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アメリカ・カナダでの赤ちゃんトイレ事情・授乳環境

毎年数週間、シアトルの友人宅を拠点に、アメリカやカナダの観光地を旅行しています。
老後の蓄えより、まずは旅行♪ 
お金はわずかでも元気なうちにと🤣

そうすると職業病なのか、施設の中にある赤ちゃんに関するモノばかり目に付いてしまいます。

トイレのおむつ交換台は、アメリカやカナダの方が日本より種類が豊富です。
それが赤ちゃんにとって快適かどうか、……それはわかりません。
備え付けの設備は日本と多少異なっていますので。

そこで、今回はアメリカ・カナダでの赤ちゃんトイレ事情・授乳環境を日本と比較しながらご紹介します。
これから赤ちゃんと北米に行かれるかたは是非参考にしてくださいね。


赤ちゃんトイレ事情

飛行機のおむつ交換台

まずは海外に行くのに利用する飛行機のおむつ交換台から。
飛行機内の狭いトイレには開閉式おむつ交換台が設置されています。

フラットテーブルの開閉式おむつ交換台
浅い窪みが付いた開閉式おむつ交換台

飛行機の機種によっておむつ交換台のサイズや形状は異なります。
どれも囲いがないので、飛行機が揺れたら赤ちゃんは落下しやすいです。
シートベルト着用サインが消えたからといって、飛行機が揺れないとは限りません。
十分に注意して作業しましょう。

出来れば搭乗時間前に、おむつ交換を済ませておくことをお勧めします。
日本の空港にはトイレだけでなくベビー休憩室(授乳室あり)にもおむつ交換台が設置されています。
飛行機内のおむつ交換に比べて、はるかに快適に作業できます。
欧米やアジアの国際空港にもトイレにおむつ交換台を設置してあるところが多いです。

ちなみに飛行機内にベビーキープ(子ども椅子)は設置されていません。
トイレを使用したい場合は、同伴者に赤ちゃんを見てもらいましょう。
大人が自分1人の場合は、その間だけ客室乗務員が赤ちゃんを見てくれますよ。
ただし、食事の準備や配膳、免税販売などで忙しくない時間帯にお願いするのが良いでしょう。

ファミリーレストルーム

カナダ バンクーバー空港の親子トイレ
両親と子ども、車いすのピクトサイン

アメリカやカナダの施設には、家族で利用できる親子トイレがあります。
ファミリーレストルームなどと言い、車いすでも利用できるようになっています。
日本の多機能トイレに似ていますが、大人用便器と一緒に子供用便器も設置されているのが一般的です。
手洗いシンクも高さを変えて、大人用と子供用が揃っています。
また、その中におむつ交換台が設置されているところもあります。

便器とシンク、それぞれ大人用と
子供用が揃っている
開閉式おむつ交換台(左)が
設置されている親子トイレ

写真をご覧の通り、ファミリーレストルームはとても広いです。
車いすや大型ベビーカーで入っても余裕です。
上の子どもが一人で用を足している間、親は下の子のおむつ交換ができて便利ですよ。

アメリカの「ベビーズ法」

2016年10月、当時のオバマ大統領が「Bathrooms Accessible in Every Situation Act(トイレを全ての状況に適応させる法)」に署名しました。
ベビーズ法とも言われています。

この法律が成立したことで、一般の人たちも利用できる連邦政府の施設(裁判所や郵便局など出入り自由な建物内)にあるトイレすべてに、赤ちゃんのおむつ交換台が設置されることになりました。

その後、NYなど一部の州でも公共の男性トイレにおむつ交換台を義務化するなどの動きが広まっているとのこと。

男女平等に関しては日本よりずっと進んでいるアメリカですが、男性がおむつ交換できる場所は最近になってやっと増えてきたのは意外でした。

女性用・男性用トイレ

女性用・男性用トイレにはベビーカーごと入れる広めのブースが1つ以上あるところが多いです。
おむつ交換台はその個室内だったり、手洗い近くに設置されていたりします。

奥が普通の個室トイレ、手前がベビーカーや
車いすで入れる広めの個室トイレ
ビルトイン(壁収納)された個室トイレの
開閉式おむつ交換台(左)
中央に紙おむつ自販機

個室に入っているおむつ交換台は手すりを除けるため、その上に設置されているのもあります。
この位置だと、身長の低いの親の場合、作業するにはちょっと高そうです。

おむつ交換台の種類

欧米のおむつ交換台は壁固定のみで、床に固定する脚付きタイプはありません。

開閉式おむつ交換台は壁固定のみ

日本では床にも固定する脚付きタイプの方が多いですけどね。
理由としてはいろいろあります。

まず日本と違い、扉や側壁の下が大きく空いていることです。
下を見ると、便器に座っている足がしっかりと見えます。
足元が見えれば使用中なのか分かりやすいし、病気で倒れていれば見つけやすいです。
一説には麻薬などの犯罪取引を防ぐためとも言われています。

このように下が空いている側壁には、脚のない仕様の方がすっきりします。
また、湿式トイレ(水を流せる排水溝付き)が主流なので、脚付きだと錆が発生しやすくなります。

側壁に取り付けてあるおむつ交換台ですが、反対側(隣のトイレ個室)は固定してあるボルトやナットが丸見えになっています。
日本だったら、デザイン的にどうかなと思うところですが、そんなことは気にしていないようですね。

写真左のように、ボルトやナット(4カ所)が
見えた状態で固定されている

ここで、色々なおむつ交換台をほんの一部ですがご紹介します。

横型の開閉式 ベルトあり
横型楕円形状の開閉式 ベルトなし
横型の開閉式 ベルトあり
横型の開閉式 ベルトあり
縦型でビルトイン開閉式 ベルトあり
横型でビルトイン開閉式 ベルトあり
据え置き型 ベルト付き 右に手洗いあり
据え置き型 ベルトあり 左に手洗い(下記写真)
右端が据え置き型おむつ交換台

