はんだ付け完全未経験者がKeyball61を作った件(+α)について
3回目の自作キーボードです。
前回↓
制作に至った経緯を3行で
・自作キーボードが楽しい
・どうせなら自キーならではの物が欲しい
・keyball61?なんだそれ、面白そうじゃねえか…… ←今ココ
構成について
keyboard:Keyball61
keycaps:GMK Nightrunner R2/Cannoncaps 407/PBTFANS Retro100
keyswitch: T1 Shrimp Silent Tactile/CJ LinearSwitch/Splash Brothers
Artisan: Aluminum/resin etc
今回使用したパーツがかなり多いので知らない方向けに詳細に説明します。
興味なければ製作過程まで飛ばしてください。
①keyboard:Keyball61
↓言わずと知れた分割キーボードです。
②keycaps:GMK Nightrunner R2/Cannoncaps 407/PBTFANS Retro100
3種類のキットを混ぜて使用しています。左側の親指位置に407とRetro100を、残るほぼすべてをNightrunner R2で組んでいます。
今回のこだわりポイントはなんといってもNightrunnerです。サイバーパンクを基調としたデザインはGhostrunnerシリーズのファンである私にはたまらない一品でした。
③keyswitch: T1 Shrimp Silent Tactile/CJ Linear Switch/Splash Brothers
親指部分にT1 ShrimpとCJ Linearを、残るすべてをSplash Brothersで組んでいます。3種類使っていますが特に理由はなく、使いながらこれじゃないと思ったら交換していく予定です。
④Artisan: Aluminum/resin etc
Artisanキーキャップとは、会社なり個人なりが製作している一風変わったオリジナルのキーキャップを指します。私は今回4系統のArtisanを搭載しました。
Ⅰ.CRAB CRAFT 日本酒/ビール Artisan keycaps
押すことを全く考えていない形状ですが、そこが良い。コミケで一目惚れして即購入したものになります。CRAB CRAFTさんは各イベントに出店されているようなので興味のある方はぜひ。価格は1つ2500~3000円くらいだった気がします。
Ⅱ.skeletonkbd アルミ削り出しキーキャップ
アルミ製なので軽く、しかし耐久力があるキーキャップです。知らない方は全く調べたりする必要はないのですが、このデザインの王冠って金色ラブリッチェを想起するなと思って購入しました。価格は3000円です。
Ⅲ.monopole レジンキーキャップ
こちらはレジンと塗料で作られたキーキャップです。右側が一個2000円で左はオマケで無料でいただきました。下から光を当てると綺麗に映えます。
monopole氏のショップは作品の等級があり、低いものが1000円~高いもので3000円といった形で販売されていた記憶があります。
Ⅳ. ??? ファミコンみたいなキーキャップ
昔Amazonで千円ちょっとで買ったものなのですが、製造社すらよくわかっていません。GAMEと書かれたカセット部分は交換可能という妙に細かい芸が仕込まれています。何なんすかねこれ。プロデューサーさんは何だと思います?
以上でパーツの説明はおしまいです。
製作過程
・パーツを揃える
元々キットに含まれているもの(基盤やダイオード等)とそうでないもの(キースイッチやトラックボール等)があるので、その辺をよく調べておかないと途中で泣きを見ます。遊舎工房の販売ページを見ながら揃えれば過不足は起こらないのでオススメです。
パーツが揃っていることは確認したので早速組み立て開始したのですが……
・いきなり大問題(というか論外の現象)発生
いきなり問題発生です。はんだ付けが全くうまくいきません。PCBとダイオードの足の距離が離れすぎていて全然うまく付いてくれないんですね。はんだ付け難しいーとかこの時は思っていました。
その時の写真がこれです。
Keyballを作ったことのある方ならすぐにピンとくると思いますが、この状況、トンデモ級の大間違いを起こしています。ダイオードを付けるはずの場所にLEDをはんだ付けしているんですね。
ダイオード用の場所なので当然はんだを盛りにくく、LEDの足とも距離があるので、すべてのはんだをブリッジさせようとしてたわけです。うまくいくはずがなくめちゃんこでっかいボールになって足を飲み込んでいますね。なんだこれ。
というかこれ、LEDの足が4本あるのに対して接地面が2枚しかないことに違和感覚えればすぐ気づけたはずなのですが、一体どうなっているのでしょうか。
こんなことになった原因は3つあります。
①ダイオードという説明を見て勝手に発光ダイオード(LED)だと思い込んでいた
これはちょっと許してほしいところです。だってLED=発光ダイオードって習ったんだもん……ダイオードって複数種類あるとか知らないし……
②自分が買ったLEDはジェネリックだった
マニュアル見たら真っ黒なパーツ貼ってるんだからそんなミスしないだろと思った方、確かにその通りなのですが、これも言い訳させてください。
私はYS-SK6812MINI-Eの代わりにSK6812MINI-EというLEDのジェネリック品で代用していたのでマニュアルの品とは色が違うのだと思っていたんですね。なので気づけなかった。
③そもそも最後までマニュアルを読まずに作り始めるいい加減な姿勢
結局ここには言い訳の余地もございません。切腹してお詫び申し上げます。
最後までマニュアル読んでいればLED付ける工程は後にあるとすぐ気づけたはずですよね?keyballのキットに最初からダイオード入ってましたよね?マジで頼むわ。
教訓:マニュアルはよく読もう ←小学生かな?
