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【検証】大谷翔平が東大球場で打ったら何HR打てるのか?

皆さん、こんにちは!
今回は片山(2年/筑波大駒場)が担当します。初投稿となります。よろしくお願いします!


経緯

最近の悩みは仕事が進まないことです…。今秋のリーグ戦期間はリーグ戦の仕事を処理をしていたらあっという間に終わってしまいました。大学4年間で計8回のリーグ戦の半分が終わり折り返しを迎えています。月日の早さを感じます。

このnoteも9月中旬に企画したものの、気付けばリーグ戦が終わって11月になっていました。その頃は大谷選手がレギュラーシーズン真っ最中、50-50達成前だったのに、自分がnoteを書かないうちにどんどん打って50-50達成、今やドジャースはワールドシリーズを制覇しています。
そろそろ書かないとアナリストをクビになりそうなので書くことにします。

さて、今回の話題は我らが東大野球部の本拠地・東大球場です。東大球場は弥生キャンパスの最果てにある、全面人工芝の球場です。(東大生でも訪れたことのない人は多いのではないでしょうか。)

東大球場といえば、ボロさと狭さが特徴(?)です。1937年に建造された建造物は登録有形文化財に指定されるなど、良く言えば「歴史のある」、悪く言えばボロい建物です。コンクリートにヒビが入っていたり、定期的に雨漏りします。
球場のお隣には東大の地震研があるのですが、日本最先端の地震の研究をしているであろう研究所の隣の建物が地震で潰れないかと普段から心配しています。

東大球場のグラウンドは両翼85m、センター105mといわれています。リーグ戦が行われる明治神宮球場の両翼97.5m、センター120mと比べると、かなり小さな球場です。
東大球場で行われるオープン戦では、狭いが故に打ち取ったようなフライがあっさりとスタンドインしてしまい、相手大学のピッチャーと監督の口があんぐり、打ったバッターは気まずい雰囲気でダイヤモンドを一周、なんてこともしばしばあります。

今回のテーマは、そんな小さな東大球場で大谷翔平選手が打ったらどうなるのか?という検証です。大谷選手は現在2024年シーズンの途中ながら、9月16日時点で自己最多の47本塁打、48盗塁を決め、50−50(50本塁打、50盗塁)の偉業まであと一歩と迫っています。大谷選手は2024年シーズンを54本塁打、59盗塁を決め、前人未踏の50-50を達成しました。ポストシーズンでもドジャースのワールドシリーズ制覇に大きく貢献しました。

今回は、大谷選手の打球データから、もし東大球場だったらスタンドインするだろうという打球を数えます。メジャーリーグではなんと、スタットキャストと呼ばれるシステムが整備されており、全プレーのデータ(球種、球速、打球速度など)が一般向けに公開されています。(NPBも早く公開してくれたらなあといつも思っています…笑)

打球をプロットしてみる


Baseball Savantというサイトからデータを参照・ダウンロードすることができます。詳しい利用方法については他の方の記事がありますので、そちらをご参照ください。

今回の作成にあたってはこちらの記事を参考にさせていただきました。
まずは記事に従って、2024年シーズンの大谷選手の打球をプロットしてみます。

異次元の打球プロット


単に打球をプロットしただけですが、これだけで大谷選手の凄さがわかります。通常フェンスはホームベースから100m弱〜125m程度ですが、それを優に超える130〜140m級の打球がゴロゴロあります。
普段から大学生(とはいってもプロ予備軍のような人たちです)の打球プロットを見ていますが、こんなプロットはさすがに見たことがありません。世界最高峰の選手なのだからそりゃそう、という感じではあるのですが…。

次に、これを東大球場の上にプロットしていきます。

東大球場のサイズはGoogle Earthを使って計測しました。

センター
両翼

両翼85m、センター105mという情報はどうやら間違っていないようです。

次に、Pythonで東大球場の図を再現しなければならないのですが、今回は我々が普段資料などに掲載している用の神宮球場の図の縮尺を変えることで代用します。(球場の形状は若干違うのですが、新たに図を描くのは大変なんです…。お許しください…。)

アナリスト御用達、神宮球場の図

この図はアナリストの神・佐藤さん(4年/佐世保北)が一からコードを書いて作りました。

元コードを覗くと、夥しく複雑な関数の組み合わせで卒倒しそうになります。

使い方もわからない私を見かねて、佐藤さんが「貸してみ」と言ったものの数分後、なんとプロットができているではありませんか。

驚きというよりもはや畏怖・畏敬の念をおぼえます。佐藤さんはもう引退ですが、いなくなることが考えられません。佐藤さんがいなくなってからアナリストの仕事は回るのでしょうか。

東大球場にプロットしてみる


黄色:メジャーリーグで実際にHRになった打球
橙:神宮球場ならHR
赤:東大球場ならHR
灰色:その他

ということで佐藤さんが作ってくださったプロットから色々といじってこんな感じになりました。
打球の到達地点、打球の飛距離から東大球場で柵越えしたかどうかを判定しています。(今回はフェンスの高さを考えないことにします。)
参考までに、実際にメジャーでHRになった打球、神宮球場なら入っているであろう打球、東大球場なら入っているであろう打球に分けてみました。

もうこのプロットを見た時点で嫌な予感というか、橙、赤が黄色より多い気がします…。これはすごいことになりそうです。

ということで、東大球場でのHR数を数えると、、、、

130本

となりました!!!

もう笑うしかないですね。
シーズン130本はバリー・ボンズのMLB記録である73本を優に超えて、堂々の歴代1位です。もちろんNPB記録も塗り替えます。世界どこのリーグにいっても、シーズンで130本打つ人はいないのではないでしょうか。

東大球場で打った場合の打撃成績についても見てみましょう。

2024シーズンの成績
打席数が10少ないのは申告敬遠のため
東大球場で打った場合

上がシーズン成績、下が東大球場で打った場合の成績です。(東大球場の狭さにより二塁打や三塁打の減少が考えられますが今回は考えないことにします。)

まず、ホームランが80本近く増えたことでアウトになっていたフライが安打になり、打率が4割台に乗っています。長打率は脅威の1.0超え、1打数あたり塁打1は稼ぐことになります。

極めつけはOPS1.5。さすがに見たことがありません。
OPSは0.7がリーグ平均、0.9を超えるとかなり良いバッター、1以上になるとリーグを代表するバッター、という印象です。

1打席あたりの得点創出能力の目安となるwOBAもおよそ1.5倍となりました。
完全にゲームバランスが崩壊しています。


結論

大谷翔平に東大球場は狭すぎる。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次回のアナリストnoteもお楽しみに!


片山修吾(2年/筑波大駒場)