万年筆が好きだったころ
DEEP9Friday4週目担当、ディランわたなべです。
ラジオ、カメラ、ときたら、
次は万年筆にハマる。
実年齢は若いはずなのに、
レトロ思考らしい。
特に、人類の叡智が、集大成されている
アナログ的なメカニズムに弱い。
そこには、人類が、地上の現象を
つぶさに観察して、原理を突き止めた
歴史がある。
万年筆は、毛細管現象を取り入れている
筆記具だが、最大の発明は、
軸にインクを詰めたこと。
そこには、液体を漏れないように、
精密に加工されたインクタンクがある。
精密加工が、得意な日本とドイツで、
作られた万年筆が、市場には多いのも
うなづける。
これは、フィルムカメラの時代も、
ニコン、ライカをはじめとする、
日本とドイツの精密加工が、
得意な国だったからだ。
その、無骨な機能のみを体現したような
工業デザイン。
しかし、よく手に馴染む。
使い始めると、体のほうが、
吸い寄せられる。
とはいえ、万年筆は、書きにくい。
いや、書ける角度、速度が、決まっている。
一般的なボールベンの筆記角度では、
万年筆はインクが出にくい。
鉛筆やボールベンの筆記角度に慣れた
現代人には、酷な筆記角度なはず。
また、縦書きの際、
右から左に改行していくたびに、
インクが乾くのを待つ必要がある。
もともと、横書きも 右から左に書いていたものを、第二次世界大戦後に、
左始まりに、変えた歴史がある。
アジアには、墨と筆文化が、長年続いたが、
右始まりで、乾くのを待つことはあまりない。
筆記時に、手らをつかないからだ。
手をつかない筆記角度は、
万年筆では、書きにくい。
やはり、アルファベットを中心とした、
ヨーロッパ言語に適している筆記具だろうか。
日本メーカーが作った万年筆は、
日本語が書きやすい。
日本語筆記の特徴を研究した成果。
そんな歴史を握りしめながら、
字を書くのは、なんとも楽しい。
ただし、書いた後の字が汚いのは、
万年筆のせいではないらしい。