心を殺すことはrude
よく行く野池でばったり出会うおじいさんがいて、毎回毎回初めて会った振りをしている。相手は勿論、自分のことなんか覚えていないみたいで、毎回同じ話をしてくる。今日、一年ぶりくらいにその人に出会った。毎回嘘くさい話をしてくるんでちょっとめんどくさいなぁと思っていた。特に喧嘩自慢。でも今日は「ほら額に傷があるだろ」って見せてきた。
ひらめいた。「あ、これは街録の流れだ。」そう思ってからは気分は三谷さんで、脳内には猛れ猛れ猛れ~ですよ。もう街録の気分でめっちゃ話聞いた。
「俺はサイハラっていうんだけど、仲間からはサイさんって呼ばれてるんだよ。」
確かに車のナンバーが31(サイ)。
どこに住んでるんですか?
「練馬。昔は川崎に住んでて、川崎で白タ〇やってた」
へえ~。白タ〇ってやっちゃダメですよね?
「だめだめ。でもね、だいたい20人くらい川崎の駅前にはいたんだよ。」
儲かるんですか?
「多い時でだいたい150くらいだな。ガソリン代なんてタダだけどね。」
なんで?誰かにもらうですか?
「ちがうよ~友達のコルベットから抜くんだよ。昼間。」
え?そうなんですか。それってもう犯罪じゃないですか。
「こっそりね。あとは、あちこちのキャバレーとかバーにお酒卸してた。なんか外人から頼まれてたんだけど、あれなんだったんだろうな~」
なんか危ない違法っぽいお酒ですね。
「そうかもなあ。」
「喧嘩も強かったよ。俺は自己流で空手やってたからね。その辺のチンピラがみかじめ取りに来るだろ?今は持ってねーから明日取りに来いっていうんだよ。それでもいうこと聞かねーからすぐにパーンだよ。次の日、そのチンピラ謝ってきたよ。事務所であの人には逆らうなって言われましたって。」
結構悪いんですね。
「今はこんなじじいだけど、今でもお兄ちゃんの顔くらいなら足届くよ。ここに傷があるでしょ。これやった時はすぐに知り合いの看護師のいる病院行って、階段から落ちたって言ってやってもらったんだけど、医者はこれは違うって。咄嗟に看護師が、先生この人、多分やらなかったら自分で縫うかもしれないからやって。って。」
何でやられたんですか?
「角材かな。歩いてたらちょっとお兄さんって声かけられて振り向いたらカツーンって」
うわあ。痛そう。
(家族のこと聞いてみようかな)
「まあ、親父はこんなんだけどさ、息子は北京オリンピックに出たんだよ。障碍者になっちゃってさ、それでパラリンピックに出たんだよ。」
※一部脚色
え!すごい!めちゃくちゃすごいじゃないですか!
「おやじ、予選会でシドニー行かなきゃで滞在費だけでも出してもらえねえか?って聞いてきてね。いくら?って聞いたら20万くらいあればっていうからだしてやったよ。かあちゃんにはないしょなって。」
へ~。それで北京に出たんですか。すごいですね。
「うん。今でも月に一回くらいは連絡してきて、おやじなんか食いに行くかって。俺の女房はもう天に行っちゃったからな。」
ああ、そうなんですね。
こーんな感じで本当はもっといろいろ聞けたしまだまだ面白いことたくさん聞けたんだけどあまりにも長文になりそう。家族のこととか悪じゃない部分の話をもっと聞きたかったな。きっといい話もってそう。
三谷さんに録りに来てくれないかな。