【作品#20】『うりずん』
こんにちは、三太です。
昨日は自分の誕生日でした。
実は天皇誕生日と同じ日です。
令和になってから祝日となりました。
それまでは普通に平日だったので、生徒に学校で祝ってもらうこととかも(そんなに多くはないですが)ありました。(本当にありがたい・・・)
けれども、今はそんなことはなくなりました。
その代わりと言ってはなんですが、家族には確実に祝ってもらえる日となりました。
自分の誕生日を祝福してくれる人たちが周りにいることに感謝して生きていきたいと思っている今日この頃です。
では、今回は『うりずん』を読んでいきます。
初出年は2007年(2月)です。
時系列が『悪人』と前後してしまいました。
そこまで細かく初出年を見ていないというのもありましたが、読み終わったあとに気付きました。
なぜこうなったかというと吉田修一公式HPの「WORKS」には『悪人』→『うりずん』の順番で載っていたというのもあります。
ただほぼ同時期だとも言えるので、この順番でいきたいです。
あとは『悪人』の新聞連載は2006年から始まっているので、やはりこの順番でいいですかね・・・。
光文社文庫の『うりずん』で読みました。
あらすじ
佐内正史さんが撮ったスポーツの写真を題材に吉田修一さんが書いた20の掌編。
写真と文章はとても淡くつながります。
ちなみに本書に収録されたお二人のインタビュー集によると、「うりずん」とは、「沖縄地方の言葉で、体を動かしたくて、むずむずとする季節のこと、(なんだとか)」と説明されています。
どうやら冬が終わって春が来る頃、3・4月のことを指すようです。(Yahooニュース「うりずん 沖縄の季語」より)
もうすぐその時期が来そうですね。
公式HPの紹介文も載せておきます。
出てくる映画(ページ数)
①「恋する惑星」(p.213)
②「フラッシュダンス」(p.253)
今回は以上の2作です。
感想
スポーツの写真が題材となるのですが、その写真はスポーツの名場面というよりも、どちらかというとスポーツの日常といった写真ばかりです。
例えば、スタジアムの観客席の様子であったり、ビルのガラスを使ってダンスをするダンサーであったりします。
その日常に近い写真を使って、吉田修一さんが物語を紡ぎます。
では、今回は20の掌編すべてを一言でまとめたいと思います。
①部活→諦めずに走り続けた俺
②解雇→もう一回オールを漕ぐ力
③声援→私なりの応援の仕方
④夜食→夜食を食べるようになった男の粘り
⑤限界→限界まで踊ると気持ちが良い
⑥告白→夜行バスに乗れて、小夜子に告白できていれば・・・。
⑦形相→能力がないのに上に立たされた男の必死の顔
⑧息子→ある男が息子と公園に来るまでの人生録
⑨無音→ボーリング場で、無音になりたかった過去を思い出す
⑩失恋→理沙から遠回しに振られていることに気づかず
⑪後輩→自分よりも出世した野球部の後輩
⑫応援→卑怯な男を(弱い男を)応援してしまう
⑬刺青→娘が生まれてサーフィンを始める
⑭野心→麻美の野心に刺激を受ける
⑮記念→年増の女の家にあったトロフィー。キスは焼きすぎたレバーの味。
⑯失敗→映画内でのラストチャンスの失敗
⑰上空→雄大な雲を見て浮かんだ言葉
⑱将来→自分の未来であるかのような男
⑲独立→結果的に結婚しなかった娘
⑳水底→昔とは変わった自分
私はこの中では特に「形相」「独立」が好きでした。
あと「息子」の話の趣向は面白かったです。
うりずんやコートを弾むボール追い
次回は映画紹介をします。
では、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。