「日本の未来」から「ワークライフバランス」に思うこと2
※この記事は2019年05月30日に弊社ブログで公開したものを再投稿したものです。
「日本の未来」から「ワークライフバランス」に思うこと1の続きです。
自社の話しではなく、今度は日本の未来からワークライフバランスを考えてみましょう。
私が最近知った&聞いた現状を少し。
●超優秀な大卒者は日本企業に就職しない。
どこに行くか?というと台湾・中国企業だそうです。初任給年収1000万円越えで就職するそうです。台湾・中国企業からは「1000万円で超優秀な日本人を雇えるのはとても安い」ですって。
●日本に来ている外国人はほとんどが優秀
発展途上国から日本に留学しに来た外国人。超優秀な人か、超お金持ちの人しか来ていません。あと、だまされて借金背負わされて来た方々(残念)。が、日本でのアルバイト先は居酒屋、コンビニ、肉体労働が中心です。この外国人の皆さんが持っている本当の実力を活かしていません。単に作業者・労働力・道具としか見ていない職場が多い。
ちょっと脱線しますが、先日、あるステーキレストランに行った時。アルバイトの(多分)ベトナム人2人と日本人店長の3人(しか気づかなかった)が働いていました。店長のベトナム人留学生に対する物言いがとても引っ掛かりました。日本語が完ぺきではないので、コミュニケーションが取れていないのです。店長はそれを「わからないやつだな」と思いながら接しているのが伝わってきて、お客としている私でさえ、いやな気持になっていました。
そこへ(多分)アメリカ人の集団が8人くらいやってきました。夫婦と小学生くらいの子供2人の家族、カップル3組、みたいな感じです。そのアメリカ人(多分)の方々の注文を流暢な英語で対応するベトナム人スタッフ。スタッフもお客様、子供たちも笑い声をあげとても楽しげな注文と雑談をしつつオーダーを終えました。私の興味は店長です(笑)。そのやり取りの現場から少し離れたところで、何もせずじーっと眺めていましたが、その表情は悲しげ、悔しさと不安が入り混じったような表情です。この後、どうなったのか?は店を出てしまったのでわかりませんが、また元の店長と元のベトナム人(多分)スタッフの関係に戻るのでしょう。
この(多分)ベトナム人スタッフたちは大学卒業後、この会社に正社員を希望することはないでしょう。
さて、日本に中小企業は380万社あります。兼務もありますが、380万人近くの社長がいます。
経営者になるのは、親の会社を継いだ人、勤めていた会社を継いだ人、自分で起業した人しかいません。
経営者には労働基準法は適用されません。労働時間や休日出勤残業代など一切関係ありません。すべて自己責任です。大学を卒業してすぐに経営者やフリーランスになった人は別として、ほとんどの経営者は労働基準法で守られたアルバイトや・社員を経験して経営者になったはずです。
がしかし、残業も休日出勤もせず、有給も全部消化し、労働基準法を完全に守りながら経営者で成功(経営の維持)をしている経営者を私は知りません。
かく言う私も今でいえば「ブラック企業」のサラリーマンでした。
でも、ちょっと違うのは「会社に命令されてやらされていた」訳ではなく「自ら望んでいた」のです。会社の目標・夢の共有をちゃんとしていたので自己実現のために自ら望んでいた!という方が正しいです。そのおかげで会社からは普通では体験できないような経験や役割を与えていただいて、20歳代中盤から経営幹部のすぐ脇で重要な現場にも同席させてもらえました。明らかに幹部へと育てよう!という役員の意識が伝わってきていました。それはそれは今の経営にものすごく役に立っています。今の価値観でブラック企業であっても、私はそこで働き、経験させていただいた事へとても感謝しています。
そこで、30年後、50年後の未来の日本を考えていくと…。
簡単に言えば、不安です。今の労働基準法の中で法律に守られて仕事している若者が、果たして起業に向かうのだろうか?その機会を学べる職場がどのくらいあるのだろうか?日本にイノベーションを起こせる経営者が生まれるのだろうか?という疑問です。
ブラック企業だった弊社が、急にホワイト企業を目指した4,5年前。
理念を掲げ、社会に役立つ会社を目指し、その前に労働環境の整備を!と思い「残業禁止!休日出勤禁止」と私が言い始めた半年後くらいの実話です。
一部の社員から「残業禁止はつらいです。会社を良くし、社会を良くしたいのに残業ができないなんて苦しいです!」と言われました。私はかなりのショックを受けました。が、すぐに自分の過去を思い出し、労働時間の削減はゆっくりやろう!ということになり「週1回のNO残業DAY」に変更しました。それから3年で、NO残業の仕組みは実現できましたが…。
若者が志が決まり、ワクワクしながら働いているとき、多分労働基準法が邪魔します。当事者である社員さんの意思とは関係ないところで、会社は法律を守る必要があります。
その意味で「日本のために起業し、社会に貢献したい!そのために若いうちに多くの経験を積みたい!」という人たちの欲望を、今のワークライフバランスに当てはめ、「私にとってのワークライフバランスは週80時間労働なんです!」は通用しない不利な現状です。
この人たちの欲望を満たせる環境の整備も含め、検討しないと30年後、50年後の日本がどうなっているのか?不安が残ります。
弊社に何ができるだろうか?考えねばなりません。
頭が疲れるほど考えて行動したい社員さんを募集しています。
2019/6/11 追記
「心底失望した」伊藤忠元会長・丹羽宇一郎(80)が、政府の「働き方改革」を徹底批判! –文藝春秋特選記事(元記事)