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土井貴達 『独立・起業の鬼100則』

僕にとっての本書:
独立は甘くない。しかし、「生きる」ことは可能。相手を使わせてもらうためには、自分が相手にとって使える人物であること。


2022年出版。
まったく存じ上げなかったのですが、「鬼100則」というシリーズがあるのですね。その中の一冊。

著者はハードな生い立ちで、金銭的な天国と地獄の両方を若い頃に見ました。そうした方の言葉には説得力があります。「ストレートに言っていくぞ!」みたいな勢いのある書き出しで本書ははじまります。

著者の思いもあって、わりと強いワードチョイスの本ですが、それが心地よく刺激的だったりします。若くして「金儲けと権力」の重要さを痛感したという著者。歯に衣着せぬものいい、という感じかと思いきや、意外にも(?)読者を起業に誘う案内はとても丁寧です。

全般的な話(個人事業主or法人、起業準備は勉強の時間など)もありますが、個別具体的な話があり、そちらが大変魅力的でした。

たとえば、補助金にたからない、とか、人脈ひろげたいときには、孤独を恐れてわけのわからないサークルに入らない、など。面白いです。

友人やチームを大事にする、というテーマもあちこちに出てきます。

ストレートにものを言うぞと息巻いた著者が、「信頼を大事に!」と唱えるあたり、著者が仕事で大事になさりたいものが垣間見えるのかなと思いました。

以下、本書からの学びを箇条書きで。
・不安が消えないならば、準備期間を伸ばせばよい
・ひとことで言えば、大丈夫だ
・人を雇うのは、ストレス 
・もし失敗したら? 失敗の定義を考えよう 失敗は単なる情報
・退社:辞める前のローン? 慎重に
・退社:円満退社は必須 信用の問題
・やめた会社と、いつかはとりひきを
・やっぱり育ててくれてありがとう、なのである
・夫婦で、はやめておこう

感謝が大事。

ただ、著者の言う「感謝」はひねりが効いていて最高です。
苦労をもたらした人、見返したい人、感謝しよう。あなたを鍛える人だから。

極端なクレーマーや意地悪な人たち、感謝しよう。一度出会えば、「護身術」が身につくものだ。

 そしてその後、護身術を用いて解約したとして、「解約したところで、売上が減った以上に、ストレスがこんなにも減るのか!」 「こんなに気持ちいいなら、これからはなんならこちらからお金払って解約させてもらおう!」というプライスレスな体験をさせてもらえるわけである。
 感謝しかないではないか。
 売り上げを上げるためには、攻撃力だけではなく、防御力も必要だ。売り上げ欲しさに全てを受け入れてはいけない。防御力を高めてくれるのは、こういう人たちなのである。
 私も頭の中のデスノートを思い返しながら、報復できることに日々感謝を続けている。

「第5章 起業のために会社を辞める」 より

こういう前向きさは、すべてを自分ごとととらえるコーチングに通ずる部分があります。コーチたちは、すべては自分次第であるという前向きな状態のことを「アカウンタブル」である、と表現します。

こちらの本でいうところの、「05 主体的な行動をうながす」の内容にあたります(以前書いたレビューはこちら)。

著者の「感謝」の姿勢は、アカウンタブルだと感じました。


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