見出し画像

電車に乗り合わせたおじさまの会話から駅弁のことを懐かしく思った日

ミニチュア作家のいわなり ちさとです。
紹介した作品は販売します。気軽にお問い合わせください。

普段は乗らない電車で旅した時のことです。

私の後ろの席に年配の男性がいらして、となりには娘さんらしい方が乗っていました。

信号待ちで電車が止まった時のこと。

線路わきに柿の木があって、たわわに実っていました。
おじさまはそれを見て、あれは渋柿だなと言われるんです。確かに甘い柿ならカラスなどが見逃さないでしょう。

そして、続いて、今電車を降りたら取り放題だよと。
おじさまの話し方がとても穏やかで昔のことを思い出させてくれるようでした。それから、耳をそばだてておじさまの声を聞いていました。


お昼になって、同じ車両の方が三々五々お弁当を開き始めるのを見て,
おお!みんなお昼を食べてるよ。僕たちはどうするの?と聞いてらしたんです。娘さんは小さな声でうちに帰ってからねと答えていました。

そうすると、納得なさるのか、それ以上は言われないのです。

でも、少し時間がたつと、ここはどこだ?とおっしゃる。
そして、うん、僕たちは〇〇でお弁当を買おうと。

お弁当を買うって電車に乗ったら当たり前の楽しみでした。
今の時代、駅弁は駅で買って持ち込むようになりました。

また、イベントであちこちのマーケットなどで売られています。

以前はローカル線でも車内販売といって、お弁当やお菓子やお酒、はたまたお土産まで移動販売してくれたものです。カートにぎっしりと商品を載せてだいたいは若い女性が歩いて販売していました。今はなくなっていますね。

また、駅にも駅弁を売る人がいたものです。
そっちは弁当だけだったような?お餅を入れるような木の箱、平台というんだっけ?箱につけた幅広のひもを首にかけていました。


そして、電車に乗っている客は窓をあげて好きなお弁当を買ったものです。
もう窓も開かないですよね。

そこそこの時間、電車は駅に止まっていたということです。この頃は短い停車時間のうちに乗り継ぎをするために殺気立つこともあります。

懐かしいのは、お弁当を買うとプラスチックのお茶をつけてもらったこと。今、改めて調べるとポリ茶瓶といったそうです。

歴史も紹介!昭和の列車旅を彩った「ポリ茶瓶」コレクション14選
和楽というサイトから画像をお借りしました。ほかにもいろいろな形があったようです。

キャップの部分がコップになります。
旅行のあとはこの茶瓶が当分のあいだ(壊れるまで)おままごとに使われたものです。

ゆったりと移動した昔。


おじさまは終点で降りる時も急ぐ人達を見て、せっかちだねぇと驚きの声を上げていました。娘さんが乗り継ぎの人は急がなきゃねとこちらも落ち着いたやわらかい声でおじさまをたしなめていました。

毎日、介護を続けながらこんなに穏やかに声をかけられるんだってびっくりでした。きっと私なら余計なことは言わないで!なんて怒ったと思います。

この、穏やかな親子さんの会話を聞きながらの電車旅はポリ茶碗のことまで思い出せて、いい旅になりました。

スピードを求めていくばかりでは旅情は感じられません。
もう少し、ゆっくりと丁寧に生きたいものだなぁと思わせていただきました。

ミニチュアちさと工房
松江市山代町425-7
駐車スペースは2台分

いいなと思ったら応援しよう!

ミニチュアちいさん
サポートしていただけたら、作品のための素材購入などに当てさせていただきます。よろしくお願いしますm(__)m