【メモリーデリート】脚本にしてみた

おはようございます、こんにちは、こんばんは、相沢ひなです。

ご無沙汰しておりますが、またご無沙汰する予定です。
まだ手続きが終わってないのもありますが、新生活が正式に始まってから1ヶ月が経ちました。

そんな今回は私のもう一人の推し…高校時代の演劇部で出逢った方(tameiki氏)についての記事になります。
今はもう書いてませんが、彼は演劇部を引退して以降の学生時代にエブリスタにて短編小説を書いていました。
今回はその中のお気に入りの作品である『メモリーデリート』を演劇の脚本みたいにしてみたら、と言った記事です。

ずっと私の中でやりたかったことです。
もし舞台でやれたらな、とずっと思っていましたが、このご時世に加えて舞台は人もお金も必要なものになります。
今の私達にはそれは難しく叶わぬ夢なので、せめて夢の途中まで出来たらなと思っていたところ、今回、元サイトのエブリスタのURLを貼れば良いよと許可を頂けましたので、もしよろしければ原案もお読み下さい(114ページからの作品です)。

脚本化にするのは初めてですので、仮に舞台人が読んだら、あれ?ってなることもあるかと思いますがお許しください。
ちなみに、エブリスタは当然ながらコピペが不可なので、全部打ちました(笑)。
あと、話重いです、それを本人は狙ったと言っていましたが(笑)。
本当は本人にも加筆訂正をお願いしていたのですが、黒歴史な故、かなりの時間を要するとのことで一度私の方のみで書いたものを載せることにしました。

では、私のコメントはここまでとなります。
いつもの締めの挨拶より下が脚本となりますので、お楽しみいただけたら幸いです。
またね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『メモリーデリート』
原案:tameiki 脚本:相沢ひな

幕開け、舞台には優斗とあかりにピンスポット。
あかり「ねぇ?」
優斗「なんだ?」
あかり「ゆうくんがさ、このドラマみたいに記憶喪失になったらさ・・・・・・」
優斗「物騒なこと言うなよ」
あかり「もしもだよ~。そしたら昔のこともう1回思い出せるかな?」
優斗「わかんねぇな」
あかり「じゃあさ、思い出せなかったらさ。・・・・・・・あたしのことも忘れてるのかな?」
優斗「それはねぇだろ」
あかり「どうして?」
優斗「だってココに刻まれてるからな」
あかり「・・・・・・・心?・・・・・・・くすっ、ふふふふ・・・・・・・」
優斗「わ、笑うなよ」
あかり「ってことは記憶喪失でもあたしのことは好きなんだね?」
優斗「当たり前だろ。何があったって、俺はお前をずっと好きでいる」
あかり「もう・・・・・・照れる」
優斗「じゃあさ・・・・・・」

