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【東大野球部データ対談・R7卒平田康二郎①】球質データ大公開!都立高出身無名右腕がリーグ戦デビューするまでの軌跡
みなさんこんばんは。
お待たせいたしました、本日から新企画、「東大野球部データ対談シリーズ」が始まります。
初回ゲストは 平田康二郎投手(R7卒/都立西)! 現役時代のデータを大公開しながら野球部現役アナリストの内田(新4年/広島学院)がお話を伺います。
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平田康二郎投手(R7卒/都立西)
高校時代は都立西高校でエースとして活躍。
東大野球部では2年秋にリーグ戦初登板を果たすと、3年春に7試合に登板し防御率2.45。3年秋にはシーズン途中までリーグ3位の防御率1.69を残すなど4先発。ブレイクを果たしました。
その後も最速143km/hのストレート、カットボール、スライダー、ツーシームを武器に、4年春秋合わせて6先発14登板を果たすなど長きにわたり投手陣の柱としてチームを牽引。4年生時には投手長として練習メニューの考案や、後輩への積極的なアドバイスなどチーム全体の成長にも貢献されました。
データ活用にも積極的でアナリストと日々、密にコミュニケーションをとりながら自身のピッチングスタイルを確立されたのが印象的です。
試合後に届いたばかりのデータを佐藤さん(R7卒/佐世保北)や中島(新4年/開成)と一緒に分析しながら投球を振り返るなど、筆者個人としても大変お世話になった思い出深い先輩です。
内田:東大野球部データ対談ということで今年卒部された平田投手にお越しいただきました。今日はよろしくお願いします!
平田:よろしくお願いします。
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トラッキングデータの変遷から見る成長曲線
【ストレート】 回転数は2500超え。球速は15km/hアップした。
内田:では、早速ですが平田さんがどのような成長曲線を辿ってきたのか振り返ってみようと思います。平田さんは入部した時どのようなピッチャーだったんですか?
平田:高校の時は最速127キロくらいで、あとゆるい変化がある、みたいなピッチャーだったかな。大学に入った時もそのくらいで、まあこれを見てもらえればいいかな?
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内田:わ、すごい!準備していただいてありがとうございます。これってチーム内ではどのくらいの位置だったんですか?
平田:当時Bチームにいて、Bチームの先輩が130km/h前後、リーグ戦に出る人たちが135から140km/hを超えるくらいだったかな。球速の面では「並」って感じだった。
内田:「並」笑。でも、入部時で130km/hくらい出ていたら結構期待されていた方なんじゃないですか?
平田:そうだね、でも130前後のピッチャーだと同期に薫平(中村投手 R7卒/堀川)、森岡(R7卒/投手/渋谷幕張)、太陽(鈴木投手 R7卒/国立)とかもいた。その時は自分はスピードで勝負するタイプではないかなと思ってた。
内田:なるほど、じゃあ本格的に球速が伸びたのは2年生ですか?
平田:1年の秋に球速が130km/hを突破して、冬明けに134km/h、2年夏に138km/h出て、秋にリーグ戦で投げたらなんか140km/hに乗っちゃった。
内田:あの時リーグ戦で142km/h出したのが140km/h台初めてだったんですね。
平田:そう、140km/h台初めて。回転数も球速と一緒に伸びていった感じで下級生の時から考えていたのは、それよりも回転効率をどうするかだったな。
内田:最終的には95%くらいで安定していた印象があります。入った時はどのような感じだったんですか?
平田:入った時は80%台とかも全然あって、球数が増えてくると70%台に落ちていったりしてた。永田さん(R6卒/学生コーチ兼アナリスト/開成)に言われて上げようと頑張った。
内田:そうなんですね、回転効率は僕がチームに慣れた頃にはもう90%を超えていた気がします。その後も回転数は少しずつ伸びていきましたよね。
平田:うん、そうだね。
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この球の回転数は2424回転、かなりの高水準です!
【スライダー】 縦から横へ―リーグ戦で輝いた平田投手のスライダー改革
内田:なるほど、ありがとうございます。変化球も聞いてみようと思います。スライダーとかは初めはどんな感じだったんですか?
平田:105km/hくらいで結構縦だったかな。カーブに近いかもしれない。
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内田:ほんとだ、縦か斜めか、みたいな感じ。でも、リーグ戦投げ始めた時はもっとしっかり横曲がりするスライダーになってましたよね。2年夏の双青戦で大きく曲がるスライダーでいくつも空振りをとっていたのがとても印象に残っています。
平田:カットを練習していくうちにこういうスライダーにたどり着いたという感じだったな。
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【カットボール】 上級生で実践投入した新球種
内田:最初は平田さんカット投げていなかったですよね!?いつぐらいから投げ始めたんですか?
