24.09.23- サウナ

2024.09.23
結婚式で数年ぶりに会った高校の友達に誘われて二人でサウナに行くことになった。都合が付かずに数回断っていたのだが、さすがに悪いと思い、今日は夜にリアルの予定があったので夕方までの時間で予定を調整した。

彼はヤンキー系のイケメンで、何をしでかすか分からないタイプの男だった。通っていた高校は共学だったが、化学の授業中に白衣の下でズボンからこっそり中身を出して、女子にはギリギリ見えない角度で見せてきて笑いをとるような人だった。ただ、その奔放さも相まってとてもモテた。当時の僕は彼のそれを性的な目で見ていたけど、あまり積極的には関わらないようにしていた。

それが友達の結婚式の帰りの電車で一緒になり、隣の駅に住んでいることが分かってから、頻繁に連絡が来るようになった。今は彼女と同棲しているが、周りが段々と所帯持ちになってきて暇を持て余しているらしい。彼と素面で二人きりで会って話しをするのはたぶん今日が初めてだった。

最寄駅で合流すると、真面目なのかおふざけなのか分からないボケを会話にいちいち織り交ぜてきて困惑する。本心が読めない人との会話は苦手だ。会話のリズムを掴めず、乾いた笑いを連発していたが、二人でお昼ご飯の担々麺を食べ終わった頃には、彼はこういうコミュニケーションの取り方をする人なのだと思えてきた。

飄々とした彼の態度の裏には、いつも何かが隠れているようで、それがずっと怖かった。でも、そんなの自分も一緒ではないか。あえて腹を探るようなことをせず、素直にありのままを受けとめれば、もっとスムーズに人付き合いができる気がした。彼と話すうちに立ち居振舞いが「地面師たち」の北村一輝みたいだと思い、それを告げたら嬉しそうに物真似をしてくる。なんだ、意外と可愛いとこあるじゃん。

サウナは屋上に外気浴ができるスペースがあり、裸でポンチョを着て一度店を出て階段を上がるスタイルだった。二人でサウナ、水風呂、屋上と往復するうちに最高に気持ちよい瞬間が訪れる。ただ、屋上に向かう階段では、彼がポンチョをめくって下半身を見せつけてきた。こういうところは本当に変わらない。サウナを出たところで軽く飲もうと誘われて結局ビール3杯付き合ってしまい、その後のリアルではすでに酔っていることを隠すのに苦労する羽目になった。

2024.10.07
仕事を早退してライブに向かう平日の夕方。おじいちゃんの営む地域密着型の不動産屋を何気なく覗くと、お孫さんらしき笑顔の子供の写真が何枚か貼ってあった。この嬉しいような寂しいような感情はなんだろう。すると、隣に自転車を走らせるお母さんと横を走る10歳くらいのぽっちゃりした男の子を見かけて、あぁ僕は本当は子供が欲しかったのかもなと思った。

ゲイとして生きると決めた日、世界がぐるっと転回したあの瞬間に実は人生におけるいくつかのことを諦めていた。アイデンティティが揺さぶられるのが怖くて、無意識のうちに固く押し込めた感情が急に溢れ出してきた。それは今や、その程度のことでは揺らがなくなったという証なのだと思うことにした。

歌舞伎町の奥にある新宿LOFTへ。このライブハウスには幕がある。SEが止まって照明が落ち、歓声と共に幕が開いていく瞬間が好きだ。対バンの絵恋ちゃんはとても可愛い。うまく言葉に表せている自信がないが、しれっとした顔をするのが上手い人だと思う。しれっと感はアイドルに必要そうでありながら、絵恋ちゃんのそれは少し過剰で浮いている。そこが彼女の魅力なのだろう。MCで「鉄オタのオタクが付いた話」をしていて、オタクは「付く」ものなのだという発見があった。

戸川純は今日も最初から最後まで余すことなく戸川純であった。場の空気を無意識なのか意図的なのか曖昧な発言と仕草でフワッと笑いに変えて、かっさらっていく。彼女を見ていると、僕の本当に好きだった人は、みんなどこか彼女に似ているような気がしてきた。

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