僕の初恋?
「おっさるぅ~」
まただ!!
このデカい女は、僕を見つけると毎日後ろから抱き付き僕を容赦なく振り回す。
「やめろよっ!!」
「だまれ!!チビ!」
口が悪いにもほどがある!
もう、あいつからしたら日課になってるようだ。
「うるさい!デカ女!」
さすがにチビと言えど、もう中学生になった。
思春期で・・
「お前ら付き合ってんの?」
「ひゅ~ひゅ~」
ほらな・・・周りも思春期だ。
恥ずかしくて、凄く嫌で「違うわっ!」と叫んだ。
だけど、あいつは平気で他の女子と騒いでた。
僕をおもちゃ扱いで楽しいか?
何で朝から、あいつに見つからないようにサッサと教室に入って椅子に座り背中をガードしなくちゃならないのか。
いつか必ず、あいつよりデカくなって泣くほど振り回してやるからなっ!!
そんなある日、あいつはサッサと転校して行った。
僕にしたら長く鬱陶しい日々だった気がしてたけど、考えたら短い期間だった。
「バイバイ」って僕を最後に振り回しもせず行ってしまった。
「はぁ~やっと平和な日々が来る」
次の日の朝、もしかして・・・
背中に緊張が走って力を入れたけど振り返ってもあいつはいなかった。
当たり前か
でも、次の日も、その次の日も僕は振り返っていた。
「何か気になる・・」
淋しいのか?
僕は、ずっと、あいつのことを考えてた。
あんなに嫌だったのに何でだろう。
いつの間にか好きになってたのかな?
それとも、あいつが僕のこと好きだったのかな?
どっちにしても、もう一回
「おっさるぅ~」って聞きたかった。
つづく