あいつと再会した僕
僕は、病院に向かっていた。
この夏にプールに入る為に先生に確認を取るためだ。
僕の気持ちは決まっていたが一応、先生に聞こう。
いつもように自転車で走っていると向こうから誰かが自転車走ってくるのが見えた。
近くまで来てすれ違いざま
「あっ」
向こうも確かに「あっ」と言った。
すれ違って僕は少しして止まった。
振り返ると、その自転車はフラフラと電柱にぶつかって倒れた。
スピードは出ていなかったけど、無残にも自転車ごとその子も倒れてしまっていた。
あいつだ・・
中学校の頃、引っ越してしまったデカ女。
「大丈夫?」
「いったぁ~」
僕は自転車を起こしてあげた。
「おさる、久しぶり!!」
「やっぱり、お前かぁ」
「最悪!おさるに会ったからコケたんやわ」
相変わらず変わっていない。
しかし、立ち上がった彼女と僕の背はそんなに差は無くなっていた。
あの時は、僕よりもかなりデカい女だったけど、今では同じくらいかな。
僕はニヤリとした。
「何、笑ってるん?」
「いやぁ~久しぶりに見たけど、お前背縮んだ?」
僕はお道化て見せた。
向こうも今気づいたように驚いていた。
「おさる、背が伸びたねぇ~」
「あ、僕が伸びたのかぁ~」
いつか必ずお前がしたように後ろから抱き付いて振り回してやる!!
そう思っていたけど、さすがに無理がある。
「前にもあったっけ?」
「うん」
以前に1度だけ僕たちはここですれ違っていた。
「何でここへ?」
「友達のとこにたまに来てる」
もっと話したかったけど・・
「そう、じゃあまた」
「どこ行くの?」
「病院」
僕は自転車に向かった。
「おさる!!」
「え?」
「ち~び!!」
僕は追いかけた。
はしゃいで逃げる彼女は間違いなく成長し綺麗になっていた。
「元気になってるやん」
「バカ女」
「うるさい、またね」
「おう」
彼女と別れ病院に向かった僕は、やっぱり好きだったのかと考えてた。
僕の顔がニヤけていたからだ。
つづく