ちなみに日本のトイレは海外とは逆で圧倒的に脚付き仕様が多いです。
脚が付いていると、床にアンカーボルトで固定できるので、壁面内部に補強しないで済むからなのかもしれません。
また、商業施設では乾式トイレ(排水溝がなく床に水を流さない)が主流のため、脚付きでも錆にくいです。

おむつ交換台用ペーパーシート

おむつ交換台を開くと壁側にペーパーシートを入れるケースが付いているタイプもよく見かけました。
ただ、そこにペーパーシートが入っているのを見かけるのは稀です…。

壁側の中央にあるポケットが
ペーパーシート入れ(空でした)

日本では、壁側にペーパーシート専用ケースを設置している施設があります。
でも、まだそれほど多くは浸透していないようです。
日本でも海外でも、お出かけの際は携帯用のおむつ替えシート持参をお勧めします。

なぜ横型のおむつ交換台が多いのか

開閉式おむつ交換台の形状は、壁に向かって横型と縦型があります。
日本でも海外でも、横型の方が設置比率が高いです。
普通に考えれば、縦型の方が赤ちゃんのお尻を手前に持ってこられるので作業しやすいですよね。

それでも横型が多い主な理由は、動線。
縦型は開くとその前に作業者が立つので、どうしても通路の妨げになってしまいます。

一方横型は開いたとき、壁側に作業者が立つので通路の妨げになりません。
仮に通路側に立って作業したとしても、縦型より場所をとりません。

そのような理由から、設計者は横型の方を選択する率が高いのだと思います。
もちろん、動線の邪魔にならない配置で、縦型のおむつ交換台を設置している施設もあります。

縦型の開閉式おむつ交換台

アメリカのおむつ交換台は薄型タイプ

様々な種類のおむつ交換台を紹介しましたが、アメリカの開閉式おむつ交換台は100㎜以下の薄型になっています。

アメリカにはADA法( Americans with Disabilities Act of 1990)といって、障害者の生活を保障する法律があります。
その中に、壁からの突起物(床面から685㎜以上、2,030㎜以内)は100㎜以下という項目があるため、薄くなっているのです。

これは、杖を突いて歩いている人が、目の前の障害物に当たらないようにするために定められたものです。

ADA法の資料より抜粋

実は日本のおむつ交換台も、以前はこのADA法を参考にした薄型おむつ交換台がありました。
しかし、薄型は作業台の窪みが深くできないため、子どもがずり落ちてしまうリスクを伴います。

万一子どもが落下した場合、海外では子どもから目を離した親の責任になりますが、日本はちょっと違います。
たとえ使用者の誤使用による事故であっても、それが起きにくい設計にしなければなりません。

このような経緯から今日の日本のおむつ交換台は、やや厚みがあり、すぐにはずり落ちにくい形状になっています。

だからといって、作業中に子どもから目を離さないでくださいね。
日本でも海外でも、親の見守りが一番大切。

海外のおむつ交換台は窪みが浅くマットも付いていないため、日本のよりやや滑りやすいかもしれません。
海外でおむつ交換台を利用する際は、そのあたりも注意して作業しましょう。

アメリカ版ベビーキープ

アメリカやカナダでベビーキープを設置しているとことは少ないです。
ベビーカーごと入れる個室トイレが充実しているからなのでしょう。
ごくまれに見かけますが、日本のベビーキープのようなT字型のガードはなく、拘束部品はベルトだけです。

開閉式のベビーキープ ガードはなくベルトのみ
写真右のベビーキープは、バックルが座面と
背面のすき間に挟まって取り出せなかった

授乳環境

アメリカで授乳する場所

アメリカやカナダでベビー休憩室を見かけたことはありません。
それは、アメリカでは公共の場での授乳が女性の権利として法で保護されているからなのかもしれません。

授乳する場合、施設内の休憩ベンチに座るなどして、ケープやタオルなどで胸を隠して授乳すると聞きました。
でも私自身は直接その光景を見たことはないです。
気付かなかっただけかもしれませんが。
車社会なので、ひと目を気にされるかたは車中で授乳しているのかもしれないですね。

人混みの多い雑踏の中で授乳するのは、落ち着かないし衛生的ではないような気がします。
休憩室というより、箱型授乳スペースなら設置されているところを数カ所見かけました。

シアトル・タコマ国際空港にある箱型授乳スペース
ベンチ、テーブル、鏡、コンセントなどが
常備されている

日本のベビー休憩室に慣れている場合、同じような場所がないと不安に思うかもしれません。
海外に行かれる際は、授乳ケープや授乳服を持参するようにしましょう。

企業内授乳室

大手企業の中には企業内保育所とそれに隣接して授乳室が設けられていたりします。
仕事中でもおっぱいが張ってきたら授乳できる環境が整っているなんて素敵ですね♡
授乳ソファの他、デスクとチェアもあり、ゆったりと過ごせる環境です。

企業内授乳室には授乳ソファが完備
授乳後に身づくろいができる姿見
家庭のリビングのようにくつろげる環境

以上、アメリカとカナダのトイレ事情や授乳環境をご紹介しました。
日本のトイレ自体がとてもきれいで衛生的なので、それに比べると見劣りしてしまうかもしれません。
でも車いすやベビーカーが余裕で入れる個室ブースは、広いので使いやすいですよ。

そのうち、海外での赤ちゃん外食事情などもご紹介しますね。

赤ちゃんとのお出かけデビューを応援♪|河村 眞弓 / 赤ちゃんとのお出かけ環境プランナー (note.com)

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