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腸閉塞体験記 3日目

2025年1月9日(木)

2:20頃 トイレに行きたくて目覚める

目が覚めてしまった。まだ2時過ぎか。とりあえず廊下のトイレに向かう。
病棟は静かだ。ナースステーションの中では医療スタッフの方々が忙しくお仕事中のようだが、救急病棟のようなバタバタ感は無い。昨夜救急のあちこちで聞こえたアラートは今は聞こえない。たまたま平和な時間なのかもしれないが。
ベッドに戻ってまた眠る。

4:20頃 トイレに行きたくて目覚める②

また目が覚めてしまった。まだ4時か。また2時間後だな。再び廊下のトイレへ向かう。
ご高齢の方がもう目覚めていらっしゃるのか、看護師さんと話している声が聞こえる。大変だな。そう言えば義父も以前、毎朝3時か4時には起きると話していたな。そういうものなのか。
ベッドに戻ってまた眠る。

6:00  起床時間

病棟の電気が点く。朝が来たようだ。病室のトイレに向かう。
結局2時間おきにトイレに起きてしまったなぁ。点滴が入っている間は近くなるとは聞いていたが、夜もこれだとちょっと辛い。
看護師さんたちが患者さんたちに次々と声をかけていく。私も検温と血圧測定をしてもらう。平熱だが、血圧は170を超えているらしい。頭痛はないかと問われるが、頭痛はない。寝不足のせいか。

洗面所で顔を洗って歯磨きをする。
清々しい気分だ。
さっき寝不足と書いたが、細切れとはいえ6時間近く眠っている。通常の私の睡眠時間は5時間以下だ。普段の朝よりスッキリしている。

看護師さんが来て血糖値を計測。120くらいとのこと。問題なし。

7:20頃 朝食

フルーツと牛乳も付いている。嬉しい。まだ五分粥だが、朝食っぽい。いそいそとお粥にのり佃煮を入れるも、五分粥だと水分が多すぎてのりの味がほとんどしない。次回は半分ほど食べてから入れよう。完食。ご馳走様でした。痛み止めの薬と普段の処方薬を飲む。

お皿を返却し、お箸セットを洗って、うがいをして戻る。
ロールカーテンを半分開け、窓の外を眺める。快晴。遠くに見える山が白い。雪が積もったようだ。病院の近くには...雪は無さそうだ。山の方だけかな。でも外はかなり寒そう。窓際の空気が冷たい。

今日退院される方、これから手術の方、説明や準備で看護師さんたちは皆忙しそうだ。
私の予定などは特に聞いていないが、先生が回診に来られるかもしれないのでベッドにいることにする。スマホ作業などをして過ごす。

クリーニングのスタッフさんが来て、床の掃除とゴミ袋の交換をして下さる。

10:30頃(?)  レントゲン撮影

ややご年輩のスタッフさんが車椅子を用意して下さり、レントゲン撮影に向かうとのこと。全然動けるのに申し訳ない。重たい私を乗せて押すのは重労働だろう。片手で点滴台、もう一方の手で車椅子を押してエレベーターに向かう。すごい。
思わず、頑張ってらっしゃいますねぇ、と声をかける。笑顔で、まだまだ頑張らないとねぇ、と返される。
そうだ、まだまだ頑張らないと。そのためには健康が一番大事だ。
仕事を増やすことよりも、節約をすることよりも、健康でいることが一番経済効果が高いと以前雑誌で読んだ。その通りだと思う。やっと分かった。

レントゲン室から戻ると、看護師さんが着替えのパジャマと蒸しタオルを持ってきて下さった。難しかったらお手伝いしますけど、ご自分でやってみますか?と問われ、自分で出来ると思いますと答える。
一旦点滴を止めてもらって、パジャマを脱ぎ体を拭く。温かくて気持ちが良い。ズボンの脱ぎ履きは多少手間取ったが、なんとか一人で出来た。またちょっとレベルが上がったかな。
あ、でもパジャマが少しきつい。よく見ると1サイズ小さいものだった。歩いて廊下に出て大きいものに交換してもらう。着替え直す。無事に一仕事終わった。点滴を付け直してもらい、ベッドで休憩する。

12:00頃 昼食

恒例となった血糖値検査を無事パスして、昼食を持ってきていただく。結果が悪いと食べられないのかなぁ?

煮魚だ!うちの家族は煮魚が好きじゃないので、とても久しぶりに食べる。優しい味で美味しい。マッシュポテトのほんのり塩味も嬉しい。完食。ご馳走様でした。
食器を返却して、うがいをして、トイレに行って戻る。

うちの家族は煮魚が好きじゃないと書いたが、何故だろうかと考えてみる。

そもそもうちの家族は皆、魚より肉派だ。多くの若者や子どもはそうだろう。それは仕方ないとしても、週に一回くらいは魚を主菜とする家庭が多いのではないだろうか。我が家で魚が主菜になることは月に一度も無い。
魚を主菜にした日は副菜に肉料理を用意する。そうしないと不満の声があがるからだ。結果、肉料理だけが完食され、魚料理は残される。

