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比羅夫滞在記

駅に泊まれる数少ない宿としてよく取り上げられる比羅夫駅。とてもいい宿だったのでnoteに書き記そうと思います!

比羅夫到着

札幌から3回の乗り換えを挟み、普通列車に揺られること約2時間。比羅夫駅に到着です!

列車を降りると炭火のこうばしい香りが

列車を降りると、オーナーさんが炭火を起こして待っていました。
「こんにちは」
「こんにちは。Tomさんですね。」
「はい!お世話になります」
「それじゃ、どうぞこちらへ」
「あ…その前に列車のお見送りをしてもいいですか?w」
「ええどうぞw お構いなく」

そうして写真を撮り終え待合室に入ると、どこか埃っぽい…言ってしまえばよくある無人駅といった印象です。ある点を除けば。
それは木製の家具と扉、そして『駅の宿 ひらふ』の看板です。

普通の無人駅に木の温もりが

無骨なコンクリートとは対照的な木の温もりが、ここを訪れた者を出迎えてくれます。
この家具にも値札が付いていて、どうやら売り物のようです。…とても買えるような値段ではありませんでしたがw

中に入ると…

This is 安心感

中に入ると、あたたかな木の温もりとジブリのオルゴールアレンジが僕たちを包み込みます。
これを一言で著すなら『安心感の権化』です。そこには安心感しかありません。「思わず『ただいま』と言ってしまう」というのも納得できます。『実家のような安心感』という言葉もありますが、人によっては普通に実家超えです。マジでそのレベル。

宿のルールの説明を終えると、私の部屋を案内してくれました。
「18時ごろに夕食の準備ができますので」
そう言ってオーナーさんは1階に戻りました。

(撮影:チェックアウト時)

2段ベッドにストーブと加湿器、そしてテーブル…最低限の設備しかありません。しかし、これが機能美ってヤツですね。これ以上の設備はこの空間には必要ありません。
この2段ベッドも木の温もりを放っていていますが、ちゃんと枕元にコンセントがあって、質素ながらちゃんとサービスが行き届いてます。

ちなみにお部屋の名前は流星(ステラ)。
♪だって僕は星だから〜(重症)

1階に戻って駅舎を撮りに行きました。

比羅夫駅の表側


比羅夫駅のホーム側

大量の薪が積んであること以外は、至って普通の駅舎です。それが中に入るとあんな素敵な空間が広がってる訳ですから、そのギャップ萌え的な魅力もここに人を惹き付けているのでしょう。

晩御飯はバーベキュー!

「お夕飯の準備ができました。ホームに来てください」
そう言われ、私が列車から降り立った時から活躍の機会を待っていたBBQコンロの前へ。すると「お待たせしました〜」と言われ出てきたのは、まさに『北海道プレート』でした。

めちゃくちゃ美味そう

ホタテ・海老・ししゃもといった海鮮類に、小さな2つのソーセージ、沢山のお野菜が目に付きますが、その中に4枚の大きなラム肉が隠れています。

BBQ開始!

早速お野菜とホタテから焼き始めます。
アスパラとシイタケが焼き上がり、美味しく頂きます。食べ終わると、玉ねぎ・かぼちゃより先にホタテが食べ頃の様です。網から取り出すと遠くから踏切の音が。スマホを取り出しそれを撮影すると、網に残された野菜は焦げてしまいました。
とても忙しい!でも楽しい!
ここでしか出来ない、貴重なBBQ体験です。

ここからは素人ですが食レポを。
まずホタテ。噛み締める度に潮の香りが鼻を通ります。ぷりぷりの貝柱や歯ごたえのある貝ひもの食感がとても良かったです。
次にししゃも。子持ちではありませんでしたが(もしかしたらカラフトシシャモじゃなくてガチのししゃもだったかもしれない)、ほろ苦い内蔵としょっぱい身がいい感じでペロリと頂けました。
海老。オーナーさん曰く「しっかり焼けば頭からいけますよ」との事だったので、殻が真っ白になるまで焼いでかぶりつきます。「バリバリッ!」と簡単に噛み砕けました。これもまた身のぷりぷりと殻のバリバリが合わさってとても良い食感でした。とても食べごたえがあります。

いよいよお肉へ。
ソーセージは、小さいながらもとてもジューシーでしっかりと味がついていました。あの見た目ですが、結構食べ応えがありました。
そしてメインのラム肉。率直な感想ですが、食後にネットで調べるまでラム肉だと思っていませんでした。羊特有の臭みは全くなく、正直「牛の味がする豚肉」といった感じです。ソーセージとは真逆にあっさりで、4枚ありましたがペロッと食べちゃいましたw

皆さんお待たせしました。飯テロのお写真です

〆は焼きおにぎりです。オーナーさんが既に焼いてくれていたので、網に転がして焼き直します。焦がし醤油と炭火の香りがとてもこうばしく、既に腹八分目でしたがこの匂いのおかげで腹に収まってしまいました。

…執筆中の筆者もダメージを喰らっております。飯テロは恐ろしい兵器です…

とても素敵な露天風呂

夕飯を食べおえたら、支度をしてお風呂に向かいます。扉を開けると…

脱衣場にも漂う安心感

私はあと何回「木の温もり」と言わなければいけないのでしょうか。この空間も木の温もりで満ちていました。大きな給湯器も、おばあちゃん家のような安心感があります。
服を脱ぎ、いざ露天風呂へ!

