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日常(f)

僕はカワグチヤマトとして生きている。本物のカワグチヤマトではない。

都内のパン屋さんで働いている。朝早くからパン生地をこねる。朝が早い仕事で時給も高くないので求人広告を出してもなかなか応募がなかったらしく、僕は面接後即採用されたのだった。

僕は朝早く起きることも苦ではなく、パン作りも得意になった。
勤めているパン屋さんは駅から離れていて、大きくはなく、昭和な香りがするレトロなお店だが人気があるようだ。店長と二人でパン作りの日々。

僕はパン職人のこの人生を気に入っている。
カワグチヤマトとして生きる今を気に入っている。

本名はカワグチヤマトではない。本物のカワグチヤマトはこの世にいない。
これは拾った名前拾った人生である。
奪ったことになるのだろうか。

僕はカワグチヤマトとして毎日パンを焼く。これからもずっと。


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夢鳴き(カオル)
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