は北海道の女子、そして「農経IIコース」は道外からの男子に加えて1人だけ、道外からやってきた女子がいた。正に紅一点。

その子、八木ちゃんは色白で少しふっくらしていていつもニコニコしていて、なかなか可愛らしい女の子だった。ただ、男子120人くらいの中の女子1人という、ポケモンの色違いくらいの稀少性の高さから、男子は勝手に倍率の高さを想像して声を掛けることもできなかった。

また、渋谷から来たイケメン・チャボ達は、早々に「保育科」の子達と仲良くなっていたし、男塾のようなテニス部はテニスと飯の事しか頭にないヤツらばかりだったので、凄くモテモテだったという印象もない。

が、やはりそれでもそんな状況でも男らしく正々堂々と好きな気持ちをアピールする男子が2人いた。

そのうちひとりはチャボ軍団のひとり守。背が高く空手を続けていたためガッシリとした爽やかイケメン。普段はとても優しいのに、大切なモノの為には喧嘩も辞さない九州男児。しかもとっても良いヤツ。

そしてもうひとりは、なんとテニス部員。といってもコートではあまり見かけないけど宴会の時はいる、しかも盛り上げないで隅っこで飲んでる中学浪人の川路。背は普通。ガタイも良くない。見た目は地味。メガネかけてて一見頭良さそうだけど「オレ、中浪」と言うのだから、そこまで頭も良いわけではなさそう。というか、ココにいる時点で決して頭は良くない(当時の話です)。

まあ、ハッキリいって川路に勝ち目は無い。それでも川路は八木ちゃんが好き過ぎて、遂には守に決闘を申し込んだ。

「勝てる訳がない」、誰もがそう思った、その差以上に実力差がありすぎて一瞬で勝負は着いた。しかも、そもそも八木ちゃんも守が好きで、川路の事なんか知らなかったらしい😆😆😆
川路よう、お前、何がしたかったんだ?

後日、3年生になって東京の本校に通うようになってからは、あれだけ目立っていた八木ちゃんもすっかり影が薄くなっていた。更に影が薄くなった川路は本校で見かけることはなかった。



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