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感想 「イントゥ・ザ・ワイルド」 コーチングの学習素材として

僕にとっての本作:
永遠のフェイバリット。


Into the Wildは、2007年の作品。
実話をもとにしたドラマ。

 若さゆえの生真面目さで自らの心と向き合い、過酷なアラスカの大自然に立ち向かっていった一人の青年の姿を追ったジョン・クラカワーのベストセラー・ノンフィクション『荒野へ』を、オスカー俳優ショーン・ペンがメガフォンをとり映画化。恵まれた境遇にありながらも繊細な感受性ゆえに満たされずにいた青年が、突然すべてを捨て、ヒッチハイクでアメリカを縦断しながら様々な人々との出会いを経て、最後は徒歩でアラスカの荒野へと分け入り、その4ヵ月後に餓死した死体となって発見されるまでの心の軌跡を静かに見つめていく。主演は「ロード・オブ・ドッグタウン」のエミール・ハーシュ。
 1990年夏、ジョージア州の大学を優秀な成績で卒業した22歳の青年、クリス・マッカンドレス。卒業祝いに新車を買ってあげるという両親の申し出をあっさり断った彼は、通帳にあった預金全額を慈善団体に寄付し、家族に何も告げることなく、文字どおり無一文でアラスカへ向けて旅に出る。道中、様々な出会いと経験を重ねるクリス。サウスダコタでは彼の無鉄砲を諫めてくれる陽気な兄貴分ウェインと親交を深め、スラブスではヒッピーなどアウトサイダーたちが集うコミューンに身を寄せ、そこで美しい少女トレイシーと出会う。彼女はクリスに好意を抱き、クリスにも恋心が芽生えたかに思われたが…。一方その頃、残された家族は音信不通の息子の身を案じ、祈る思いで彼の帰りを待つのだったが…。

allcinema様のレビューより、https://www.allcinema.net/cinema/329456

僕はこの映画を、親友のすすめにより知りました。
そしてそれ以来、何度も見たし、何度も人におすすめしました。
映画全編にわたって、Eddie Veddarのサウンドトラックが効果的に気分を高めてくれます。Eddie Veddarも好きだなあ。

僕は現在、コーチング学習中

前回、ヘルマン・ヘッセの作品をとりあげてしまい、好きなものを紹介する熱がおさまらず、今回は本作を。

クリストファー・マッキャンドレス(1968-1992)は、頭脳明晰、妹想いの心優しき好青年。

しかし、彼は人生の本質を見定めたいと思っている。大学卒業の直後、将来を嘱望される身でありながら、突如アラスカへと旅立つ。最低限の持ち物をたずさえて。

これから先、かれはアレクサンダー・スーパートランプに名を変えた。

旅先で出会う人々との対話が、この映画の主な内容になります。

アレックス/クリスは、出会うひとびとと、対話し、心を通わせる。
そして人々の心の傷を癒していく。

うん、アレックスは、聴くことの達人なのですね。
このことを、自分の1on1コーチングの目標に据えたことがある僕は(この話についてはこちらの記事)、もう一度、見かえす必要がある映画でした。

アレックス/クリスは、聴くことの達人。
傷ついた人たちに、彼は3種類の関わり方をします。

・カウンセリング 聴くことに注力
・ティーチング  答え、あるべき姿を指し示す
・コーチング   問いかけ、答えをひきだす

どれも行うのですが、人々がアレックスに心を開いた要因は、聴く力によるものでした。

ベストシーンとして名高いのは、最後に出会う老人、ロン。
退役軍人のロンは人生に背を向けている。目標を持とうとしない。
この場面のアレックスは、きわめてコーチ的。

ロンは、執拗にアラスカにむかおうとするアレックスに、問います。
「なあ、何から逃げようしているんだよ? なぜだよ?」

アレックスは、丘の上から答える。

同じ質問をあなたにするよ、友人!
あなたこそ、何から逃げようとしているの?
といっても、僕はその答えをすでに知っているんだけどね!

あなたの人生はまだ長い。
根本的にかわるべきなんだよ。
新しい体験、新しい精神から背を向けている、逃げている!

ずうっと、そこで尻をついて座ったまんまじゃないか!

クリスとロンの会話(意訳はMRT)
Chris and Ron  ©︎

奮起したロンは、丘をあがってみせます。
クリスは、声をかける。
「いいぞ!その調子だ、ロン! いいぞ! すごいよ!」
この部分は、クリスからロンへの、大事な、全力アクノレッジメントの場面。

クリスは、ロンを信じて、思い切ってストレートに問いかけた。
「あなたは何から逃げようとしている?」

すごい偶然…はからずも「コーチカーター」が出した問いによく似ているものでした。

実際の場面で、「あなたは何を恐れている?」とか「何から逃げている?」とか質問するためには、クライアントとの信頼関係が強固でなければ無理だし、逆効果になるでしょうね。

でも、この質問は強力だ。
僕が学習しているコーチエィ・アカデミアでいえば、こういうモジュールで1ヶ月間、質問について学びました


と、今回はクリスとロンの対話に学ぶ回でした。
クリスは、アラスカにたどりつき、最期をむかえる直前、人をもとめます。彼は感動を共有したいと強く願う。

人や世に背をむけたはずのクリスが戻ってくる場面は、ヘッセの「アウグスツス」に通ずる部分がありますね…

映画は、コーチングにおいても効果的な教材。これまでにもとりあげましたが、なぜ映画をもってコーチングの学びにしようと思ったのか、といえば、こちらの本で、取り上げられていたからでした

著者の鈴木義幸氏(株式会社コーチ・エィ社長)は、エグゼクティブコーチングを実施したとき、クライアントと「ゴッドファーザー」について語ったこともあるそうです。おっしゃるに、「ゴッドファーザー」は、ある面ではリーダーシップを学ぶことができる素材になるとのこと。

そういえば、昔から、対話がメインの映画が好きでした。ツタヤでいえば「ヒューマンドラマ」のコーナーにあるような。

ときどき、これまで見たものを、コーチング的な視点からふりかえってみたいと思います。本作 Into the Wild もまだまだ深掘りできる作品です。


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