ミスに気づいてからは全部のLEDを取り外してダイオードに置き換えました。PCBは幸い無事だったようですべてのキーが生きていることが確認できました。よかったよかった。
・難しい(とされている)ハンダのブリッジ
ここは逆に楽だと感じました。先の細いコテを使ってたことが幸いしたのか分かりませんが、ハンダを流し込みながらブリッジしたい面2つを交互に擦るだけで簡単に繋がってくれました。はんだを気持ち多めに流すとうまく繋がる気がします。
・キーソケットのハンダ付け
一通りはんだ付けしたところで動作確認を行いました。ところが、最初はキーがまともに動作しませんでした。原因は各パーツのハンダ付けがハチャメチャに甘かったことにあったのですが、これが分かっていても中々難しい。
キーソケット(キースイッチを差し込む部分)をはんだ付けするときは
基盤の赤色部分にハンダを盛り、ソケットの青色部分を貼り付けます。
ここで事前に盛ったハンダを片方溶かしてソケットを沈めると途中で以下の図のような状態になります。ソケットが著しく傾き、反対側のハンダの溶かし込みや押さえつけが甘いとそのまま接続不良気味になってしまう、という事が何度もありました。
最初の方法だと厳しいと判断し、最終的にたどり着いた方法が以下の方法です。片方にはんだを盛って溶かして貼り付けるまでは同じですが、反対側には最初は盛らず、①コテでソケットを若干持ち上げ、②コテにはんだを押しあてながら、緑の位置に流し込みます。あとはすぐにソケットを上から押しつけて固まるのを待ちます。
こうすれば最初の片側のはんだ付けが甘いと持ち上げた際に剥がれて気づけますし、また緑部分のハンダがすぐに圧着されて固定しやすいです。
これはド素人の私が適当に思いついたやり方にすぎないので、もっといい方法があればぜひ教えてください。
・なんやかんやで完成
組みあがったキーボードはこちらになります。(画像はキーキャップにRetro100を使用)
親指側には当初ロープロファイルキーを使っていましたが、後で普通のキースイッチに戻しています。
結局、はんだ付け完全未経験でもKeyBallは組めるの?
完成したからこそ好き勝手言えることですが、私の結論はKeyBall61組み立てははんだ付け完全未経験者でもがんばればなんとかなるでした。
今までネットで見かけた記事ははんだ付け初心者を謳いつつ中学高校で若干経験したことがあるとか、事前にmeishiなどの練習用PCBを弄ったとか、そういう方が多かったと思います。(本来はそれが正しいのですが)
ですが私は正真正銘の完全未経験でKeyBallに突撃しました。はんだ付け講習といったサービスも世にはあるようですが、私は動画とブログで得た知識と野生の勘だけでやっています。その結果相応の数失敗していますが、取り返しのつかないミスはなく、なんとか完成までこぎつけています。どちらかと言えば手先の器用さよりも、100個以上のパーツをひたすらくっつける作業を耐えるだけの根気が重要だと思いました。
一応若干のアドバイスを。
・温度調節はんだごてはあった方がいい。Amazonで数千円出せば買える。
・吸煙機とはんだ吸い取り機もあった方が良い。
・↑ゼロスタートだとこれら設備投資だけで1万円はかかる。嫌なら道具付きの工作室みたいなのを借りると良いかも。
・LEDを買うなら遊舎工房より秋月電子通商の方が安い。
・失敗したくないならとにかくいろんな人の組み立て記録を見ましょう。あとマニュアルは最後まで読んでから組みましょう。
使用感について
誤解を恐れず言うと、最初はかなり使うのが難しいです。キー配置は普通のキーボードと異なりますし、そもそも2つに分かれてるし、トラックボールは使い慣れてないと何をするにも一苦労です。
しかし。ここを乗り越えれば大きく違う景色が見えることでしょう。でなければここまで便利さで有名にはなりませんからね。もう少し頑張ってみます。
終わりに
カスタムキーボードから始まった私の自キー探求の旅で、今回は間違いなく最難産でした。しかし産みの苦しみが大きいほど完成のカタルシスも大きくなるというものです。自キーとは本質的に自我との向き合いでもあり、寄せては返す苦しみが止揚に至りし時に新たな世界が見えるのではないでしょうか。そんなことを思う製作期間でした。
では最後に、私の積み重ねた失敗が、この記事が次にKeyballを作らんとする誰かの一助となることを祈り、いつもの挨拶で筆を置きます。
この記事はKeyball61で書きました。