「通い飼い主」になる
初対面以降、すっかりチンチラに魅了されたパートナーのK氏と私は、チンチラのお迎えについて話し合った。
そして「命を迎えることだから、よく考えよう」と一旦保留とし、チンチラについて調査を深め、他のチンチラの里親になることも視野に入れサイトをチェックし始めた。
それでも、気づけばあの愛嬌溢れるチンチラのことを考え、毎週末顔を見にペットショップを訪れていた。
K氏はペットショップに行くたびに「上の段にいる、気が強い鳥にどやされてかわいそうだ」とか「かわいいからすぐ売れてしまうかもしれない」(良いことだ。)とか、いつになく心配を募らせていた。
果たして、私に対してこの執着を見せたことがあっただろうか。。。と複雑な思いを抱いたものである。
また別の日には、K氏から「1人でチンチラに会いに行ってきた」という連絡があり、驚いた。
とうとう、私に声をかけるのももどかしいくらいあの生き物に会いたくなったらしい。
そうして、通い妻ならぬ「通い飼い主(
予備軍)」へと化したK氏は、足繁くそのペットショップに通い、愛情を深めていったのだった。
(毎週現れる比較的強面の関西人を、店員さんがどう思っていたかは聞けずじまいだ。)
私は私で、仕事に追われ、週末はぐったりしていたK氏が、毎週元気に過ごしている姿を見て、その小さな生き物への感謝の念を募らせていった。
そんな状態が数週間続き、私もそのチンチラと家族になりたいという気持ちが強くなったのだった。
ある日、ペットショップからの帰り道、K氏に「あのチンチラをお迎えしようか」と言った。
彼は信じられないくらい嬉しそうに見えた。
そうして、始まる予定の2人暮らしは、急遽1匹+2人の3名暮らしとなったのだった。