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サイテーじゃないよ、サイラーだよ。
サイラーとは
トレニックワールドさん主催の「彩の国100mile」レースに参戦して、無事に完走いたしました。
今年で8回目になるこの大会、コースの過酷さに対し、制限時間が短いことから、完走することが難しく、完走者には「サイラー」という称号が与えられます。
私は2018年に100kmのカテゴリーから参戦し、100mileは2019年、2022年そして今年と、3回目の「サイラー」を獲得しました。
コースは過酷ですが、大会の雰囲気が大好きで、毎年エントリーしてしまうこの大会。
エイド食が充実してるので、エイドでしっかり補給して、コースをしっかり走る。
という好循環で、過去の大会も良い成績を出すことが出来ていましたが、2019年以降はコロナの影響で2年間大会が中止、昨年3年ぶりに大会が開催された時、何か今までとは違う雰囲気を感じていました。
完走(サイラー)を目指すチャレンジャーの祭典から、順位を競うグレートレースへ
上手く表現できませんが、言語化するとこんなイメージかと。
去年は周りのペースが速く、「美味しい補給食をいただきながら、エイドスタッフと談笑する」という自分のリズムを刻んでいる間に、どんどん抜かれて焦りました。
なので、今年の目標は、周りのペースに惑わされず、あくまでも大会を楽しむことと、過去の自分のタイムを超えることを目標に挑みました。
North 焦り
ニューサンピア埼玉越生の体育館を起点に、ざっくり50kmちょいを3周するこの大会。
コースは大きく2種類で、North、Southに分かれており、3周目はSouthを少し(過酷に)アレンジしたSouth2という彩の国名物の超過酷コース。
1周目North→サンピア→2周目South1→サンピア→3周目South2→サンピアゴール。
といった具合に、無限に里山を楽しめるコースです(笑)。
「今日は自分のペースで」
そう思ってスタートしたものの、やはり周りのペースが気になり、序盤から突っ込み過ぎて足が動かなくなる。
発汗か、ウェイトオーバーか、オーバーペースか。
たぶん、その全てで、気持ちに余裕がなくなっている。
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でも大丈夫、この大会にはオアシスのようなエイドが現れる。
エイドに着くと「助かった」と、思わず声が漏れる。
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でも、のんびりしていられないジレンマ
ここはゆっくりと補給して立て直そう。
と、思っていると、後続選手が素早いエイドワークで抜き去っていく。
焦らない、マイペースで。
自分に言い聞かせようとするが、負けたくない気持ちが先行し、またもオーバーペース。
なんや、去年と同じことしてるやん。
South1 勝負
1周目のNorthで、周りの選手を意識し過ぎて疲労感たっぷりでサンピアに戻り、お目当てのカレーをいただく。
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今度こそゆっくりと休憩して、2周目に突入しよう。
と、思うのだが、周りの選手のエイドワークが早くてまた焦る。
いや、もう無理。走れない。
カラダは悲鳴を上げているが、気持ちは負けたくなくて、休憩もそこそこにSouth1へ突入する。
今回は、過去の自分との戦いだったハズ。
過去の自分に勝てればいいじゃないか。
そう思い、タイムを見ると、2019年の自分に小1時間負けている。
「嘘やろ、2019年の自分って早すぎるやん。」
コース上にある東屋のベンチで仰向けになり、天を見上げて呟いた。
もういい、誰とも勝負しない。
今できるベストを尽くす。
ベンチから起き上がり、近くにあった水道で顔を洗う。
カラダに熱がこもって火照っているように感じたので、手拭いを濡らし、首に巻き付ける。
エイド間の補給も、空腹を感じない程度に、少しずつ固形物を補給しながら、水分を摂り過ぎないように注意する。
ようやく、自分のリズムを取り戻した。
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South2 今の自分
サンピアに到着すると同時に時計を確認、エイド滞在は30分と決めていた。
頭の中も整理して、ひとつひとつ、やるべきことを消化していく。
でも、ここのカレーを食べることだけは外せない。
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サンピア滞在は20分、それでも、トータルで18時間半を超えている。
過去の自分を越えるためには、3周目のSouth2を11時間以内に走る必要がある。
11時間はさすがに無理や。
せめて12時間以内に帰ってきて、トータル30時間切りは狙いたい。
目標を下方修正、過去の自分を追いかけつつ、今の自分のベストを尽くす。
もう、周りの選手に惑わされることは無くなっていた。
しかし、序盤をオーバーペースで突っ込んだダメージは大きく、いつまでも睡魔が消えず、思うようにペースが上がらない。
何度もベンチに横たわり、空を見上げる。
2019年はどうやって走ってたんやっけ。
と、過去の自分を問い詰める。
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過去の自分の未来が、今の自分の姿。
2019年よりスピード落ちたかもしらんけど、調子が悪いなりに対応できる経験はしてきたんやろ、最後まで諦めへんかったら絶対に追いつけるで。
South1とSouth2のエイドは同じ場所にあるので、2周目でお会いしたエイドスタッフと3周目で再開する。
「お帰りなさい。早かったですね!」
声を掛けてもらう度に、カラダの芯から元気がみなぎる。
過酷なコースと、優しいエイド。
激しい上りと下りを繰り返し、エイドに到着してホッと一息。
次のエイドに到着すれば何とかなる。
2019年もこんな感覚だったな。
あの頃の感覚が蘇り、純粋にトレイルを走ることが楽しくなってきた。
最終盤の高山観音エイドに到着。
時計を見ると、27時間ちょい。
ここからは下り基調のトレイルなので、頑張れば30時間は切れるかも。
曇り空は晴れわたり、気温も上がってきた。
逆走応援のランナーとすれ違い、声援と元気をもらう。
100kmの選手を次々と追い抜き、時折現れる100mileの選手にも追いつき、並ぶ間も与えず、一気に追い抜く。
ゴールが近づき、覚醒モードに突入した。
もう、何も考えない。
あとはカラダの赴くままに出し切るだけ。
持てる力を振り絞り、絶対に諦めない。
過去の自分は捨てて、今の自分を信じて駆け抜ける。
そしてフィニッシュ。
僅か50秒ですが、ラスト大逆転で勝利しました^^v
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やるやん、今の自分。
サイテーじゃなくて、サイコーの結果やん。
来年はもっと経験を積んで、50歳ルーキーとして挑みたい。
こんなキツいコース、今はまだエントリーしたいとは思わんけど(笑)