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初めて観た蒼紅杯配信がとてもよかった話

こんにちは、ウーパールーパーです。

私は普段MTG Arenaというゲームでマジック・ザ・ギャザリングをプレイして遊んでいます。

今回は私の蒼紅杯参戦(できなかった)記を書こうと思います。ついに参戦しなくても記事にし始めるこのツラの厚さ、見習ってくれていいですよ?


1. 大会の概要と不参加の経緯

マジック・ザ・ギャザリングのオンライン大会である蒼紅杯は、我々日本人MtGアリーナ勢にはもはや唯一残された競技性の高い大型大会です。

他の大型大会というと公式が用意している予選ウィークエンドと年一回のジャパンオープンくらいしかありません。

そういった事情もあって蒼紅杯は基本的に毎回出ています。正直今の私のMtGモチベーションの半分くらいを担っていると思います。

最近は調整チームも出来て、一つ前のサンダージャンクション環境では運良くトップ8に入ることができました。

そんな大会に出れないだと?

それに気づいた私の脳内はじわじわと闇に蝕まれ、呪詛を振りまく怪物と成り果てました。
(出れなかった理由は旅行です。旅行は超楽しかったです)

調整チームには手伝うよと言ったものの、最近は仕事が忙しいうえにシャドウバースエボルヴという別のカードゲームの大会調整もしていて、ほぼ何もできませんでした。
冷静に考えて2種類の競技性ゲームやるのは無理があると思います。複数のカードゲームやってる人ってどうしてるんですか??

2. 旅路、そして帰路へ

そんなこんなで迎えた大会当日、私は旅先の美食に舌鼓をうち、土産屋を物色し、初めて複製画を購入しました。満喫という言葉は私のためにあったのでしょう。

そんななかでもdiscordから調整チームのやりとりが飛んできます。discordでは前回大会で4-2の雑魚の癖にトップ8に残ったやつがいるぞ、と私を揶揄するコメントが来ていたので、5-2ですと訂正しておきました。
私自身の名誉のために補足しておきますが、3戦目以降の相手の最終成績が全員5-2以上という鬼対面でかつ、最終的にトップ8に残った方も倒して5-2界の王となっていたので文句はあるまいて!!許さんぞ!!
※実際は別に雑魚とは言われてないです。フィクションなので節度ある対応を求めます。

時間が進むにつれてdiscordに書かれるチームメンバーの成績を見て、こいつら勝ちすぎだろ…と思いながら旅先から帰路につきました。

帰宅して大体17時頃、meleeを見てみるとまだnelsonさんとはじめまどかさんがトップ8の目が残っていました。

3. 大会観戦

応援行くかあ、とdiscordに入ると同時に、もしかしたらふたりがフィーチャーされるかもと思って蒼紅杯の配信をつけました。

実は真面目に配信を観るのはこのときが初めてでした。普段、大会に出ているときはつけないですし、最終ラウンド終わった後は疲弊していてそこから観戦する元気がなかったからです。後は悔しくて冷静に観れないということも大きかったです。

つけた瞬間に実況解説のおふたりの元気で楽しそうな声が飛び込んできます。
MtGの配信は深夜なこともあって控えめなことが多いので、こういった和気あいあいとした配信は珍しいです。
勿論公式も仲よさげにやっているのですが、(多分意図的に)テンション抑えめになっているので、ボソッとボケてややウケ、みたいな空気になりがちなので新鮮でした。

そしてなによりも…画面がアリーナ!!見やすすぎる!!

コロナ禍が終わって以降、テーブルトップに立ち返れと言わんばかりにMtGはプロツアーをはじめとしてほぼ全ての大会が紙のカードを使った大会に戻ってしまいました。

余談ですが、私は渡辺雄也のファンです。
初めて彼のプレイを観たときは衝撃的でした。まるで相手の手札が全て見えるかのように立ち回り、未来が見えているかのように状況をコントロールするプレイは当時学生で身内で遊んでいるだけの私には考えられないものでした。
そんな彼が疑惑の残る裁定で殿堂を剥奪され、MtGを引退したことはとても悲しかったです。
それを知っている私にとって、MtGアリーナは競技的に素晴らしいツールだと思っていました。少なくともこれを使えば「悪意のある行為」を行うこと自体困難になりますし、ログが残る以上それと誤認される可能性は著しく下がります。

これから全ての大会がアリーナになればあんな悲劇も起こらないと思っていましたが、実際は競技大会はテーブルトップに戻っていき、その理由とでも言うかのようにアリーナには競技が困難になるようなバグが急増しました。

そんな中バグにも負けず、アリーナで元気な日本語の実況解説が配信されていることに今更ながら感動したのです。

4. エンタメ興行としての大会づくり

eスポーツに限らず、スポーツはすべてエンタメ興行です。観ている人に楽しんでもらうために様々な取り組みがあります。それは実況解説にはじまり、画面の見せ方、選手の魅力、広告や大会のブランディングなど様々あると思います。

私はかなりMtGをやっているほうだとは思いますが、それでも自分がやっていないフォーマットのモダンやレガシーの大会を観ると殆ど何をしているのか分からず、数分で消してしまいます。
紙のやりとりは早すぎてどのカードか判別する間もなく処理が進み、ジャッジを呼んで試合が止まっても理由が判然とせず、実況解説頼みの場繋ぎラジオになります。

