なんとかなる♪
なんとかなる…
30歳手前くらいまで
そんな頭で生きてきていた
実際なんとかなってた
試験勉強しなくても高校に入れたし
赤点は取ったりしたけど卒業出来たし
真剣に仕事しなくても
でかいミスはなかった
本気で好きになれなくても
彼女出来たし結婚も出来た
生きる事に必死じゃなくても
なんとなく生きてこれた
そんな無気力な自分
それじゃダメってわかっていたけど
なんとかなってたから考えなくなった
30歳手間の職場で
尊敬できる上司が出来た
私の転勤が決まり
その上司は
二人でやる仕事のパートナーに
私を選び作業していた時
「お前さぁ…なんとかなるって
今まで生きてきただろ?」
突然言われ図星すぎて驚いた
「はい…わかりますか?」
上司は優しく笑いながら
「お前見てると昔の俺そっくりでさ
でもな…
必ずなんとかならなくなる時がくるんだわ
どうしようもなく高くて厚い壁が」
私は黙ってしまった
いつも明るく優しい上司は
私の目をまっすぐ見ていた
「その時に気付くんだよ
なんとかなるんじゃなくて
なんとかしてくれていた人が
まわりにいたんだってさ
自分がなんとかしていたって
思いすらしてなかった事も
まわりの誰かが
自分の代わりに動いていたんだ」
少しは感じた事はあったし
ならいいじゃん?って思った
そんな考えを読んでいるみたいに
上司は語る
「なんとかならなくなる時ってのはさ
なんとかしてくれる大事な人が
まわりにいない時
いなくなってしまった時
失ってしまった時だ
今なんとかなっているなら
自分を磨いてまわりを見渡して
大事に過ごせよ(笑)」
私はその言葉の意味が
すぐには理解できず返事すら
返せたかも覚えてない位に
衝撃だった
そこから
劇的に生活を変化できる訳もなく
なんとかならなくなることもなかった
でもなあの日
上司に言われなかったら
私のまわりになんとかしてくれる
そんな人はいなくなっていたかもしれない
あの日から
自分を磨いて
まわりに優しく
まわりに気遣い
少しだけど出来ていたかもしれない
人は一人では生きていけない
失ってしまったら
取り戻す事が難しい信頼
上司はきっと
信頼できる人を作り
信頼される人になりなさい
そう言いたかったのかな…と
上司の年齢を越えた頃に
やっと気付けた