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【作品#3】「グリンピース」『熱帯魚』
こんにちは、三太です。
夏なの?と思わせるぐらい一気に暑くなりましたね。
体調を崩さないよう、ボチボチやっていきたいですね。
では、「破片」に続いて、今回は「グリンピース」を読んでいきます。
初出年は1998年(5月)です。
文春文庫の『最後の息子』には、まだ「Water」という作品も残っているのですが、初出年が「グリンピース」の方が早いので、少しややこしいですが、こちらから取り上げようと思います。次回の作品は「Water」になります。
「グリンピース」は、文春文庫の『熱帯魚』で読みました。
あらすじ
僕(草介)は色々ないきさつがあるのでしょうが、なかなかのダメ男です。
彼女の千里にグリンピースを投げつけて家から追い出します。
千里は、草介の友達の鷹野と浮気をして帰ってきます。
そこからももう少し話は続きますが、おおむねそのような流れの話であり、男女の関係について描かれています。
出てくる映画(ページ数)
①『ひまわり』
②『島の女』
③『あゝ結婚』(p.130)
「六本木の映画館でソフィア・ローレンの特集をやってるの知ってる?」
唐突な話題だったが、これは僕なりにかなり考え抜いたプランだった。
「古い映画なんでしょ?退屈なんだもん」
予想通り、千里がそう答えた。
「俺たち、行ってもいいよな?椿も行けるだろ?」
パエリアを小皿に取っていた鷹野の誘いに、椿さんは「うん、行きたい」と即答した。
「よし、決まりだ。何を観たい?『ひまわり』か『島の女』・・・『あゝ結婚』もやるみたいだけど」
「私『あゝ結婚』って観てみたいな。相手役、マストロヤンニだよね?」
「そうそう」
会話は僕の計画通りに進んだ。
たぶん今週、僕は椿さんと二人きりで『あゝ結婚』を観ることになると思う。
④『ワイルド・アット・ハート』(p.144)
相変わらず戻る気配のない千里を待ちながら、ビデオ屋から借りてきた『ワイルド・アット・ハート』を観る前に、ダリルの家へ電話をかけてみると、今夜下北沢で知り合いが芝居に出るから、一緒に行かないかと言う。
今回は4つの映画が登場しました。前回の「破片」では1つもなかったので、多めの収穫という感じでしょうか。
感想
草介が千里にいきなりグリンピースを投げつけるのにはびっくりしました。
色々と溜まっていた中での行動ではあると思いますが、その行動には狂気すら感じられます。(グリンピースを投げつけてくるなんて、想像すると、とても怖い・・・)
ただ、浮気を経て、戻ってきた千里と食事をする時にはもうグリンピースはありませんでした。(料理に添えようと思ったが、もうなかった)自分の気持ちをぶつける先のなさは、何かの変化を暗示しているようです。
では、次回からは今回出てきた映画を見ていきたいと思います。どうやらはじめは「ソフィア・ローレン」特集になりそうです。
今回も読んでいただきありがとうございました。