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途中でやめずに、ちゃんと感じきる時なのかもしれない。

毎年9月は何か事が起こりやすい。
と昨年気づいた。
「今年は特に何もなさそうだ…」
と思っていたけど、どうも心は落ち着かない。
自分の内面、
特に負の感情を深掘りさせるような気持ちが少しの事をきっかけに幾つか湧いてくる。
見て見ぬふりをしてきたこととか。

答えに辿り着きたい気もするが、
アドバイスを求めているわけでもなく、
ただ、感じている段階なのかもしれない。

いくつかある中で、まず引っ掛かった
のが、「惨め」という感情だ。



いつも、なるべく誰かの「気づき」や、
何かのきっかけになりたい。と思って書いているけど、今回、なんのオチもなければ
前向きさもない、ただ自分勝手に書いてしまうだけ。

…暗いよ。嫌われちゃうかな…





子どもの頃、散々惨めな想いをしてきた。
とにかく「お金がない」という感覚ばかり味わってきた。

幼稚園の時のクリスマス。
画用紙で大きな靴下を作る時間があった。
家に持ち帰り、寝る前にタンスの取っ手にぶら下げて、お手紙を添えた。
翌朝、ドキドキしながら紙の靴下を覗く。
夜と何の変わりもなかった。空っぽの靴下にびっくりしたし、ガッカリした。当時、何を欲しがっていたのかは覚えていない。ただ、この頃から泣くこともしなかった。サンタさんはうちには来ないんだ。ってことをひとりでそーっと受け入れた。
今思えば、せめてお手紙の返事を入れるくらいできただろうに…。と思う。

新しい物なんて滅多に買ってもらえなかった。
本にしても、オモチャにしても。
学校で使う体操服も、リコーダーも、
絵の道具も、習字の道具も…
四姉妹の末っ子は、歴代のおさがりと貰い物で出来上がっていた。
歳の離れた末っ子だったから、
それらは皆の物とは色も形も全て違っていて
「なんでいつも違うの?」
「なんでこんなに古いの?」
「なんで一人だけみんなと違うの?」
と悪気なく聞かれる。すごく些細と思われる一言一言が、それが全部突き刺さる。

貧乏を知られたくないと思った。恥ずかしいを上回るこの気持ち。本当の事が言えない。

言い訳を考えることもうんざりだった。
学校へ行きたくない。と思った時もある。
でも、「休みたい」と言うこともできなかった。
行きたくない理由を親に知られたくなかったし、お母さんをこれ以上困らせたくなかった。お母さんが大好きだった。
お母さんはとても大変な想いをしていると感じていた。父は知人の借金の保証人になっていたらしい。自分も余裕があるわけでもなかっただろうに。
朝から大声を出してズカズカ土足で家に入ってくる借金取りに見つからないように隠れるお母さんの姿。他所にも女がいる父。「浮気される方が悪い」と責める祖母。これがお母さんの日常の全てではないのに私の心にはすごく残った。お母さんは陰でこっそり泣く。それを私は全部知っていた。


大人にしてみたら何でもないことかもしれない。学校でのただの道具の話し。
「みんな違ってみんな良い」
今ならそう言ってもらえるかもしれない。
でも、当時それは通用しない。
特に物理的な物に関してこの言葉は
ある程度揃ってる余裕のある人の言葉でしかない。

みんなと同じがいい。
みんなと同じがいい。

ずっとそう思ってきた。

家庭の事情は
いつも私の頭にモヤモヤを残す。

惨め。

…惨め。この感情がそうなんだろうと大人になって分かった。

この状況が本当にいやだ。
自分の好きなように過ごせるわけない。
だって、欲しいものも、やりたいことも
手にすることができないんだから。
惨めを感じないように自分を立ち上げてあげなければいけない。
夢や希望なんて持ってもしょうがない。

こういう気持ちすら表現できなかった。
辛い気持ちを知られたくない。
いつもいつも平気なふりをする。

小学生が、よく頑張っていたな。と思う。
泣けばよかったのに。
「なんで?うちはこうなの?」って。
今、あの頃の私を見つけて
駆け寄って抱き締めてあげたい。
あの感情に埋め尽くされて萎縮している
心をずっと奥に隠して、笑っていると知ってるから。

中学生になる時、両親は離婚した。
たぶん、母子家庭になった方が都合が良いくらいの環境だったのだと思う。


自分でお金を稼げるようになっても
親の借金の返済に一部は回さなければいけない。

バイト代から高校の諸々全てをまかなう。

未だに覚えている。
授業料11820円
バス代13760円

その他、お昼代、修学旅行積み立て、
とにかく…全て。


長いことそのように生きていると
それが普通と思えるようにするため
潜在意識になる。
辛いと思う私を守るために。
そうしないと多分生きていけなかった。

惨めを感じたくないから、惨めと思う前に
強気になり、なにくそと奮い立たせる。
腐ってたまるか。と思う。
何に対してなのか?…見返してやる。と思う。
泣くもんか。と思う。

社会人になって、
週6日、一日9時間以上の仕事をしてきた。
独身のうちは、年齢より高収入だったと思う。
おかげでお金のことで惨めな思いはだいぶ減った。相変わらず親の借金返済と、母の生活のために姉妹で分担はしていたけど、
みんなと同じがいい。自分だけで好きなように使いたい。とはあまり思わなかった。
きっと子どもの頃の辛さよりも軽かったんだ。
「仕方ない」と片付けることができていた。
そう思うしかなかったのかもしれないけど。

