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腸閉塞体験記 5日目①

2025年1月11日(土)

0:10頃 お腹の管の確認

看護師さんが来られて、お腹の管の袋に溜まった血液を移し替えて帰られる。昨夜と同じくらいか?増えてはなさそうだが、まだ無くなってはいないようだ。再び眠る。

1:30頃 トイレに行きたくて目が覚める

点滴とお別れして丸一日経ったが、まだトイレが近い状態が続いている。水分はそんなに摂っていないのになぁ。消灯後すぐには寝つけなくて、23:30頃にもトイレに行ったのだが、残尿感が続いてあまり眠れていない。廊下のトイレに行って、戻ってくる。今夜も病棟は静まり返っている。何となくスッキリしないが、眠る努力をしてみる。

5:10頃 トイレに行きたくて目が覚める②

まだ5時過ぎか。少し早いな。廊下のトイレに行って戻ってくる。今朝はまだ静かだ。
素人なりに、頻尿対策を考えてみる。あまり我慢しすぎると膀胱炎になるので良くないが、しっかり溜めることもしないと、膀胱が伸びる機会を失って溜められなくなるって聞いたことがある。
ここ数日の私は、立ったり座ったりするのがちょっと大変なので、そんなに行きたくなくても用事で立ったついでに必ずトイレに行っている。もしかしてこれが良くないんじゃないか?今日はむやみにトイレに行かないように過ごしてみよう。

6:00  起床時間

電気が点いた。眠りが浅かったのか少し気怠い。
同室の皆さんの動向を伺って洗面所に向かう。顔を洗って、歯磨きをする。朝食が来るまで、ベッドでゴロゴロして過ごす。看護師さんが来られて、検温と血圧測定。問題無し。血糖値は96とのこと。少し低いな。ふらつく感じはありますか?と問われて、そんな感じはしないですけど...と答える。食事がヘルシー過ぎて、血糖値上がる暇ないのかな。

7:20頃 朝食

ロールカーテンを半分開け、ベストを着て窓際の椅子に座る。遠くの山は...雪は積もってないが、山の上に厚い雲が広がっている。これから雪が降りそうだ。

今朝はバナナが付いている。久しぶりだな。食べるのが楽しみだ。マーマレードも数年ぶりだ。

食べながら窓の外を眺める。山が少し白くなっている。やっぱり雪が降ってきたんだ。みるみるうちに、山が真っ白になっていく。うわ〜、こんなの初めて見た!雪国育ちの私だが、山のすぐ麓に住んでいたので、山に雪が積もる様子を遠くから見たことなんて無かった。動画撮っておけば良かったな。

一人で盛り上がりながらデザートのバナナもいただいて完食。ご馳走様でした。
昨日の夕食時に書き忘れた気がするが、痛み止めの薬を飲んだ。そして今日の朝食後の分で、痛み止めの薬は終了だ。正式には「消炎鎮痛剤」と言うらしい。もう痛みは無い時期に入ったということか。普段の処方薬も飲む。
食器を返却して、お箸セットを洗って、うがいをして戻る。

8:00頃 朝食後のウォーキング

ふと思い立って廊下に向かう。ウォーキングでもしてみようか。ベッドでゴロゴロしてるのもいい加減飽きてきた。フロアを1周してみる。逆サイドは初めて来たかも。多分こちらは男性の病室だ。あ、テレフォン・コーナーなんてあったんだ。小さな個室に公衆電話が設置されている。英語学習はここでした方が良いのでは?いやいや、そんなことで占拠するのは良くないだろう。

ナースステーションの近くに身長計と体重計が置いてある。身長はいいが、体重は測ってみよう。77.9㎏。思ったより減ってないな。入院した日の朝は確か78㎏後半だったはず。1日半絶食したのに、もう戻ったのか。こんなヘルシーな食生活送っているのに。消費カロリーが少ないからか?