これらはアリーナで開催されるだけでかなり改善されますし、視認性においても公平性においても「魅せる」ことに重きをおくならアリーナがよいと思っています。

アリーナのようにデジタルプラットフォームでやるだけでもエンタメ度合いは高くなりますが、実況解説も重要です。その重要さを感じたのは友人のれのんさんに勧められて観たシャドウバース大会の動画でした。ルールがわからなくても楽しめると思うのでぜひ観てみてください。

試合が面白いこと以上に実況解説陣の盛り上がりからすごさが伝わってきますよね。同じカードゲームでも実況解説でここまで変わるのかと驚いたものです。ほとんどカードを知らないのはモダンやレガシーと同じなのに、こちらは手に汗握って見入ってしまいます。

この動画は世界大会の舞台ですので、選手の凄さが全面に伝わる実況解説にデザインされています。

では蒼紅杯はどうか?
蒼紅杯は大型大会といっても草の根大会です。そのテーマは「新環境のMtGを皆で楽しく遊ぼう」というものです。

新しいデッキの凄さ、面白さに一喜一憂し、このデッキを使ってみたいと思わせてくれる。新環境のMtGはこんなにも面白いという期待を感じさせてくれる。蒼紅杯はそんな実況解説にデザインされていました。

これはもちろん実況解説の皆さんの高い技量によるものですが、それだけではなく主催の蒼紅ちかさんがテーマを明確に打ち出すことでしっかり共通認識を持つことができているからだと思います。
他にもメタゲームの表記や画面転換、ロゴなど細部でエンタメコンテンツとしての配信作りがしっかりされていて、個人主催とはとても思えない完成度になっています。

また少しシャドウバースの話に戻りますが、シャドウバースでは大会の投了が禁止されているそうです。
その理由は、試合の最後の瞬間をエンタメとしてしっかり見せるためです。これはかなりいい取り組みだと感じていて、実況としても試合の最後の瞬間を予測して盛り上げやすいのではないかと感じます。
MtGではサイドのあるBO3である都合上、途中投了のタイムマネジメントは必要ですが、試合が決まるときは同じように投了できないルールにしたほうがエンタメとしては盛り上がります。(青白コンのようなデッキでも投了不可にするか?という問題はありますが…)

実は以前こういった話を今回3位になったはじめまどかさんと雑談で話していました。

今回決勝ラウンドのはじめまどかさんの試合を観ていただくと、負けが決まった状態でもあえて投了せず、100点以上のダメージを受けて豪快な死を迎えています。青白アーティファクトというデッキの魅力を伝えるためには必要な演出でしたし、投了しなかったからこそ実況解説での盛り上がりも生まれています。

もうひとつ、マリガンのときすべて土地だったときも、すぐにダブルマリガンせずに実況解説陣がリアクションを取れる時間を作ってくれています。

競技者としての参加だけでなく、大会のエンタメを盛り上げるための工夫をしてくれていて本当に素晴らしいですね。

シャドウバースのようにこういったエンタメのための工夫も参加者の厚意ではなくルールとして整備されていくといち視聴者として嬉しいなと思います。

5. スポンサーの獲得

さらに今回特筆すべき点は何といってもスポンサーの獲得と大会の有料化でしょう。
私自身、スポーツ興行に携わる人間として本当に凄いことをされているなと感じます。

スポンサーは私達が今何かができるからお金を出しているわけではない。
今後私達の活動が続いたときに起こるであろう未来に対する期待を買ってくれている。
だから常に彼らが期待する未来に向けて進む姿勢を見せることがスポンサーに対する最も重要な誠意だ

これは私が以前上司に言われたことなのですが、今回蒼紅杯がまさに体現している姿だと思います。

今蒼紅杯に広告を出して、どれほどのリターンがあるでしょうか。大変失礼ながら殆どないと思います。同時視聴数が数百人、それでスポンサーの店舗に足を運んでくれる人は10人もいれば良い方でしょう。広告効果としては微微たるものだと思います。

それでも配信画面には本当に多くのスポンサーのロゴがありました。その多くは蒼紅杯が100人規模の大型大会であるという現状の価値ではなく、今後収益を出してMtGのオンライン大会をビジネスとして成立させることとそれによる類似大会の増加、ひいては業界全体の活性化というビジョンに対する期待だと思います。

そして、今大会、蒼紅杯は見事にその未来に対する一歩を踏み出しました。それが参加費の徴収です。
無料のものが有料になって喜ぶ人はいません。たかが5円のレジ袋ですら批判が殺到しました。

それほどのネガティブなことに対して、主催の蒼紅ちかさんは地道に、これがいかに必要なことかをSNSを通して伝え続けたからこそ多くの人に好意的に受け止められ、無料だった前回と同等の参加者を集めることに成功したのです。

そしてその姿に期待するスポンサーの数がそのまま配信画面に現れ、大会そのもののブランディングにまで繋がっています。

6. さいごに

今回はじめてまともに配信をみて、コンテンツとしてのクオリティの高さに本当に驚きました。それと同時にもっと面白くなるという期待感もあり、次回も観たいと思わせてくれる内容でした。
とはいえ基本的には参加者として出たいので次はアーカイブでゆっくり観ようかなと思います。

次はジャパンオープンですね!
またしても出られないですが放送が楽しみです!


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