暗転。
人込みのざわつきの音。
車の衝突音と同時に赤のホリゾンをカットイン。
救急車のサイレンをフェードイン、照明音響共にフェードアウトで暗転。

明転。
病室、ベッドには頭に包帯を巻いた女性(あかり)。
離れた場所で男2人(優斗、誠治)、近くにソファー。
男2人にスポット。
優斗「大丈夫なんだな!?」
誠治「耳元で叫ぶなよ、優斗。何回も大丈夫だと言ってるだろう」
優斗「だって・・・・・・分かってるだろ!?」
誠治「ああ・・・・・・恋人の心配をするお前のことはよく分かったからさ。」
優斗ソファーに座り込む。
誠治「だが、頭を打ってるから目を覚まさな・・・・・・やめろ!迫るな!近いわ!命は大丈夫だと言ってるだろ!」
優斗「あ・・・・・・ああ・・・・・・・」
誠治「ふぅ・・・・・・それじゃあ、見舞いに行ってやってくれ。目が覚めた時病院のベットに一人きりというのは寂しいもんだ・・・・・・・って病院の中走るなよ!」
優斗、扉を開けると同時に台詞
優斗「あかりっ!・・・・・・・よかった、元気そうだな」
あかり「えっと・・・・・・・」
優斗「どうした?・・・・・・・ん?どっか痛いのか?」
優斗、あかりに手を伸ばすも、あかりがその手を払いのける。
あかり「(小さい声かつ声を震わせながら)あなたは・・・・・・一体あたしの何なのですか?」
優斗「な・・・・・・・に言ってるんだよ・・・・・・」
あかり「ごめんなさい・・・・・・傷つけてしまったようですね・・・・・・」
優斗「えっと・・・・・・俺だよ?優斗だ。あかりの・・・・・・・・・お前の・・・・・・・恋人だよ」
あかり、首を傾げる。
あかり「恋人?あたしには彼氏はいません・・・・・・あれ・・・・・・?」
優斗「何?」
あかり「・・・・・・何?何なのこれ?」
あかり、何なの?と繰り返し呟く。
優斗、あかりの肩を激しく揺する。
優斗「おいっ!あかり!?どうしたんだよっ!」
あかり「あの、大丈夫です。大丈夫ですから(手をどかす)」
優斗、あかりを見て驚いた表情をするが首を横に振ってあかりの名前を繰り返し呼ぶ。
誠治、病室に入ってきて、優斗を宥める。
静かになる。
誠治「とりあえず記憶喪失だっていうのは確定として、何をどこまで忘れてるのか調べてみるか」
優斗「そんなに簡単にわかるものなのか?」
誠治「目安くらいはな。高校時代の友人で助かった」
誠治、あかりの側に座る。
誠治「あなたは今社会人なんだけど、会社の名前は分かる?」
あかり「分からないです」
誠治「自分の出身の学校は分かる?」
あかり「・・・・・・・中学までなら」
誠治「高校と大学は分からない?」
あかり「はい、思い出せないです」
誠治、少し間を置いて、ズボンのポケットから手帳、そこに挟まれていたプリクラをあかりに見せる。
誠治「実は私とこの男性とあなたは高校の同級生で一緒にプリクラを撮るくらい仲が良かったんです。これに見覚えは?」
優斗、え?お前そんなの持ってたの?と言わんばかりに誠治を見る。
あかり「ないです。初めて見ました」
誠治「そうですか」
誠治、プリクラをしまって、優斗に目配せをして、2人で病室を出る。

誠治「簡単な質問しかしてないからはっきりとは言えないが、恐らくあかりは高校から現在までの記憶をなくしている。だからそれ以前に会ったことがなかった俺のことやお前のこと、それから高校の時に撮ったプリクラに見覚えが無かったんだろう」
優斗「記憶は戻るのか?」
誠治「正直さっぱり分からない。詳しそうな先生に色々聞いてみるが」
優斗「あれとかどうなんだ?刺激を与えると記憶が戻るとかいうやつ。俺が高校とか大学に連れて行くのは?」
誠治「だから、分からん。決して専門じゃないしな・・・・・・」
優斗「(呟くように)なぁ?何であかりは記憶を無くしてしまったんだ?」
誠治「お前しつこいぞ。分からないと言っているだろう。・・・・・・ただ」
優斗「ただ?」
誠治「事故以外にも何か理由があってそれが事故と偶然に重なってああなってしまった可能性は高い。それは精神的な理由である可能性は高いのかもしれん」
優斗「精神的・・・・・・最近のあかりに変わった様子は無いし、何かに悩んでいると言った雰囲気も無いと思った」
誠治「お前が精神の負担になってたんだったらお前のことだけ忘れるんじゃないか?・・・・・・優斗」
優斗「なんだ?」
誠治「病院暮らしってな。暇だし心細いんだ。だからお見舞いに来てどんどんあかりと話してやってくれ。本当にそうなのかは分らんが記憶にも良いかもしれん」
優斗「当たり前だろ!」
暗転。
優斗服装チェンジ。

明転。
優斗病室の前にいる。
優斗「あかり、来たぞ」
あかり「優斗さん?良いですよ、入って」
優斗「お邪魔する・・・・・・なんだ、誠治もいたのか」
誠治「なんだとはなんだ。俺は友人の見舞いに来ていただけだ」
優斗「お前はこの病院の医者だろ!仕事しろ!」
誠治「まったく」
誠治、嬉しくなさそうな顔をしながら扉に向かって歩くが、あかりの方を向く。
誠治「何かされそうになったらナースコールでも使ってくださいね」
優斗「何かとはなんだ!」
誠治「さぁーね・・・・・・・少なくとも言えるのはお前らは男女だよ」
優斗、思いっきり立ち上がる。
誠治、優斗の立ち上がりと同時に出ていく。
あかり「優斗さん、今日も来てくれたんですね」
優斗「ああ。友達だからな」

