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組織変更とチームビルディングを行いました

こんにちは!株式会社LIFULL senior 技術広報チームです。

「LIFULL 介護」の開発は、エンジニア・デザイナー・ディレクターが協働して進めています。
2024年4月、さらに生産性とサービス価値を向上させるために組織変更を行いました。それまでは別々だった各職種をチームとして統合し、「プロダクト開発ユニット」という組織で新たなスタートを切ったのです。

それぞれの職種が同じチーム・同じマネジメントのもとプロダクト開発に取り組むことで、それぞれが担当しているプロジェクトの外に視野を広げ、「LIFULL 介護」というプロダクト全体を見渡しながら仕事をしていけるようになるのが目的です。
また、それぞれの職種がどんな仕事をし、どんな制約があるのかを知ることで、効率よく課題を解決していくために全体最適で動けるようになることも期待しています。

そのためには、まずはお互いとその仕事を知る必要があります。LIFULL seniorには「チームビルディング」という制度があるので、これをプロダクト開発ユニットのキックオフとして活用してみました。


「チームビルディング」という制度について

LIFULL seniorにおけるチームビルディングは、組織を単なる「集団(人の集まり)」で終わらせずに、成果を上げるを『チーム』に組成、強化するための手段として活用されています。
成果を上げるチームとは、「共通の目的やビジョン、目標達成に向けて協調することで、相乗効果を生む集合体」を指します。
毎年各部署ごとに予算がつき、ビジョン共有のためのワークショップや、相互理解のための懇親会などを開催しています。


プロダクト開発ユニットのチームビルディング

プロダクト開発ユニットのチームビルディングはグループ会社で使えるセミナールームを予約し、ユニットの全員がまる1日かけて参加しました。
チーム力向上のための投資として、普段の業務を完全にストップして集中する時間が確保できたのは、チームビルディングという制度があればこそでした。

前半は「レトロスペクティブ」、後半は「ワールドカフェ」という構成で実施しました。
レトロスペクティブではそれぞれの職種が感じている課題を言語化し、ワールドカフェではそれを解決していくためにどんなチームになればよいのか?というディスカッションを行いました。


レトロスペクティブ

「レトロスペクティブ」とは「ふりかえり」のことで、アジャイルソフトウェア開発においてよく行われるプラクティスです。書籍「アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック」では、以下のように定義されています。

ふりかえりは、チーム全員で立ち止まり、チームがより良いやり方を見つけるために話し合いをして、チームの行動を少しずつ変えていく活動です。

アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセット

より詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

レトロスペクティブにはひとつの決まったやり方が存在するわけではありません。KPT(Keep / Problem / Try)、YWT(やった / わかった / 次にやる)、Fun! Done! Learn!など、さまざまな手法が試されています。
今回は書籍「アート・オブ・アジャイル・デベロップメント」で紹介されているメソッドで行いました。

  1. ノーム・カースの最優先事項

    • 「全員がベストを尽くしたことを疑わない」という誓約

      • ※下準備として心理的安全性についてのセミナーを開催しました

  2. ブレインストーミング

    • 「楽しいこと」「イライラすること」「悩ましいこと」「このまま」「増やす」「減らす」のそれぞれにあてはまることを付箋に書く

    • 書いたら読み上げながらホワイトボードに貼る

  3. ミュートマッピング

    • 関連する付箋どうしを近くに移動しグループ化する

    • 全員で黙って行う

    • カテゴリに分類してタイトルをつける

    • どのカテゴリに注力するか投票する

これによって、ユニットみんなの関心事や課題感が可視化されました。
このメソッドでは投票で選出されたカテゴリ以外の付箋は捨ててしまうのですが、お互いの付箋を見ることで相互理解と課題感の共有を進めるという狙いもあります。

投票で選ばれたのは「プロダクトの価値」というとても大きなカテゴリでした。午後はこのテーマについてディスカッションを行います。

ちなみに、このコンテキストで使うときは「振り返り」ではなく意図的にひらがなで「ふりかえり」とすることが慣習になっています。理由に興味のある方はこちらをご一読ください。


ワールドカフェ

「ワールドカフェ」は、その名の通りカフェのようなリラックスした雰囲気の中で、テーマに集中したディスカッションができるプラクティスです。
少人数でのディスカッションをテーブル単位で行い、参加者が複数のテーブルを行き来することで、少人数で対話のしやすい場作りと、みんなの意見や知識に広く接するという両方のメリットを実現します。

