ハーマン・カーン
アメリカ合衆国の未来学者、軍事理論家。一般システム理論の論客として知られる。シンクタンクのハドソン研究所創設者。京都産業大学学事顧問。
カーンはニュージャージー州でユダヤ系の一家に生まれ、10歳で両親の離婚によって兄弟と共にカリフォルニア州に移住した。カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) に入学し、物理学を専攻した。第二次世界大戦中はビルマ戦線で通信兵として従軍し、中性子爆弾の開発者となったサミュエル・セオドア・コーエン(英語版)の引きで1947年にランド研究所に入所。カリフォルニア工科大学で修士号 (Master of Science) を取得し、冷戦下における戦略分析に従事した。
1959年にプリンストン大学に出向し、ランドに戻ると『熱核戦争論(英語版)』を上梓。核戦争下の民間防衛について論じたこの本は、死の灰の影響を低く評価して限定核戦争を肯定するなど、多くの批判に晒された。しかし、バートランド・ラッセルが核兵器による平和の達成を不可能だと論証したと評価するなど、平和主義的立場から(本来の意図とは違う意味で)評価されたりもしている。メガデスやドゥームズデイ・デバイスの概念でも知られた。
その後、カーンは関心を未来学に移し、1961年にランドから独立してハドソン研究所を創設し所長となった。1970年には『超大国日本の挑戦』を著し、「21世紀は日本の世紀」と断言した。「2000年頃に日本の国民一人当りの所得がアメリカと並んで世界一のレベルに達する」(この予想は外れた。) 「軍事的にはアメリカの、経済的には中華人民共和国の影響下に置かれる」などと予想した。1983年7月7日、ハイキング中に心臓麻痺で倒れ死去。享年61。
カーンの死後、研究所が「保守的な立場からアメリカの国家安全保障に貢献した、創造的でビジョンを持った指導者」に贈るハーマン・カーン賞にその名を残した。
ハーマン・カーン賞受賞者
・ロナルド・レーガン(元米国大統領)
・ヘンリー・キッシンジャー(元国防長官)
・ミッチ・ダニエルズ(2010年、元インディア
ナ州知事)
・ジョン・カイル(2011年、上院議員)
・ディック・チェイニー(2012年、元米国副大統領)
・安倍晋三(2013年、日本国内閣総理大臣)外国人として初受賞