代わりに、人との関わりで惨めを知ることが増えた。

年齢的にも恋愛に関して特にそうだった。

たしか、お互い好きで一緒になったはず。
どうしてズレるんだろう?
約束してたのに。
待っても待っても帰ってこない。
・・・
明るく迎えよう。
髪型を変えてみよう。
部屋にお花を飾ろう。
美味しいご飯を作ろう。
笑顔で可愛くいよう。

…何も変わらない。ならば

わざと素っ気ない態度をとってみる。
思わせぶりに予定をキャンセルしてみる。
心配してよ。気にしてよ。焦ってよ。

どうしてこうなんだろう?

彼の部屋に入ったら何か形跡があることを
見逃さない目が私にあった。見えてしまう。
…私の大好きな綺麗な形のその手は、どのくらいの時間、私以外に触れてきたんだろう。
胸が気持ち悪い。もう抱えきれない。
たまらなくなり追求する。
…でも、心がここにない人には何も響かない。虚しい。ケンカになる。

嫌いにならないで。
こんな風になるならもうなにも言わない。


ひととおり感情を辿ってみたけど、
自分を変えようと、無理に明るく笑っていた時が一番惨めだった。

このころに、ちゃんと惨めを認めていたら
今が違っていたのかな。
なんでそこまでしてすがりついていたんだろう。
自分を抑えて一緒にいることに何の意味があったんだろう。

惨めを認めたくない意地だったのかな
ここでもがんばっちゃったのかな




長い年月がたった。
苦しさを経験してきた自分を誇らしく思えたくらいの日もあった。

今更、実はなにも昇華できていなかったと知った。


…先月のこと、

会社の所属する部署で飲み会があったらしい。
その日、他の部署の人に聞いたようだ。

…「何も知らされていなかった」って。
自分の知らないところで自分以外がみんな知ってる飲み会。

私は、ずっと馬鹿馬鹿しい会社だと思っていた。そんなところ早く辞めてしまえ。と思っていたし、言っていた。

でも、長年色々聞いているうちにふと思った。
会社も会社だけど、あなたもあなただ。
自分の不満を社内の人に愚痴っては何とかしてもらおうとする。
最初は親身に聞いてくれていても
誰もどうにもできないよ。組織って。普段は優しい顔してても面倒が起こると変な団結するんだよ。気持ち悪いんだよ。

結果、「文句ばかり言ってる人」になるじゃない。

会社の理不尽を理解しようとしてくれた人に純粋に感謝したことある?

愚痴を聞いてくれた人に対して、
「今じゃ手のひら返したみたいに向こうの言いなりだ。所詮、あの人もみんなと同じで自分が可愛いんだからしょうがねーよ」と
不信感を募らせていた。

それは違うよね?

どうしてそうなる?
愚痴の先に何を求めているの?
自分の勝手な期待を他人任せにした挙げ句、その人の人格を疑うような発言をするの?

誰だって毎日毎日顔を見れば文句が始まる人のところは避けるって。

あまりにも幼稚な考えに心底悲しくなった。

本人はそう思っていないだろうけど、
これは、あれだ…

頭の中がゾワゾワする。

過去の惨めが一気に蘇った。
惨めな姿が目につくようになった。
身近な人の惨めにも執拗に嫌悪感が湧く。
自分にも惨めが襲ってくる。


一度習慣化させると、途中で不都合がおきても変えることができない人。
会社もそう。
粘り強くてスゴいと思う。
辞めちまえ。と提案した時、
「居心地がいいからな。休みがとりやすいし」と言っていた。
居心地がいい?不満しかないのに?
どれだけ文句を言っても、変な言い訳をしてそこを選んでいる。
決断ができない。変化を嫌う。
どんなことがあっても現状がベストだと思い込む。変化の先にプラスを見出ださない。


結婚まで11年かかったことに今更納得した。


日頃から自分を下げることをする。

「どれにする?」
「どれでもいいよ。余り物で」

余り物ってないんですけど。
その言い方やめてもらえませんか。

いつもそう。

いちいち自分を下げている。きっと無意識。

そこに私が必要以上に敏感になってるのも分かってる。
でも、ザワザワする。
どんどん惨めが私に近づいてくる。
もういやだ。

…自分を下げて扱うから、人からもそのようにされるんだよ。

自分の周りは自分が作っている。

これって、あなたとの繋がりって、
私がそうだからなのか?




もう1ヶ月ここから抜けられない。
少しずつ少しずつ出てきてはここまできた。

あー。苦しい。泣きたい。
泣いちゃう。

無条件で抱き締めてほしい。
小さくなった私を上から下まですっぽり
覆ってほしい。
優しくいいこ、いいこよりも、今は
頭をがしっと両端から手で鷲掴みして力強く覆ってほしい。もう何も考えなくていいよ。
ずっとずっと辛かったね。もう大丈夫だよ。
って。頭を締め付けて全て忘れられるくらい。

過去の自分は私が抱き締めてあげられる。
でも今の自分は?誰に抱き締めてもらえば脱力できる?
死んだ父親?あの頃は辛くさせて悪かった。って?


…たぶん、あともうちょっとだ。





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