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2029年問題と「情報I」

こんにちは!LIFULL senior 技術広報チームです。
突然ですが、みなさんは「2029年問題」についてご存知ですか?

2025年問題 / 2040年問題

西暦の桁上がりが古いソフトウェアの誤作動を引き起こす「2000年問題」を筆頭に、さまざまな「20xx年問題」が取り上げられるようになりました。
まずはとりわけわたしたち「LIFULL 介護」に関係が深い「2025年問題」と「2040年問題」について触れたいと思います。

「2025年問題」は、日本人口の1/5が後期高齢者(75歳以上)になることを指します。
「団塊の世代」(1947〜1949年生まれ)が75歳以上となり、医療・介護などの負担が大きくなっていくでしょう。

「2040年問題」は、日本人口の1/3以上が高齢者(65歳以上)になることを指します。
団塊世代の子どもたちである「団塊ジュニア」(1970〜1974年生まれ)が65歳以上になることで、深刻な労働力不足が懸念されています。

先進諸国における少子高齢化の先駆けとなる「超高齢社会(65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めている社会)」において、エイジテック・カンパニーであるわたしたちが解決しなくてはならない課題は、もうすぐそこまできているのです。


2029年問題

一方で、「2029年問題」は「2025年・2040年問題」とはある意味真逆のテーマです。

2022年に高校入学した生徒たちが、大学を卒業して社会人になる最初の年、それが2029年です。
では、2022年に高校では何が起きたのでしょうか?


「情報I」必修化

2022年度、学習指導要領が改定されました。
さまざまな変更の中で一番インパクトあったのが、2003年より選択科目として設置されていた「情報」を「情報I」と「情報II」に再編し、「情報I」を必修科目としたことです(「情報II」は選択科目)

さらに、2025年度からは大学入学共通テストにも「情報」が出題される予定です。


「問題」ではない

情報についての教育を受け、高いリテラシーを身につけた若い人が仕事の現場に入ってくるのは、社会にとって喜ばしいことであり「問題」と呼ぶようなものではありません。

もし問題だとしたら、すでに働いているわたしたち先輩がもつ情報についての知識やリテラシーが、彼らに及ばないことを指すのでしょう。


LIFULL seniorの新卒社員たち

LIFULL seniorでは2019年から総合職として新卒社員を採用しています。

毎年ビジョンに共感した、とても優秀な仲間が集まってくれています。
特に仕事に取り組む熱意と身につける速度には目を見張るものがあり、研修を終えて配属されるとすぐに、先輩たちを追い越さんばかりの成果を出しているメンバーも多いです。

研修の様子や配属後の活躍は、以下の記事を読むとおわかりいただけるのではないでしょうか。


「情報I」の教科書を読んでみた

そんな優秀な新卒社員になるであろう高校生が受ける「情報I」とはどんな教科なのか?
気になったので、実際に高校生が使っているのと同じものを、全国教科書供給協会に行って購入してきました。


買ったのは日本文教出版の教科書「情報I」です。
さっそく読んでみて、その内容に驚きました。

第1章 : 情報社会の問題解決

情報リテラシーからロジカルシンキング、さらにアプリケーションソフト(ワープロ・スライド・表計算)の実習など。
全体として実用的な、企業の新卒研修のような内容でした。


第2章 : コミュニケーションと情報デザイン

デジタルならではのコミュニケーションの特性、画像や音声の符号化、HTML / CSS / JavaScriptの実習など。
コンピュータやインターネットに限定しない「情報デザイン」についても取り上げられて、そこからアクセシビリティやユーザビリティにも触れています。


第3章 : コンピュータとプログラミング

コンピュータサイエンスの初歩的な内容、アルゴリズム、プログラミングの初歩(Python)、さらにはモデル化とシミュレーションなど。
コンピュータを使った問題解決の実際の手法です。
実際にコードを書く実習もあり、ここをきちんと理解した生徒は基本情報技術者試験ぐらい合格してしまうのでは?というレベルに感じました。


第4章 : 情報通信ネットワークとデータの活用

インターネットの基本的な仕組み、暗号化と認証技術、データベース、データ分析など。
統計的手法によるデータ分析の基本的な内容は、社会に出て仕事をするためにとても重要なスキルです。


全体を通じて

エンジニアであるわたしが、仕事をする上で何が必要かを模索し、仕事の合間をぬって取得したような知識や能力が、高校生のうちに身につけられるという事実にとても驚きました。
必修科目ということは、彼らにとってあたりまえの基準になってしまうわけですから、先輩たちはうかうかしていられません。
あたりまえの基準に満たない先輩たちが、彼らの仕事に邪魔な存在になってしまうとしたら…それこそ「2029年問題」ですね。

またこの教科書は、著者の一人として村井純先生が名前を連ねています。
「日本のインターネットの父」とも呼ばれる先生の教科書で高校生が勉強するなんて、古くからインターネットを使っていた身としては感慨深い気持ちです。

ちなみに、社長の泉にこの話をしたところ「そんなにすごいの?」とびっくりし、その日のうちに教科書を購入していました。


LIFULL seniorと2029年問題

LIFULL seniorにも、もうすぐこの教科書で学んだ新卒が入ってくることになります。
それでなくても優秀な彼らが、こんなレベルの高い「情報I」を学んでいるなんて、想像するだけでワクワクします。
それと同時に、自分自身が「2029年問題」にならないよう、自分をアップデートしていかなくてはならないな、といった気持ちにもなりました。

「2025年問題」や「2040年問題」にはじまる超高齢社会は深刻な問題だらけですが、若い人たちの活躍できっと解決に向かっていくはずです。
LIFULL seniorをその活躍にふさわしい場所にしていくのが、先輩であるわたしたちの重要な役割なのでしょう。