ゲルマラジオ
パソコンすら専門的な呪文を打たなければ動かな時代かった時代
お金の余裕もなく、親にねだるのも限度があった。
今あるもので工夫をするか、小予算で部品を探して手作りするか
ディラン少年は、日々考えを巡らせていたわけである。
世間を少し斜に構えて生きていた少年は、
オトナにあこがれながら、頭脳も器用さも追いつけていけず、
どのように「見た目だけ立派にできる」か、
今思うと、恥ずかし限りである。
ラジオ少年としては、自作ラジオが高性能であってほしいが
高性能を作れるほど知識は無く、どこかの雑誌記事をまねして
部品を組み合わせるだけだ。
そんな中、工夫次第で性能が大きく変わるラジオが
「ゲルマラジオ」だ。
ゲルマニウムダイオードを使い、AM波を検波し、
その信号で、直接クリスタルイヤホンを鳴らすもので、
古い時代には鉱石を使って検波していたラジオの構造と
同じなので、鉱石ラジオともいうようだ。
電源が不要で、基礎的な電子工作で作れる。
性能は、どれだけ電波をキャッチできたか。
アンテナの性能で大きく左右された。
電源がいらない分、音は小さいが、
乾電池やコンセントを気にせずに楽しめた。
理論上では、FM波もゲルマニウムダイオードで検波して
鳴らすことができるようだが、ディラン少年はいまだに成功していない。
いつか、ゲルマラジオで、自分の声を聴くことはできるだろうか・・・