僕と鉄棒とコロ
なぜか突然逆上がりができてしまった僕。
今まで、なにかが出来た実感がなかった僕は有頂天になった。
「お兄ちゃん、僕、逆上がりができたー」
「え?今ごろ?」
「うん」
「相変わらずドンくさいチビ猿やなぁ~」
と頭を叩いてくる2番目のお兄ちゃん。
「ねぇ、ねぇ、僕、逆上がりができた」
「ふぅ~ん」
と言って筋トレに夢中な1番目のお兄ちゃん。
二人のお兄ちゃんは僕との接し方を知らなすぎる。
「ふん」
僕はコロを連れて公園に向かった。
「カナちゃん・・・」
カナちゃんはスカートを立つ棒に巻き付けクルクルと何回も回っていた。
凄い・・
「あ、おさる!!」
「カナちゃん、そんなのできるん?」
カナちゃんは得意そうに
「うん、おさるはできないん?」
「できる」
年下のカナちゃんには負けたくない!!
クゥン・・
コロ、大丈夫!逆上がりができてしまったから回転もできる。
ドタッ
僕は鉄棒から落ちた。
「あっ・・おさる血が」
僕の眉間から血が流れてきた。
僕はコロを抱きしめ泣いてしまった。
カナちゃんが「おさるのお母さん呼んでくる」といって走って行った。
違う!痛いから泣いてるんじゃない。
カッコイイ男になるつもりがカッコ悪くなったから悔しいんだ。
クゥンクゥン
コロは、わかってくれるよね?
コロだけは僕のことわかってくれるでしょ?
カナちゃんのバカ!!