感想 「イントゥ・ザ・ワイルド」 コーチングの学習素材として
僕にとっての本作:
永遠のフェイバリット。
Into the Wildは、2007年の作品。
実話をもとにしたドラマ。
僕はこの映画を、親友のすすめにより知りました。
そしてそれ以来、何度も見たし、何度も人におすすめしました。
映画全編にわたって、Eddie Veddarのサウンドトラックが効果的に気分を高めてくれます。Eddie Veddarも好きだなあ。
僕は現在、コーチング学習中。
前回、ヘルマン・ヘッセの作品をとりあげてしまい、好きなものを紹介する熱がおさまらず、今回は本作を。
クリストファー・マッキャンドレス(1968-1992)は、頭脳明晰、妹想いの心優しき好青年。
しかし、彼は人生の本質を見定めたいと思っている。大学卒業の直後、将来を嘱望される身でありながら、突如アラスカへと旅立つ。最低限の持ち物をたずさえて。
これから先、かれはアレクサンダー・スーパートランプに名を変えた。
旅先で出会う人々との対話が、この映画の主な内容になります。
アレックス/クリスは、出会うひとびとと、対話し、心を通わせる。
そして人々の心の傷を癒していく。
うん、アレックスは、聴くことの達人なのですね。
このことを、自分の1on1コーチングの目標に据えたことがある僕は(この話についてはこちらの記事)、もう一度、見かえす必要がある映画でした。
アレックス/クリスは、聴くことの達人。
傷ついた人たちに、彼は3種類の関わり方をします。
・カウンセリング 聴くことに注力
・ティーチング 答え、あるべき姿を指し示す
・コーチング 問いかけ、答えをひきだす
どれも行うのですが、人々がアレックスに心を開いた要因は、聴く力によるものでした。
ベストシーンとして名高いのは、最後に出会う老人、ロン。
退役軍人のロンは人生に背を向けている。目標を持とうとしない。
この場面のアレックスは、きわめてコーチ的。
ロンは、執拗にアラスカにむかおうとするアレックスに、問います。
「なあ、何から逃げようしているんだよ? なぜだよ?」
アレックスは、丘の上から答える。
奮起したロンは、丘をあがってみせます。
クリスは、声をかける。
「いいぞ!その調子だ、ロン! いいぞ! すごいよ!」
この部分は、クリスからロンへの、大事な、全力アクノレッジメントの場面。
クリスは、ロンを信じて、思い切ってストレートに問いかけた。
「あなたは何から逃げようとしている?」
すごい偶然…はからずも「コーチカーター」が出した問いによく似ているものでした。
実際の場面で、「あなたは何を恐れている?」とか「何から逃げている?」とか質問するためには、クライアントとの信頼関係が強固でなければ無理だし、逆効果になるでしょうね。
でも、この質問は強力だ。
僕が学習しているコーチエィ・アカデミアでいえば、こういうモジュールで1ヶ月間、質問について学びました。
と、今回はクリスとロンの対話に学ぶ回でした。
クリスは、アラスカにたどりつき、最期をむかえる直前、人をもとめます。彼は感動を共有したいと強く願う。
人や世に背をむけたはずのクリスが戻ってくる場面は、ヘッセの「アウグスツス」に通ずる部分がありますね…
映画は、コーチングにおいても効果的な教材。これまでにもとりあげましたが、なぜ映画をもってコーチングの学びにしようと思ったのか、といえば、こちらの本で、取り上げられていたからでした。
著者の鈴木義幸氏(株式会社コーチ・エィ社長)は、エグゼクティブコーチングを実施したとき、クライアントと「ゴッドファーザー」について語ったこともあるそうです。おっしゃるに、「ゴッドファーザー」は、ある面ではリーダーシップを学ぶことができる素材になるとのこと。
そういえば、昔から、対話がメインの映画が好きでした。ツタヤでいえば「ヒューマンドラマ」のコーナーにあるような。
ときどき、これまで見たものを、コーチング的な視点からふりかえってみたいと思います。本作 Into the Wild もまだまだ深掘りできる作品です。