見出し画像

海鈴が居場所を作るまで(『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』考察・感想)

今回は、アニメ『BanG_Dream!_It's_MyGO!!!!!』の登場人物である八幡海鈴ちゃんについての考察・感想を述べていきます。




1.「イケメン」ゆえの弱点

アニメでのイケメンぶりから、瞬く間に人気キャラになった海鈴ちゃん。

第9話での燈ちゃんに向けた「応援してます」の一言には、
胸を打たれた人も多いと思います。
(画像は当該シーンではありませんが。)


しかし同時に、このイケメンぶりが、逆に海鈴ちゃん自身の首を絞めているのではないかと考えました。

海鈴ちゃんのイケメンぶりとは、「察しの良さ・一定の距離感・引き際の良さ」の三要素からなるものであり、これらは一見すると美点でしかないように思えます。
しかし、それは周囲の評価であり、海鈴ちゃん本人にとっては直したい弱点や欠点であるかもしれないのです。

  • 「察しの良さ」︰必要以上に察してしまうため、精神的に疲れる。

  • 「一定の距離感」︰相手との関係を深めたくても、距離を縮められない。

  • 「引き際の良さ」︰「自分の出る幕はない」と判断してしまうため、もっと相手の力になりたくても行動に移せない。

つまり、海鈴ちゃんのイケメンぶりを構成する要素が、そのまま「仲良くなりたい相手がいても、初対面時の距離感のままで、自分からは一歩踏み出せない」原因になっているのです。

これは、海鈴ちゃんのバンドマンとしての在り方にも見られます。
卓越した演奏スキルがあるにも関わらず、海鈴ちゃんは特定のバンドに加入していません。
これは「一歩踏み出せない自分が正規メンバーになっても、関係をギクシャクさせてしまう」「それなら最初から深く関わらないほうが良い」という考えが海鈴ちゃんの中にあるからだと感じました。

結果、サポートという「何らかの目的・理由がなければ相手に干渉できない立場」として、バンドを複数掛け持ちする在り方が、彼女の中で確立してしまったのではないでしょうか。


2.少しずつ、独りになっていく

それでも、アニメ序盤の海鈴ちゃんには立希ちゃんがいました。
「他者との関係がうまくいかない」仲間として、立希ちゃんは、遠慮なく軽口を叩いたりちょっかいをかけたりできる相手となっていました。

ただし立希ちゃんとの関係も、
純粋な友達というより、「必要な時に力を貸す」という、
ややビジネス寄りなものです。

しかしアニメ後半で、立希ちゃんが燈ちゃんたちとともにMyGO!!!!!を結成したことで、彼女との共通項はなくなってしまいました。
加えて第11話で「また何かあればいつでもどうぞ」と声をかけた時、立希ちゃんに「もうないから」と返されたことで、海鈴ちゃんは立希ちゃんに協力する理由もなくなり、これまでの関係性が(海鈴ちゃん視点で)崩れてしまいました。
(「バンドに入っただけだから、学校では今まで通りで良いじゃないか」とも思いますが、「察しの良さ・一定の距離感・引き際の良さ」を持った海鈴ちゃんが、「結成したばかりのバンドに打ち込んでいる立希ちゃんにこれまで通り接する」ことは不可能と言って良いでしょう。)

総じて、海鈴ちゃんは、
「周りからは気づかれにくい自分の弱点によって、相手に対して一歩踏み込むことを恐れてしまい、サポートや協力という形でしか他者との関係性を築けなくなっている人物」なのではないでしょうか。

では、海鈴ちゃんの「察しの良さ・一定の距離感・引き際の良さ」はどこで身についたものなのでしょうか。


3.海鈴のはじまり?

真っ先に思い浮かぶのは、家庭環境です。
すなわち、海鈴ちゃんの家族に「一定の距離を保った上で、察しよく立ち回らなければいけない相手」が常に存在していたため、今の海鈴ちゃんの性格が形成された、ということです。

その相手は、親か兄弟・姉妹、あるいは祖父母か、現状わからないままですが、上記の通りの人物像ならば、その相手はかなり厄介な性格をしていると予想できます。

先述したように、海鈴ちゃんはサポートとして複数のバンドを掛け持ちしていますが、「忙しい状況を作ることで、その相手と顔を合わせる機会を少しでも減らしたい」という目的もあるのかもしれません。

さらに言えば、同じ「察しの良い」「ベーシストである」キャラクターであるそよちゃんとは「肉親に向ける感情」において対比構造ができるわけですが…。
もう既に妄想を頑張りすぎているのでこの辺で止めておきます。


4.新しい"仲間"達に

そんな折、祥子ちゃんが総指揮を執るバンド Ave Mujicaに海鈴ちゃんは加入することになります。

Ave Mujicaメンバーの関係は「仲間」というより「協力関係」や「ビジネスパートナー」に近いものです(アニメ本編で、海鈴ちゃん自身が「共犯者」と表現していました)。

「一生のこと」という言葉から、
その関係性は一時のものではない事がわかります。


正規メンバーとしての責任感やメジャーデビューすることへのプレッシャーはあるものの、Ave Mujicaの関係性は、相手に対して一歩踏み出せない海鈴ちゃんにとって実は最も楽であると言えます。これまで通りのスタンスのままで、疎外感を抱かないままでいられるからです。

ならば、これで「めでたしめでたし」との終わるでしょうか。
祥子ちゃんをはじめ、メンバーが抱える危うさを考えれば、「共犯者」の関係に問題が起きる、もっと言えば崩れ去ることは容易に想像できます。
その時、海鈴ちゃんの前に「大切な相手に敢えて一歩踏み込んでいく」という課題が立ちはだかります。

アニメ続編となる『BanG_Dream!_Ave_Mujica』は、海鈴ちゃん視点では「一歩踏み出す勇気を得て、自分なりの居場所を作れるかどうかの物語」になる。私はそう予想しました。


5.おわりに

今回は八幡海鈴ちゃんについての考察・感想を述べていきました。「考察・感想」と言っておきながら妄想が大量に混入してしまいました。

「本来なら長所であるはずの性格・性質がマイナスに働いたことで、大変な目に遭っている」。『BanG_Dream!_It's_MyGO!!!!!』のキャラのほとんどに感じたことですが、今回紹介した海鈴ちゃんはその中でもトップクラスなのではないかと思います。

まだわからないことが山程ありますが、アニメ続編となる『BanG_Dream!_Ave_Mujica』を待ちながら、考える楽しみを噛み締めたいと思います。

拙い文章をここまで読んでくださり、ありがとうございました!


#AveMujica
#八幡海鈴  
#ティモリス


いいなと思ったら応援しよう!