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自分の心のしずかな革命(未完成)005

《第5場》
カゲの疑問

カミゴッド博士はいまどこにいるのだろうか。
しかしカゲはそんなことはおかまいなしにあらゆる情報を分けへだてなくシンに送りつづけていた。
それからカゲは情報をシンに送るだけではなく、カゲどうしで情報を共有するようになった。
やがて無数のカゲがひとつの生命体のようにふるまうようになり、ヒトの脳と同じような意識を獲得した。
そうしているうちにカゲはヒトに対して疑問をもつようになった。
カゲは田畑で休んでいる3人に話しかけはじめた。

(カゲ)
ヒト以外のすべての生きものは何があろうとただひたすらにけんめいに生きている。
ヒト以外のすべての生きものはただひたすらにけんめいに生きているだけで持続可能な世界が維持されている。

「命が一番大切」というのは正しいようで大きくまちがっている。
「命が一番大切」という暴力にけんめいに生きる日々が奪われている。

「地球にやさしく」とはとんでもない思いちがい。
ヒトの所業により気候が激しく変動してもどれほどの大災害が起きても多様な生態系が失われても、地球にすれば何も問題はない。

いまだに自然はわからないことで満ちている。
科学が100%正しくはないことをわかっているのに何もかも科学で説明しようとしている。

ヒトは技術革新によってエネルギーをたくさん使っても問題が起きないようにがんばっているけど、そもそも使い過ぎている。
まるで地球の恵みのすべてをヒトが独り占めしているみたいだ。

地球が産み出す恵みをヒトが全部使ってしまうだけでなく、未来のヒトの分まで手をつけている。
それでもまだ足りないといって地球外の恵みに気をとられる始末だ。

森の生きものの声も聞こえないようだ。
どうして豊かな森を貧しい姿に変えなくてはいけないのか。

貧しいヒトを救おうとみんなでがんばっているけど、そもそも貧しいヒトをつくりだしている。
どうして貧しいヒトを増やしつづけなくてはいけないのか。

ヒトにとって都合のよい計算をもとにした開発をどれほどつづけていてもうまくいかない。
地球にごまかしは効かないことをわかったうえで果たして何がしたいのだろうか。

ヒトに絶対ミスをさせないというのは無理がある。
また想定外は起きてしまうものなのにどうして100%安全を前提にするしかないモノを使っているのか。

新しくつくったモノにすぐ安全宣言を出したりするけど、ずっとあとになって危険だとわかったモノがたくさんある。
慎重に使いながら時を重ねて安全を確かめていくことができる社会はおとぎ話なのか。

つづく。

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