音声のみ
誠治「優斗、記憶喪失だと分かった以上、念の為の方法ではあるが、あかりに対しては友達だと言っとけ」

あかり「ごめんなさい」
優斗「なんでだよ。俺はあかりが記憶を取り戻してくれればいいなと思って来てるんだから」
あかり「でもお仕事とかも・・・・・・・」
優斗「いいのいいの」
優斗、鞄からレモンティーを取り出してあかりに渡す。
あかり「いつもありがとうです」
優斗「いいや。ところで、何で優斗さんって名前で呼んでくれるんだ?」
あかり「こっちのほうが違和感が無いので」
優斗「そっか。昨日はどこまで話したっけ?」
あかり「えっと、2年の文化祭の準備まで」
優斗「よし、じゃあ当日の話だな。」
BGMをフェードイン。
優斗とあかりは無音で話す。
照明は徐々に夕方の色に変えていき、色が変わりきったところでBGMフェードアウト。
優斗「ってわけでなその時、俺とあかりはメロン味にしたんだが、誠治のやつはメロンとイチゴとブルーハワイと練乳と納豆とお好み焼きソースの全部混ぜを食ってな、変な顔しながらうえーっとか言いながら食ってたよ」
あかり「混ぜたら美味しい物ってありますけどそれは駄目ですね。でも高校生ってなんだか学生らしいバカなことやりますよね。その店もどうして納豆とか置いてあったんでしょうね?」
優斗「ほんとバカだよな」
優斗とあかり、声を出して笑う。
優斗「そのあと一回誠治と別れて俺とあかりでお化け屋敷に入ったんだよな。これが意外と本格的で顔に赤い絵の具を塗ったお化けが出たときあかりがぎゃーっ!とか言いながら俺にしがみついてきたんだよな」
あかり「な、なんですかそれ~!私が忘れてるからって適当に言ってるんじゃないですか?」
優斗「あのぎゃーっ!は正直女を捨ててたね」
あかり「ひ、ヒドイです・・・・・・・」
優斗「出た後もしばらく怖がって歩いててちょっと他の人に肩が当たっただけで、うひゃあっ!ごめんなさい!ごめんなさい!って本気で謝ってたからな」
あかり「私そんなに怖がりなはずがありません!」
優斗「本当に?」
あかり「本当です!」
優斗「記憶がないのにどうして怖いものが大丈夫ってわかるのさ?」
あかり「う・・・・・・・」
優斗「でしょう?」
あかり「そのことでからかうのは卑怯です。気にしているのに・・・・・・・」
あかり、頬を膨らませてそっぽを向く。
優斗「からかって悪かった。許してくれ」
あかり「・・・・・・・」
優斗「記憶のことが辛いのにそれをからかうようなこと言ったのは悪かった」
あかり「分かってますか?」
優斗「分かってる」
あかり「なら良いです。あんまり意地を張るのも大人げないですしね」
あかり、優斗の方に向き直る。
あかり「続きを聞かせてください(笑いながら)」
優斗「そのあとはそれぞれクラスの店番したりとかだったからな。話すことが無いな。・・・・・・・そうだ!後夜祭の話か。体育館で暑い中、軽音部の演奏を聴きながら、また3人で駄弁ったりしてたんだよな。その後は外でキャンプファイヤーの中で踊ったんだよ」
あかり「今話してるの高校2年の文化祭ですよね?」
優斗「そうだよ。楽しかったなぁ」
あかり「キャンプファイヤーをやったのって3年生の時だけですよ。受験勉強しないとやばいって言ってた誠治さんを引っ張って行ったの覚えてますもん」
優斗「そうだったな。あいつ医学部希望だったからめっちゃ勉強してたな・・・・・・・え?今あかり覚えてるって言ったのか?あかり後夜祭のこと覚えてるのか!?」
あかり「はい。私が誠治さんとダンスしたんです」
優斗「楽しそうに言っているが、あれはダンスというか・・・・・・・あかりが俺と政治を引っ張り回してただけ・・・・・・・ってそうじゃなくて!」
優斗、深呼吸を1回してあかりを見る。
優斗「記憶が戻ったのか・・・・・・?」
あかり「はい、文化祭のことはほとんど思い出しました・・・・・・・けど・・・・・・・」
優斗「何だ?」
あかり「私、お化け屋敷に入った記憶が無いです。本当です」
優斗、困惑した表情を浮かべて、暗転。
優斗、服装チェンジ。