もう一つ。そもそもうちの家族は皆、煮物が好きじゃない。我が家で皆が食べる煮物は肉じゃがくらいだろう。野菜の煮物は私以外食べない。肉料理でも、煮たものはあまり人気がない。洋風の煮込みも...喜ばれるのはカレーくらいだ。

魚であり煮物である煮魚は、圧倒的に分が悪いのだ。


14:30頃 家族が面会に来る

病室で話し始めるが、室内のあまりの静けさに気が引けて談話室に移動する。

私の体調の報告をし、家族の様子を報告してもらう。まぁお互いぼちぼちというところか。

一番の気がかりは中学生の子の昼食だ。お弁当を作る人がいないので、前日にコンビニ等でおにぎりやサンドイッチを買って持って行っているとのこと。申し訳ない。
お弁当タイプの給食があるのだが、前月に予約しないと利用できない。昨年度まで学校にあった購売は、諸事情により閉店してしまった。もうしばらく我慢してもらうしかない。ごめん。

洗濯は大学生の子がしてくれているらしい。忙しいのにすまないがもうしばらく頑張って。

まぁなんとかなってるみたいなので、残りの時間は世間話をして過ごす。手術の日に世間で起こった出来事について教えてもらう。私はスマホのニュースサイトやSNSはほとんど見ない。見始めるとやめ時が分からなくなるからだ。放送時間が決まっているテレビニュースの方が効率が良い。見逃すとこんな風に空白の1日ができてしまうリスクはあるが。そうこうするうちに30分経ち、家族は帰って行った。

廊下のトイレに寄って病室に戻り、スマホ作業などして過ごす。

夕方になって(時刻不明)主治医の先生が回診に来られる。入院した日に最初に診ていただいた先生だ。入院の書類には、こちらの先生のお名前が主治医として記載されている。

痛みはどうですか?と問われ、立ったり座ったりする時以外は大丈夫です、と答える。傷の様子を見て、お腹を数ヶ所軽く押さえては痛みますか?と問われる。痛くないです、と答える。
お食事は食べれていますか?と問われ、毎回全ていただいています、と答える。だったら点滴ももう要らなそうですね、と言われる。やった!ついにこの呪縛から解かれる。お食事の内容も徐々に変えていきますね、と微笑んで帰っていかれた。お礼を言って見送る。

夜担当の看護師さんが来られて、体温と血圧を測定。平熱で、血圧も150台までは下がったようだ。まだ高いが、頭痛等の症状は無い。点滴は今入れている分が無くなったら終了だそうだ。ありがたい。

18:00頃 夕食

恒例の血糖値検査。異常無し。点滴も残りわずかとなっていたため、針を抜いてもらって終了。身軽になった。今夜はゆっくり眠れるかな。

ご飯だ!ついにお粥を卒業できたらしい。お肉もある。やったー!またまたレベルアップした気分だ。完食。ご馳走様でした。
夕食後の痛み止めの薬を飲む。
食器を返却し、お箸セットを洗う。今夜もさっさと歯磨きも済ます。トイレに行って、ベッドに戻る。だんだんルーティン化してきたな。

テレビを付けて番組表をチェックする。22時前に終わる音楽番組を選んで、スマホ作業をしながら音楽を楽しむ。

スマホに英語学習アプリの通知が表示される。あ、そう言えば昨日は術後でレッスンしそびれたなぁ。談話室でならスマホの音を出しても大丈夫だったはず。テレビを消して、談話室に移動する。

談話室には誰もいない。良かった。スピーキングが下手過ぎるので、人前では恥ずかしい。
1日レッスンしそびれても、次の日に起動すればフリーズ機能で救済されて、連続記録が更新される。まだ170日ほどだが、三日坊主の私にしては驚きの継続回数だ。ストップしてしまうはもったいない。
アプリを起動し、中学2年生レベルと思われるレッスンを2セット受ける。高校卒業以来、英語の勉強など全くしてこなかった私には、このレベルで丁度いい。と言うか、これ以上は無理だ。全問正解出来ない回も割とある。情けないが、地道に学び直そう。

22時までもう少しだけ時間がある。音楽アプリを起動する。画面の一番上に表示されているプレイリストから、今一番聴きたいと感じた曲を再生する。「grace/藤井 風」。聴き慣れた柔らかなバリトンボイスに、思わず安堵の息を洩らす。美しく優しいメロディが、普遍的で悠大な詞が私を癒していく。心地良く刻まれるリズムが心臓の鼓動のように聞こえる。良かった。私はまだ生きている。

22:00  消灯時間

毎日の習慣がこなせて、大満足でベッドに戻る。
看護師さんが患者さんたちの様子を確認して消灯。まだトイレは近いが、今は眠れそうな気がする。お休みなさい。

以上が3日目の記録です。忘れないうちに頑張って記録していってるつもりですが、抜け落ちていることもあるかも...。同じ病気の方が読まれる場合も、数ある症例の中の一つとしてご覧ください。最後までお付き合い頂いた方がいらっしゃいましたら、どうもありがとうございます。気が向かれましたら続きもご覧下さい。

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