扉を開けると…
丸太!?
寝湯やんけ!!

そこには丸太をくり抜いて作られた浴槽がありました。まさかゲストハウスに寝湯があるとは…
湯加減ですが、熱過ぎずぬるすぎないとてもベストな温度でした。肘掛けに腕を置き横になると、ここまでの旅の疲れが一瞬で溶けていきました。思わず「あぁ…」と声が漏れる程ですw
そして浴槽から立ち上がると、ホームと停車目標を見ることができました。たとえこの区間に列車が来なくなっても、露天風呂から停車目標が見える…なんて光景はここに来ないと見ることは出来ないでしょう。
すっかり疲れも取れ、貴重な光景を目に焼き付けた私は自室にむかうのでした。

オーナーさんとの会話集【衝撃事実判明!?】

小さい時からここに泊まるのが夢でそれを叶えられた訳ですから、オーナーさんとは色々と喋りたい事がありました。
ですがその前に!!私にはやらなきゃいけないことがあったのです。
それは私の推し、星街すいせいの歌ってみた動画のプレミアム公開です。最高の環境で最高の歌声が聴ける事を感謝しながら、自室でその時を待ちました。
感想は語りません。皆さんも是非聴いてって下さい(ダイレクト布教)

大満足の状態で1階に降りると、オーナーさんは私達が食べた後のお皿を洗っていました。
お待たせしました。ここからがオーナーさんとの会話集です。
T「今話しても大丈夫ですか?」
オ「ええ、大丈夫ですよ」
T「オーナーさんの言葉が関西弁っぽいなって思ったんですけど…」
オ「そうなんですよねw 元々京都の出身で。」
T「どうしてこちらに?」
オ「北海道が大好きだからですw」
T「なるほどw じゃあこの宿はオーナーさんが始められたわけじゃ…」
オ「そうですね。前のオーナーが9年くらいやってて、それを僕が引き継いで20年くらい経ちますねw」
T「へぇ〜」


T「じゃあ、帽子とか行先みたいな鉄道グッズも前オーナーから?」
オ「いえ、これは僕の時ですね。当時倶知安駅と仲良くさせてもらってたんですけど、駅の人から『これもう使わなくなるんだけど要る?』って言われてw その目名行とかは改札口で使ってたヤツみたいで。今は電光掲示板に変わっちゃってるんでね」
T「へぇ〜w」
オ「だいたい20年前やったかな。当時は色々とルーズだったんで、こうやって貰えたんですよね。自分は鉄道が好きとかじゃないんですけど、来てくれるお客さんはみんな喜んでくれはりますね」
T「(!?!?)そうなんですねw」



はい。なんと、オーナーさんは非鉄でした。
ガチでたまげたw ビックリですよそんなん。じゃあ何が好きなのか?話を続けてみましょう。

T「この漫画はオーナーさんの趣味ですか?個人的には『岳』が置いてあるのがなんか嬉しいですねw 地元の漫画なんで」

オ「ハハw 漫画は僕の趣味ですね。僕山が好きなんですよね。ここの山に登りに来た時に前のオーナーさんと出会ったんで。」T「へぇ〜。そうなんですね」

写真には収めてなかったんですが、駅員の帽子の隣に冬山用のアイゼンが飾ってあったので、それは恐らく現オーナーのものなのでしょう。
最後にこんな会話を。

T「ここって色んなメディアに取り上げられてるじゃないですか」
オ「そうですね。ありがたいことに」
T「小さい時に小学生用のライトノベルでここを知ってから、ここに泊まるのがずっと夢だったんですよね!」
オ「あー。『電車で行こう!』でしたっけ」
T「そうです!それでこの区間が廃線になるって決まったもんだから、『行ける時に来よう!』と思って泊まりに来たんですよね」
オ「そうなんですよね。だから今年は凄い忙しくて。4月はいつもほぼ休みみたいなモンやったんですけど、今年は結構埋まりましたね…」
T「やっぱりみんな善は急げで来るんですかね。とはいえまだ8年あるんですけどねw」
オ「そうなんですよねw でも、廃線前倒しなんて話も出てますし…まぁ身体壊さないように頑張りますわ」
T「ええ、お身体に気をつけて頑張って下さい!!」

そうして私は自室に戻ると、明日に備えて眠りにつくのでした…

旅立ちの時

6:31発の長万部行きに乗るために15分頃に起き、出発の準備をしてホームに出ました。
すると、オーナーさんがお見送りに来てくれました。
T「おはようございます!」
オ「おはようございます」
T「本当にありがとうございました!楽しかったし美味しかったし…」
オ「こちらこそ。そう言って貰えると嬉しいです」

そして別れの時

フォーンと電笛を鳴らし、乗車列車がやってきました。
オーナーさんとこの素晴らしい宿に別れを告げ、『廃線になる前にまた来たい。何なら、廃線になったとしてもいつか…』と心に誓うのでした。

とても素晴らしい宿で、ここでしか味わえない体験がありました。列車が来なくなってもリピーターは来るでしょうが、廃線になる前に是非訪れてはいかがでしょうか。

オマケ(ホロライブタグから来た方はこちらへ)

今回の記事で載せられなかった写真をここに置いておきます。よければ見てって下さいm(_ _)m

ラウンジの様子
現在の運賃表(待合室内)
昔の運賃表(ラウンジ内)
すいちゃんと比羅夫駅
ホロマートのファイルが私の『相棒』です
じゃじゃーん!
にぱー

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