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仔猫ちゃん

昼間は留守にしていたから気づかなかった。

夕方になりキッチンに立つと、
遠くのような、近くのような…
なんとなく聞こえる。

「ミャー、ミャー、ミャー…」

昨日、中くらいより少し小さいネコをみた。
白に黒ブチ。牛柄。

裏庭に停めてある車の近く。
車、出したいんだけどな。

「…そんなとこで何してんの?
あぶない、あぶない。」

声を掛けたら低めの塀の上にあるフェンスの隙間にピッタリ収まってくれた。

よしよし。


…あのネコかな。

と思ってあまり気に留めずにいた。


長女帰宅。
「ねぇ。仔猫がいる。」

知ってる。このくらいでしょ?と手を開いてみた。

いや、もっと小さい。って。

見てみたらホントに小さいグレーの
キジトラ。

ウチの方は只今カラスだらけ。
仔猫は狙われやすい。
うちの庭で大惨事は避けたい。


我が家はネコは飼えないと思う。
呼吸系が敏感な次女を優先したい。
ネコの抜け毛を心配しなくて済むような
掃除力に自信がない。


どうしようか、どうしようか?、としばらく外で様子を見ていたが、どうにも放っておける状況ではなくなってきた。
薄暗い庭の草むらで鳴かせておくことが忍びない。

「ひとまず今夜は、、」ってことで
玄関に深めの段ボールにタオルなどを入れて
保護することにした。
幸い翌日は次女の訪問入浴しか予定がないので少しお世話もできる。
それからこの先を考えよう。


息子は仔猫を見ると「可愛いなぁ」と言い、
旦那は抱っこまでして話しかけたりなんかして。動物好きの長女は、せっせと色々用意をしている。

お水は飲ませたいよね、
少しでも何か食べないとね、
おしっこ出てない?させなきゃね、

代わる代わる玄関に行く。
気になって仕方ない。
…可愛い。


息子が、
「みんなして可愛い可愛い言って、飼えないけどどうする?淋しいよね?
いなくなっちゃったら。…そしたら、
…俺がネコになる!」

…なるほど。そうですか。


翌日の午前中、友達からラインがきた。

「やっぱり亜鉛て良いらしいよ!」

これは、友達推奨のサプリの話し。
ありがと!試してみる!

「ところで!…」

ここで私は友に告げた。

「ネコ飼わない?」

撮りためた「可愛い♡」を送信する。

実は、この友。ネコの保護をしては独自の
にゃんこネットワークを使い貰い手を募るなどしてきたベテランだ。

ウチが飼えないことをわかっている。

あれよあれよと言う間に

「今夜迎えに行くわ✋」ということになった。

そしたらそしたで
心の準備が追い付かない。

寂しくなるなぁ…

はじめましてなのに躊躇なく寄ってきて、
ちょっとかまえばミャーミャーとジャレて。
少しでもゴハンを食べれば喜んで、
狭い玄関の中、私の後をちょこちょこ追ってくる。

たった一晩と数時間。

ネコって可愛いのね。とはじめて触れあった仔猫の可愛さにメロっときてしまった。

私、思っていたよりネコが好きなのかも。


あぁ。それなのに。さよならの準備。


夜のお迎え予定だったけど娘ちゃんが我が家の近くにいるので、そのまま娘ちゃんがお迎えに来ることになった。
お別れの時間が30分後になってしまった。

「ちょっと寄ってく?」と誘ってみたが
「あ、今日は帰ります」って。

引き延ばせなかった…

バイバーイ。

ゆっくりと走り去る車を見送った。


夜になり、昨日より少し静かな時間の中
息子に言ってみた。

「ねえ、昨日なんて言ったか覚えてる?」

「へ?」

「俺がネコになる!って言ったよね?」

「あー、あー!言ったね!オレ、
言ったね!」

「…ねぇ。…ネコになってよ!
今日は全力でネコになってよぉ」


ちょい太めの声で
「に”ゃ〰️。に”ゃ〰️。」って鳴いてる。
ちきしょー。まあまあかわいい。

黙って眺めていたら、こちらをチラッとみて
にやけた顔で起き上がった。
おもむろに
その場でランニングしたと思ったら、
合間合間に
「にゃあ♪」って。

…なにそれ?

…あー、猫ひろし。

…ありがと、ありがと。元気でたわ。


※その後、まだ貰い手見つからず。
「ウチで飼おうかな?」
言いたい気持ちをグッと堪えている。

※夜になり、「貰い手、見つかったよ~」と。なんと4件ものお宅が手を挙げてくれたらしい。
「ウチが飼うよ」言いたかった言葉は飲み込んだまま。涙を堪えて幸せな結末を喜んだのでした。幸せに暮らすんだよ〰️🐈️ニャーニャー



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