ブンブンチェンジアックスというインテリジェントな玩具
PVや宣材画像ではその存在が示されつつも、音声やギミックは一切の謎に包まれ、玩具オタク達を待ち焦がれさせてきた存在、それがブンブンチェンジアックスである。ブンブラックとブンオレンジが持っている時の形状の違いから2モード変形の武器であることが予想され、勇動のオプションパーツからハンドルにもなることが発覚し、3/29公開のガシャポンアイテムのバンマニレビューでまさかの変形ギミックが先行披露されるなど、徐々にその全貌が明らかとなってきたが、4/1にDX版の商品情報が満を持して解禁となった。個人的に、このブンブンチェンジアックスはかなり楽しみにしているアイテムであるため、ここで詳しく見ていこうと思う。
その前に、本記事では認識ピンについての理解度が重要になるため、ここで改めて確認しておく。認識ピンは、バンダイ玩具ではもはやお馴染みである。認識ピンが使われた玩具の有名どころとしては、ビルドドライバーやデザイアドライバーなどがある。
認識ピンは、レール上に並んだ複数(3個であることが多い)の小さい「スイッチ」によって構成されている。このスイッチを連動アイテムに造形された「ピン」が押すことによって認識している。ピンは複数の列に分かれて並んでおり、それぞれの列にスイッチを押すピンが生えている。認識スイッチの数が3個の場合、ピンは1列に1~3個生えており、このピンの配置によってスイッチの押され方が決まる。
数Aの「場合の数」にありがちな問題になるが、ピンの生え方のパターン数は、ピンの有り無しを3ヶ所でそれぞれ決めることから2^3=8、このうち全て無しの場合は読み込めないことから1通りを引いて7通りとなる。
7通りの認識では数十ものアイテムを読み分けることはできないが、これが複数列に並ぶことでバリエーションを増やしている。ゲームのウェーブ制バトルのように、1~3個が並んだピンが順番に流れていき、一定時間内に通過した「ウェーブ」の順列によって認識が決まる。なお、アイテムが装填された状態を認識するために、最後のウェーブは認識スイッチを押しっぱなしにしている。
注意点として、認識するためには認識ピンを一からレールに流さないといけないという点がある。具体例を挙げると、レイズバックルを装填した状態でデザイアドライバーの電源を入れても、ドライバーは「バックルを装填していない」認識になっているといった感じだ。
3/31放送のブンブンジャー本編で、ようやくブンブンチェンジアックスの存在が解禁され、ブンブラックが変身や必殺や召喚や操縦などの各機能を目一杯使用して戦った。これだけ情報が与えられると、玩具オタクとしてはブンブンチェンジアックスの玩具版の仕組みを考察せずにはいられなかった。そこで出た結論は、「アックスの認識ピンは変形する」というものだった。
理由として、本編でブンブンカーに搭乗したときにわざわざブースターをハンドルに挿し直す描写があった。このことから、武器をハンドルに変形しただけではモードチェンジが認識されず、認識ピンに挿し直さないとブースター側がハンドルモードにならないと考えたのだ。この仮説が成立するためには、武器モードとハンドルモードで認識ピンが異なることが前提になるが、この前例には心当たりがあった。
それが、先日記事にしたグッドストライカーだ。グッドストライカーはダイヤルファイターモードとトリガーマシンモードでVSチェンジャーの挙動が異なるのだが、これを成立させるために認識ピンが変形する。このような珍しいパターンをつい最近経験していたために、ブンブンチェンジアックスでこのような考察に至ったのだ。
さらに、4/1の玩具情報解禁でこれを裏付けるような構造を垣間見ることができた。
認識ピン部分をよく見ると、ピンに可動しそうな箇所が見受けられた。このことから以上の論が補強された…かに思われた。
しかし、これまでの考察は4/1夕方のバンマニレビュー公開でひっくり返った。動画内でブースターを外しているタイミングが何度かあったので、武器モードとハンドルモードのそれぞれで認識ピンの形状に注目してみたが、可動しそうなピンの位置は特に変わっておらず、両モードで共通のピン配置であるように見受けられた。
おそらくこの可動ピンは武器モードのトリガーと連動していると考えられる。予想を盛大に外してしまったため顔がない。ちなみに、認識ピンの右上にも可動しそうなピンがあるが、ここはおそらくロック解除ボタンと連動している部分だろう。
気を取り直して、ここからはバンマニレビューから得られた情報をもとにブンブンチェンジアックスの遊びについて整理していく。
ブンブンチェンジアックスはブンブンブースターと武器パーツで構成される。ブンブンブースターは変身や召喚、ロボ必殺などブンブンチェンジャーと同様の遊び方になる。ただし、音声認識はパトカー1&2やショベル&ドーザーなど、コンボ合体になるブンブンカー間では共通になると思われる。武器パーツは剣先と持ち手が可動し、アックスモード、ロッドモード、ハンドルモードの3種類に変形できる。ブースターと武器パーツを合体させるとブンブンチェンジアックスが完成し、武器モードでは通常攻撃や武器必殺が、ハンドルモードではドライブBGMやロボ必殺が発動する。総合すると、ブンブンチェンジャーとブンブンハンドルが一つにまとまったような印象である。