平田:2年の時から練習はしていて、試合で使ったのは3年の夏以降。
内田:そうですよね、カットボールを投げていたのは上級生の時メインだったと思うんですけど、バッターの反応とかはどうだったんですか?
平田:なんだろう、変な空振りが多かった感じかな。縦横の話なのか奥行きの話なのかわからないけど単純な変化量というよりか、タイミングがズレたような…?
普通のカットともまた違う感じ。
内田:なるほど、カットボールについては後ほど、習得した時の調整方法について詳しく伺おうと思います。
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【ツーシーム】 試行錯誤の末生まれた魔球「平ツー」
内田:そして、やはり平田さんといえばツーシームでしょう。部内では「平ツー」とよばれ魔球扱いされていました。
平田:ツーて言って怒られないかな、スプリットだろって笑
内田:それは大丈夫だと思いますよ笑
平田:正確にいうと、ワンシームスプリットになるのかな、握りとしては。結構シームで曲がる感じ。
内田:これはいつから投げていたんですか?
平田:高校時代にスプリット投げたいなと思っていろいろ模索してたら、あの握りにたどり着いたんだけど、それを大学に入ってからちょっと挟んで投げてみたらめっちゃシュートした。1年の時にはもう投げていたかな。
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最初はストレート、カーブ、スライダーのピッチャーだったんだけどカーブがダメで捨てて、もう一個欲しいってなった時にツーだった。
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このデータはSSWを考慮していないものであるため、
実際のツーシームはこれより数十センチシュートしています。
内田:平田さんのツーはびっくりするくらいシュートしていましたよね笑
苦しんだバッターも多かったのではないかと思います。
データを見る時に注目していたポイントは?
内田:では、次にデータを見るときにどんなところに注目していたか伺っていこうと思います。
平田:ストレートは回転軸!基本的に良い時は01:15くらいだった。
内田:やはり基本的にはシュー伸びのピッチャー?
平田:うん、やっぱり4年の時はあまり良くなくて、縦になってしまっていた。シュートが出づらくなっちゃった。感覚的にはそんな感じ。ツーもただのスプリットみたいになってしまっていたな。
でも、ツーは正直見た目が大事だから真っ直ぐよりも横に曲がっていればデータはなんでもいい感じだった。
内田:そうですよね、シームで変化する球なので、特にラプソードではなかなか変化量が分かりにくいですよね。(注:現在の東大野球部では最新機種のラプソード3.0を導入し、シームの影響も測定できるようになっています。)
平田:あと、スラカットはやっぱりリリースアングル(発射角)。上に出過ぎないことと吹かないような回転軸になるように気にかけてた。
打ち取るビジョンが少しずつ見えてきた
内田:では具体的なエピソードも聞いていきたいんですが、「一番俺良かったな」みたいなエピソードはあったりしますか?自分が目指していたように投げれた時はありましたか?
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平田:その時その時で目指している像が違ってきちゃうから、時期によるんだけど、2年夏のシートの時はひたすら強い球を投げようとしていて、実際にうまく抑えることができた。ラプソードで2500初めて出たんじゃないかな。
内田:それはストレートですか?
平田:うん、ストレート。スピードもある程度でたし、当時目指していたシュー伸びもありつつ、ツーシームとのコンビネーションも良かった。
4年になってからは秋の慶應一回戦かな。あの時はむしろ球質としてはグレードダウンすることで打たせてとる方向でうまくいったと思う。
内田:僕個人として印象に残っているのは北海道ベースボールウィーク2024での日本ハム戦(1回無失点)と社会人対抗のENEOS戦(3回無失点)です。好投の要因はなんだったんでしょうか。
平田:なんだったんだろう笑
やっぱりツーが初見だと結構ハマりやすかったんだろうな。リーグ戦だと見慣れてきちゃう人もいたかもしれない。
内田:なるほどなるほど。
平田:でも、ツーとスラで打たせて取るスタイルの原型ができたのは1年の夏から秋のオープン戦かな。
内田:あの時はBチームで投げていたんですか?
平田:そう、Bチーム。変化球を投げて引っ掛けさせて、ゴロを出して少ない球数で帰ってくるというのを徹底してた。
内田:自分の軸があってその軸に沿った打ち取り方ができていた?
平田:うん。それまでは打ち取るビジョンとかもあんまりなくてただ投げているだけだったのが、ちょっとずつゴロを打たせる思考になっていって再現性も上がったのがその頃だった。
内田:なるほど、2年秋からリーグ戦で投げるのも納得です。では、続いて先ほどあったカットボールの習得について詳しく伺っていこうと思います。
ーーー続きは来週土曜日に公開される【東大野球部データ対談・R7卒平田康二郎②】データで振り返る新球習得とリーグ戦での奮闘へ。公開をお楽しみに!
今回もお読みいただきありがとうございました。
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