優斗にピンスポット。
優斗「文化祭の話をして以来あかりは一気に記憶を取り戻していった。だがその記憶には明らかに俺が欠けていた。もちろん全くいないわけではなかった。俺とあかりの2人の思い出と呼べるものが明らかに少なかった。0ではないがほとんどなかった。あかりはまるで俺と恋人であるという事実をかき消すような記憶喪失になっていた。他のことは次々に思い出しているのに・・・・・・・とやたらに俺は焦っていた」
明転
あかり「あの・・・・・・・優斗さん」
優斗「ん?何か思い出したのか?」
あかり「あの・・・・・・・誠治さんのことなんですけど」
優斗「誠治?あいつがどうかしたのか?」
あかり「誠治さんってなんで医者をやってるんですかね?」
優斗「・・・・・・・知らんな。今度聞いてみるか」
あかり「なんだか普段はボケっとした感じなんですけど、患者さんにはすごく親切に対応してるみたいで、病院内の評判がすごく良いんですよね」
優斗「信じられん。あいつは高校の時、俺と一緒にひたすらバカなことしてたぞ。勉強が出来たのは事実だが」
あかり「そうだったんですか」
優斗「覚えてない?」
あかり「そうだったかもって感じです」
優斗「(独り言として)俺以外のことも思い出せてないことはまだあったようだな」
あかり「結局私は後何を忘れてるんでしょう?何か胸がもやもやして居心地が悪いです」
優斗「それを思い出せればきっとすっきり元の生活に戻れるよ」
優斗にピンスポット
優斗「このとき俺ははっきり言いたかった。あかりが忘れてるのは俺との記憶だって。でも言えなかった。あかりから俺のことが好きだということが消えているのを聞くのが怖かった。だから俺のことどう思ってる?ということも聞こうと思いながらずっと聞けていなかった」
暗転。
優斗、服装チェンジ。

明転。
優斗、病室に入ろうとする。
誠治、同じタイミングで病室から出ようとする。
優斗「お前またサボってたのか?」
誠治「違うから。友達と話すという大人になった今では貴重になった時間を過ごしていたんだ」
優斗「サボってたんだな」
誠治「そんなことはない」
優斗「サボ・・・・・・・」
誠治「そんなことはないって」
誠治、病室から出る。
優斗「あかり」
あかり「あ・・・・・・・こんにちは優斗さん」
優斗、レモンティーを渡して、椅子に腰かける。
あかり「優斗さん」
優斗「ん?」
あかり「誠治さんって本当はどんな女性が好みなんでしょうね?」
優斗「え?そういえば・・・・・・・あいつには浮いた話を聞いたことないな」
あかり「昔からの友達の優斗さんならわかるかと思って」
優斗「何でまたそんなこと聞くんだ?」
あかり「私誠治さんのこと好きになりました。告白したけどちょっとだけ待ってくれと言われました」
優斗にピンスポット。
優斗「この日は大学生の時の話でもしようかと思っていた。俺があかりをどれだけ好きかという話になりそうで照れくさかったが話そうと思っていた。俺はあかりに好きだと言い、あかりは俺に好きだと言ってくれていた。だから、こんな言葉を聞くことになるなんて思っていなかった。」
暗転。