毎回完食しているからか?いやいや、食べても良い量しか出されていないはずだ。お食事を残した患者さんのところには、栄養士さんが心配そうにやって来ている。残して心配させてはいけない。
とりあえず、消費カロリーを増やすことを考えよう。今回は5周歩いてみよう。

意外に疲れた。体力が落ちているな。ベッドに戻って休憩する。

ウォーキングを始めたのにはもう一つ理由がある。お通じがまだ無いのだ。お食事は毎回完食している。そろそろ復活しても良いはずだ。看護師さんにも毎回聞かれる。張っているという程ではないが、お腹が重く感じる。ガスは頻繁に出ている。
そんなことを考えているうちに、少し気配が感じられた。おっ、ついに来たか?病室のトイレを占拠してしまわないよう、廊下のトイレに向かう。
かなり時間をかけ、少量だったがやっと出た。良かった。少しホッとして、ベッドに戻る。

日中担当の看護師さんが来られて、順番に患者さんたちの体調を確認していく。お通じはありましたか?と聞かれ、先ほど少し、と誇らしげに答える。良かったですね〜と褒められる(別に褒めてはいないか)。また少しレベルアップした気分だ。

今日の予定を尋ねてみる。今日は特に検査も無いもよう。土曜日だしなぁ。先生も来られないだろう。一日何をしようか?

1泊2日入院の方が退院されて、ベッドが片付けられたと思ったら、掃除が終わり次第新しい方が入室された。本当に忙しい。その方は病棟を移動して来られたようす。私みたいな感じかな。

椅子に座っているのがあまり苦じゃなくなってきたので、出来るだけ談話室で過ごすことにする。
病室にいるとどうしても、他の患者さんと看護師さんのお話しが聞こえてしまう。聞き耳を立ててるつもりは無いが、つい、あぁそんな手術をされたんだなぁ、大変だったなぁ、なんて思ってしまう。大部屋とはそんなものだとは思うが、強制的に他人のプライバシーに首を突っ込まされているようで、気が重い。

とはいえ、長時間座りっ放しはまだしんどい。談話室で座ったり、ベッドで少し休んだりを繰り返して過ごす。

12:00頃 昼食

恒例の血糖値検査。110ぐらい。問題無し。

焼き魚だ!美味しそう。ゼリーも付いている。
鯵がふっくらしていて美味しい。どうやったら柔らかいまま火を通せるんだろう?生焼けになるのが怖くて、私は毎回焼き過ぎてしまう。
小海老がいい仕事している。紫蘇和えも風味が良い。小海老は子どもたち皆が、紫蘇は下の子が苦手な食材だ。我が家の食卓には絶対に並ばない。
シャキシャキのりんごが沢山入ったゼリーもいただいて大満足。完食。ご馳走様でした。

朝真っ白になった山は、もういつもの色に戻っている。今日も冬晴れだ。

12:50頃 昼食後のウォーキング

食器を返却して、お箸セットを洗って、うがいをしたらすぐに廊下に出る。また5周くらい歩いてみよう。
1周したところで左脚の付け根にだるさを感じる。もう来たかぁ〜、ほんと体力落ちてるなぁ。頑張って取り戻さねば。そのまま歩き続ける。
あれっ、今何周目だっけ?ちょっと疲れたし、そろそろ終わりにしようか。
そう思ってスピードを落としたところで、ご年輩の患者さんに声をかけられる。

よく頑張ってますねぇ、私はほら、脚が弱ってしまってね。こうしてないと歩けないのよ。と、歩行補助器(名前は分からないが、体の前で両腕を乗せて支え、コロコロ押して歩く道具)を見せながらにっこり。
いやぁ、私もすっかり体力が落ちちゃって。取り戻そう思って頑張ってるんですよ〜、と私も笑顔で応える。
廊下でしばし談笑。入院してから他の患者さんとお話ししたのは初めてだ。
ごめんなさいね、足を止めさせちゃって。無理しないで頑張ってね。私もゆっくりだけど、歩いてそこまで行ってくるわ、と談話室に向かわれた。ほっこりした気持ちでベッドに戻る。

先ほどのご婦人は、実家の母と同じくらいのお歳だそうだ。脚が弱ってるとおっしゃってたが、姿勢はピンとされている。うちの母は背骨がくの字に曲がってしまっていて、はるかに歳を取って見える。
苦労させてしまったなぁ。私がいなかに残っていたならば、今ももっと元気だっただろうか。

実家があるのは大雪のニュースでテレビ中継されるような豪雪地帯。年末から何度も大雪警報が発令されている。母は無事だろうか。心配だが、実家には寒い台所にしか電話器が無い。あの場所に立たせるのが気の毒で、本当に寒い日には電話出来ない。年老いた体で、懸命に雪かきしていることだろう。家の中にいるのなら、こたつで温まっていて欲しい。どうか無事でいて...

ここまでで一旦終わりにします。個人的な感想ばかりになっていますが、入院中の何も無い一日ってこんな感じなんだな、と思ってご覧いただけたなら幸いです。最後までお付き合いいただいた方がいらっしゃいましたら、どうもありがとうございます。気が向かれましたら、また続きをご覧ください。


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