テーマを決めたら、以下のような流れで行います。

  1. テーブルとホストの設定

    • 数人が会話できる大きさのテーブルを設置する

    • テーブルにはホストを1名決める

      • ホストはテーブル間を移動せず、そのテーブルのファシリテーションと意見や知識のシェアを担当する

  2. テーブルへの移動

    • ホスト以外の参加者は以前ついたテーブルとは別のテーブルにつく

    • ホストは新しい参加者に前のラウンドでどんなディスカッションがあったかを話す

  3. ラウンド(1回のディスカッション)

    • 「トーキングオブジェクト」を持った人が話してよい

      • ぬいぐるみやお手玉など手触りのいいもの

      • 話したい人はテーブルからとりあげて話す

      • 話し終えたらテーブルに戻す

      • 話して欲しい人に手渡してもよい

    • 予定した時間が経過したらラウンド終了

      • ファシリテーターがタイムキーピングする

今回はこの手法を使い、4テーブル x 4ラウンドのディスカションを行いました。最初の2ラウンドは課題についての検討、3ラウンド目で解決の方法を考え、4ラウンド目でそのために明日からできるアクションを決めてもらいました。

どのテーブルも課題についての解像度が高まり、具体的なアクションを決めることができました。集中して話す時間を通じてお互いの人となりはもちろん、仕事に対してのスタンスや課題感の相互理解も深まりました。


参加したメンバーの感想

名和さん(エンジニア)
ブレインストーミングでは、「業務改善」というテーマでも、職種や部署によって考える内容や意識に結構な差があるのだと気づきました。
より働きやすく、アジリティのある環境にするためには、この意識の差をすり合わせることが重要だと思います。
一方でその後のワールドカフェでは、議論の進め方にはテーブルごとに差異があるものの、結論としては似通ったものが出力されており、具体的な課題感についてはメンバー間で共通の認識があるようでした。
意識の差を埋めるステップとして、この課題感を足がかりにするのがよいと感じます。

小林さん(ディレクター)
前半のブレストでは、普段なかなか聞く機会がない思いや考えていることなどを知ることができて面白かったです。
後半のワールドカフェではホストの立場でしたが、前のラウンドで出てきた課題に対して、次のラウンドでさらに深ぼったり新しいアイデアが生まれたりと、 職種を跨いで話せたことで様々な視点からの考えに触れられて学びになりました。
業務ではPJTの方針や施策についてチーム内で相談する機会があるため、みなさんとコミュニケーションを取る際にはこの日の気づきを活かせたらと思いました。

竹田さん(デザイナー)
異なる職種のメンバーが一緒にいるからこそ、様々な視点の考えが出て、新しいアイデアにつながっていく。そんな、瞬間を体験することができました。
ふりかえりの中では、「運動不足」のメンバーがたくさんいるという由々しき事態も発覚しつつ、最終的には、「サービスの価値を高める」という本質的な課題に収束していきました。
そういった本質的なことを、一緒に考えていけるメンバーがいることに感謝しつつ、これからもビジョン実現に向けてチャレンジしていきたいです!

大田さん(編集)
プロダクト周りのメンバーは、共有MTGで顔を合わせることは多くても、サイトの課題や未来についてざっくりと話す機会があまりなかったので、この機会で皆さんの考えを聞くことができたのが何よりの収穫だったと思いました。
ワールドカフェ形式は初めてで、ファシリテーターの役をやったのですが、座るメンバーによって全く空気も進め方も違うテーブルになり、普段味わえない緊張感が面白かったです。
こうした話し合いは定期的にやりたいですね!


チームビルディングを終えて

チームビルディングの時間を通じて全員で考え、話し合い、具体的なアクションプランという成果物まで到達することができ、とてもよいキックオフでした。
今回ディスカッションのテーマとなった「プロダクトの価値」を高めていくためのタスクに取り組むために、チームビルディングで行った経験はきっと役に立つはずです。
また、結成したばかりのチームにとってなにか成果物を残すことは、最初の成功体験としても重要です。

とはいえチームはまだまだ走り出したばかりです。
エンジニア・デザイナー・ディレクターという職種の枠に閉じこもることなく、プロダクトの価値を継続的に高めていくためのチャレンジが日々続いています。