明転。
誠治「ん?優斗か。どうした?」
優斗「あかりに告白されたのか?・・・・・・・告白を断ったって?」
誠治「断ってない。ちょっとだけ待ってもらっただけだ」
誠治、スマホを見て文章を打ち、スマホを置く。
誠治「でも、もういい。あかりの告白を受けようと思う」
優斗「あかりは俺の彼女だ」
誠治「そうだったかもしれない。でも今は違う。俺があかりの彼氏になる。あかりは俺の彼女になる」
優斗、それを聞いて誠治を殴る。
誠治、優斗を殴り返す。
誠治「俺を殴って解決するのかよ!お前の彼女になるのか!?あかりは確かにあかりだが、あの病室にいるあかりはお前の頭の中にいるあかりとは違う。別人だ。あのあかりはお前を好きだということを忘れた」
優斗「好きだということを忘れるのかよ!」
誠治「愛の力で記憶が戻ると思ってたのか?そんなわけあるか。好きだという感情だって記憶に基づいている。好きだという感情を喚起する記憶がなきゃ好きにはなれないんだよ」
誠治、椅子に座る。
誠治「俺にも彼女がいた。でもさっき振った。メールで嫌だと戻ってきたけど。お前よりずっと前から好きで忘れられない人がいるって返した。今のやつのことだ」
優斗「ひでぇな」
誠治「向こうから告られたから付き合ったけど、けじめくらいはつけようと思ってな。俺は正真正銘あかりがずっと好きだったんだ。忘れられなかったんだ」
優斗にピンスポット
優斗「こんなことを聞いたのは初めてだった。そんな素振りを見せたことなんて一度も無かった」
ピンスポット解除。
誠治「そういえばお前、あかりに何言ったんだよ?」
優斗「何言った?・・・・・・・昔の話をしたくらいだが」
誠治「ふぅ・・・・・・あかりはお前に対して申し訳ないと言っていたぞ」
優斗「申し訳ない?」
誠治「あかりはお前がどうしても自分に昔の事を思い出して欲しいように思えたみたいだ。重荷になってたみたいだぞ?」
優斗「重荷?確かに昔のことを思い出して欲しいとは思ってた。けど別に強制とかじゃなくて・・・・・・・俺はあかりに元の通りに戻って欲しかったんだ」
誠治「それは重荷なんだよ。あかりは今の自分が暗に否定されてると思ったんだ。記憶を失ってる自分は必要ないと。だからあかりは辛かったんだ」
誠治、立ち上がって優斗の正面に立つ
誠治「俺はあかりが好きだ。記憶を失ってようがあかりの優しさとかおもいやり・・・・・・・求めてくれてる人のために辛くても記憶を必死に戻そうとしてるとことかかな。そういうのが好きだ。だから言った。今から作れば良いじゃないか、記憶なんて。あかりはあかりとして生きてる。思い出に頼らなくても今から優斗に聞かされたような楽しい思い出作れば良いじゃないかって」
優斗にピンスポット(誠治、途中でいなくなる)
優斗「俺は・・・・・・・そんなこと言ってなかった。あかりにあの楽しい記憶を戻して欲しくてひたすら昔のことを語っていた。思い出して欲しかった。あかりが苦しんでることも知らず思い出すことが良いんだと思いひたすらやっていた。それが重いとこの時初めて思い知らされた。自分を信じて疑って無かった。つまり自分しか見えていなかった。俺の彼女であるあかりしか見ていなくて、この時のあかりをどこかで否定していた。」
優斗、膝から崩れ落ちる、ピンスポットを絞る形で暗転。

明転。
あかりと誠治、病室で楽しそうに話す。
優斗、病室のドアを開ける。
優斗「よう、あかり」
あかり「優斗さん、ずっと毎日来てたのにどうしてしばらく来なかったんですか?」
優斗「ちょっと仕事がな」
あかり「優斗さんの昔話楽しみにしてたのに」
優斗「そうか、それは悪かった」
誠治、仕事がある旨を言ってから病室を出る。
優斗、ピンスポット
優斗「俺は誠治に殴られた日から数日病院に来れていなかった。とてもじゃないが無理だった。あの時より前だったら嬉しいセリフもこの時にはもう社交辞令のようなものだとしか思えなくなっていた」
ピンスポット解除。
優斗「誠治と付き合うことになったのか?」
あかり「・・・・・・・はい」
優斗「いいやつだからな、昔から」
あかり「はい。・・・・・・・あ、優斗さんがそうじゃないとかはぜんぜ・・・・・・・」
優斗「気にするな。あいつならあかりの昔のこともよく知ってるしちょうどいいだろ」
あかり「・・・・・・・そうですね」
優斗「大切にしてもらえよ。あと、気を付けろよ。いいやつだが遊び人な一面もあるからな」
あかり「はい、ありがとうございます、優斗さん」
あかりと優斗、沈黙。
優斗、沈黙に耐えられず立ち上がる。
あかり「?今日は帰るんですか?」
優斗「仕事がな・・・・・・・」
あかり「・・・・・・・そうですか」
優斗「またな」
あかり「・・・・・・・優斗さんっ」
優斗「何だ?」
あかり「何で私にこんなに会いに来てくれてたんですか?」
優斗「ともだ・・・・・・・そうだな。親友だったからってことにしておいてくれ」

優斗とあかりに最初と同じ場所のピンスポット
BGMカットイン
優斗「・・・・・・・お前が記憶喪失になってもさ、俺のこと・・・・・・・」
あかり「うん」
優斗「好きでいてくれるかな?」
あかり「当たり前だよ。だって、ここに刻まれてるからね。(一拍置いて)ゆうくんのこと永遠に愛してるって」
BGM、音量アップ
あかりと優斗、向かい合って笑顔を向ける

終わり