ブンブンブースターを取り付けた状態で武器のトリガーを引くと、ブースターの認識スイッチの1つが押され、攻撃音が鳴る。サイキョーギレードやオージャクラウンランスなど、「電飾ギミックが仕込まれていない武器側のトリガーを引くと、音声ユニット側のスイッチが押され、音の鳴る武器として成立する」仕組みはよくあるが、認識ピン用のスイッチの1つが音声スイッチも兼任しているのはかなり珍しい。
ブースターを武器に取り付けた状態でアクセスできる音声ボタンは
①アクセルペダル
②底面ボタン
③認識スイッチの一番下⇔トリガー
の計3つだ。この3つのボタンの押し方の組み合わせで本商品の遊びは成り立っている。
動画内で確認できるボタンの押し方の組み合わせは以下の通りだ。
③トリガー(短押し)
通常攻撃音
③トリガー(長押し)
武器必殺音
①アクセルペダル
ロボ必殺音
①アクセルペダル→③トリガー
武器必殺音
(おそらくペダルを押したときの挙動は上記と共通。ロボ必殺音の「ブンブンクラッシュ」が鳴る前にトリガーを引くことで武器必殺音に派生すると思われる。)
②底面ボタン→①アクセルペダル→②底面ボタン
ドライブBGM→ドライブ効果音→BGM停止
(ドライブBGMは再生する毎にブラック用とオレンジ用に切り替わる。効果音も変化し、ブラック用では銃撃音、オレンジ用では岩が砕ける音が鳴る。)
ブースター側に武器とハンドルの区別はなく、その都度のボタンの押され方で遊びが各モードに分かれるようになっている。ただし、ハンドルモードではトリガーと認識スイッチの連動が物理的に絶たれるため、押せるスイッチの数はモードによって変わってくる。
また、動画内で確認できないボタンの押し方として次のようなものがある。
②底面ボタン→③トリガー
ドライブBGM→???
ハンドルモードではトリガーのスイッチを押すことはできないが、武器モードではハンドルモードで出来る操作は全て可能だ(トリガーを引かなければハンドルと同じなので)。この場合の挙動がどうなるのかは購入後に改めて試していきたい。
ここからは本商品で気に入った点やつっこみたい点について書きなぐっていく。
まず魅力的なのが黒×金のカラーリングだ。ダークな印象を与える一方で上品さや高貴さも感じさせることから、この色の組み合わせを採用しているものは多い。最近ではDXキングコーカサスカブトがかなり気に入っているが、その魅力の一端には黒金カラーも含まれている。
一方で気になるのが金の色味である。商品画像を見ると金色のメタリック感が強く、一見すると塗装されているかのように思われる。しかし、映像で見てみるとメタリック感はなく成形色感が強い。ブースター側の金色(こちらは塗装)と比べてみると一目瞭然である。
これは今回に限った話ではなく、バンダイの商品ページの画像は成形色がやたらメタリックに見えることが往々にして有る。一体どんな撮影技術を使えばここまで綺麗なメタリック感が出せるのか気になるところではある(成形色批判ではなく純粋に撮り方が気になるだけである)。
他にも芸コマなのが、ハンドル根本にあるモードを示す表示である。ここは、グリップパーツの回転に合わせて窓から覗く絵柄も回転して変化するようになっており、ハンドルモードでは「DRIVE」の表記、武器モードでは「ARMS」の表記にそれぞれ変化している。こういう細かな作り込みが地味に嬉しい。
ブンブンブースターはブンブンチェンジャーと同じボタン数だが、その押し方を工夫してバリエーションを増やすことによって、ブンブンハンドルの遊び方に近づこうとしている。勿論ブンブンハンドルに比べると音声のモード分けやドライブ効果音など物足りない部分があるものの、ブンブンチェンジャー(ブンブンチェンジャーの単品での遊びの幅は意外と少ない。基本的に変身機能だけである。)がブンブンハンドルの一部分を手に入れたと考えると中々凄いことである。確かに武器側に電飾ギミックを仕込めば済むような話であるように思われるが、ものづくりの設計にはコストなど様々な条件が複雑に絡み合っている(設計計算では、彼方立てれば此方が立たぬ、ということが往々にしてある)。これは別にコストをケチっているという話ではなく、「武器側に基盤を仕込まなくても同じことができるのなら、わざわざ無駄を払う必要はない」というだけだ。その分、たった3つのボタンの押し方のパターンに、本商品の遊びを上手く振り分けている。
ブンブンチェンジアックスは最小限のコストで最大限のパフォーマンスを発揮する「賢い玩具」という雰囲気がある。また、少ないボタン数で多様な遊びを実現した「開発者の賢さ」も垣間見える。
最後に、「ブンブンチェンジャーをブンブンアックスに装填したらどうなる?」を以下に示して終わりにする。