だって、僕は泳げない
僕は、幼少の頃から喘息を患っていて風邪を引くと喘息を悪化させるからとの理由で病院の先生からプールは禁止とされていた。
だから、泳げない。
正確には、泳げるかわからない。
しかし、僕は田舎に帰ると、そこには海が広がっていた。
僕は、水というのは、お風呂ぐらいしか慣れていないので怖かったけど、興味はあった。
だって、そこの水はキレイだったから。
ジローは、無邪気に水と戯れてる。
何の恐れもなくて羨ましい・・・
家族も楽しそうだ。
「よし、僕も少しくらいなら」
波止場にある岸壁には階段があった。
そこから、階段を下って足くらいつけてやろう!!
僕は、階段の途中でふと水面にいるヤドカリを見つけてしまった。
捕まえよう!!
前かがみで、ヤドカリを掴んだ瞬間に頭から海に落ちた。
服のままだ。
深い・・深すぎる。
沈む僕は、近くにいる兄に助けを求めたけど、兄は事の重大さに気づかず大声で笑っていた。
沈む僕の耳にもはっきり聞こえいた。
あまりの僕の形相に驚いたのか虫取りの網を伸ばして
「おさる!!これに掴まれ!!」
僕は、救助されたが、もうあの世に行ってしまうかと助けられても心臓がバクバク止まらなかった。
もし、僕がそのまま・・・
激しく兄に怒る僕の周りには、見知らぬ大人も駆けつけてくれていて
僕は、兄がいなくても助けられたに違いないと安心した。
このことがあってからも今まで以上に水が怖くなってしまった。
「ジロー、何でお前は僕より成長してんだよっ!!」