就労移行支援に行くべきな人の話
前回、私が就労移行支援を利用すべきではなかったという話をしたので、
今回は逆に就労移行支援を利用すべきだという人の話をしたいと思います。
1.前の会社を退職してから間を置かずに利用できる人
学生さんとか初めて就職する人は除きます。ブランク(無職の期間)なし
で利用できるのはわりと大きなアドバンテージだと思います。私の場合、
結構大きなブランクがあってから利用したので、無職の状態に脳が慣れて
しまっていました。働かないことによる体力の低下を最小限にしておくと
いう意味でも、就職へのモチベーション維持に効果は小さくないと思いま
す。
2.事務職の経験や資格があり、事務職への就職を目指している人
障碍者雇用の求人の8割が事務職だという現状は今も変わらないと思うの
で、他の職種に比べて就職の成功率が高い、就労移行支援に費やした時間
やお金が無駄にならないという意味では、利用してみる価値はあると思い
ます。ちなみに就労移行支援で組まれているプログラムは(ほぼ)事務職
への就職を前提に組まれています。私のように最初から事務職を除外して
いる利用者は施設内の訓練で少々肩身が狭い・・のは事実だと思います。
3.施設利用の自己負担金が0の人
障碍者手帳を所持していて、住民税非課税世帯に区分されていれば、前年
度(もしくは一昨年)の年収が204万円以下なら自己負担0で利用でき
ます(配偶者が高額所得者の場合は別)。私は前回利用した時、この条件
に合致しなかったので負担金でえらい目に合いました。単純にタダで利用
できるのなら利用しない手はないと思います。
4.就職活動の苦労や挫折や愚痴を誰かに聞いて欲しい人
家族や恋人、友人とかに聞いてもらえるなら必要ないと思いますが、なか
なか現実には難しいと思います(苦笑)。支援員や利用者はよっぽど偏屈
な人とか、メンタル不調のどん底にいる人とかでなければ、大抵この手の
話は快く聞いてくれます。勿論、自分の方も相手の愚痴を聞いてあげるの
がルールですが。
5.会社を辞めてから自宅にいるのが耐えられない人
同居する家族との折り合いとかもあるでしょうが、企業の内定をもらうま
では家にいても針のムシロ状態じゃないでしょうか。毎日外出して、一定
時間はその場に拘束されるという場所を与えられるのは、大きなメリット
だと思うのです。社会的な孤立に平気で耐えられるスーパーメンタルな人
には必要ないんですが。
6.就職後に就労定着支援を希望する人
これが就労移行支援を利用して就職することの最大のメリットかもしれま
せん。私はA型事業所で就労しながら今の会社に入社したので、定着支援
を一切利用できませんでした。
(A型事業所が定着支援を全くやらないわけではありませんが、定着支援は
A型事業所の基本業務ではないと考えた方がよいと思います)
就職してからも最大で3年半、障碍者福祉の相談相手がいるということ
は、個人的にはとても大きな安心感につながると思うのです。
7.20代~30代の人
就労移行支援の利用者は(ほとんどどこでも)20代30代の利用者が7
割から8割を占めています。私のような50代のおっさんは希少生物のよ
うな存在です。40代以降の人(特に男性)が利用する場合は、それなり
のジェネレーションギャップは覚悟しといたほうが無難かと思われます。
ちなみに施設の支援員も20代30代の若い人が結構多いですね。
8.自力本願である人
前回の投稿で私自身が周囲の支援者に対して他力本願であったために、
就職活動に失敗したと書きました。今後の自分への戒めも込めて言うと、
支援員の方々は
「優しく愚痴を聞いてくれるだけの人」ぐらいに考えた方がよいと思います。何故なら、就労移行支援の支援員は利用者の就職を成功させるのが義務
(ノルマ)ではないからです。
勿論、就職活動に関して知らないことや分からないことを支援員にどんど
ん聞くのはいいと思います。ただ、一通り知識を集めた後で、さてどう動
くかという決断に関しては、支援員は否定も肯定もしません。あえて言う
なら、たとえ間違った選択であっても支援員は利用者の意思を尊重するか
らです。
私はかつて就労移行支援を利用した一年目にひたすら事務職に応募を繰り
返しました。今から思えば、この一年間の活動は極端に実現可能性が低い
という意味で間違っていたわけです。
しかし支援員の人たちは誰も私に「やり方が間違っているかもしれない」
とは言いませんでした。無関心だったということではなく、利用者の意思
を尊重するからです。たとえ内心では「間違いかもしれない」と思ったと
しても。
支援員は利用者の決断や選択を支援しません。だとしたら自分の社会人と
しての経験とスキルを信じるしかないと思います。それが私の言う自力本
願ということです。今現在、自分のスキルがよく分からないという人は、
就労移行支援を利用するのは慎重になったほうがいいかもしれません。
就労移行支援は自分を探すための場所ではなく、企業を探すための場所だ
と思っています。自己肯定感の低い障碍者が自分探しをするには、就労移
行支援はあまりにも居心地が良すぎるのです。
そして、居心地が良すぎるからこそ、なるべく早くそこから出ていくべき
だというのが、私の実感です。