YAPC::Hakodate 2024に参加してきた
2024年10月5日、北海道の函館で開催された「YAPC::Hakodate 2024」に参加してきました。
YAPCとは
YAPCとはなんでしょうか?公式サイトから引用してみましょう。
比較的歴史の長い技術カンファレンスで、2006年から「YAPC::Asia」として開催されていました。
2016年から日本各地で開催されるようになり、コロナ禍での中断を経て昨年から現地開催が復活しています。
今年は2月の「YAPC::Hiroshima 2024」に続いて2度目の開催です。
元々はPerlというプログラミング言語についてのカンファレンスとして始まり、今ではPerl以外にもさまざまな技術について話されています。
前夜祭
今回は20の発表枠に対して150以上のプロポーザルが集まり、高い競争率となりました(わたしも応募しましたが不採択でした)
前夜祭では、その中から選抜したいくつかのセッションを聴くことができました。
どれも素晴らしい内容で、これでも不採択で前夜祭に回るなら、本編はどんなセッションが聴けるんだろう、と期待が高まるばかりでした。
特によかったセッションをひとつ紹介します。
ガバメントクラウド開発と変化と成長する組織 by 長野雅広
「ガバメントクラウド」は、政府共通のクラウドサービスの利用環境です。デジタル庁が規定した環境で、要件を満たすことでガバメントクラウドに利用できるサービスとして登録されます。
世界的に使われている三大パブリッククラウド(AWS、Azure、GCP)が登録済みで、国内事業者としては唯一「さくらのクラウド」が2023年に条件つきで登録されています。
国内事業者として取り組む意義、チャレンジの難しさ、そしてチームを強くしていくための施策。
いずれも胸を打たれる内容でした。
LIFULL 介護でもインフラとしてAWSを利用していますが、さくらのクラウドが乗り換えの選択肢になる未来が楽しみです。
雰囲気
会場は本編とは異なり、函館市民会館の小ホールでした。
ステージと客席の距離が近く、食事や飲み物(地元のビール含む)も提供され、リラックスした雰囲気でした。
ひさしぶりに会うエンジニアと同窓会のような会話ができるのも、地方で開催されるカンファレンスならではの楽しみです。
本編
一夜明けての本編は、公立はこだて未来大学で開催されました。大学の講堂と教室を使って、3トラックのマルチセッションで進みます。
本編からもいくつかセッションを紹介します。
今日から始める大規模言語モデルのプロダクト活用 by 松本 勇気
大規模言語モデル(LLM)はどんどん進化しているけど、実際にプロダクトにどう活用できるのか?について、ずっと考え試し続けた結果見えてきたものを発表してくれるという、カンファレンスならではのセッションでした。
LLMの性能はどんどん向上し、価格は下がり続ける。
これは、コンピューターの性能と値段が変化してきた流れと同じように感じます。
今LLMでやるには精度が低かったり価格が高すぎたりすることが、来年にはあたりまえのことになっているのでしょう。
エンジニアとしては取り残されずについていきたいものです。
「こういうのはじゃぶじゃぶ使うのが大事です」というフレーズが印象的でした。
チャレンジすると決めたらケチらず使い倒すことが大事なのは、そういえばクラウドインフラのときと同じです。
螺旋を描いて変化していく技術の世界において、大きなゲームチェンジャーがもう現場のすぐ近くに来ているのを感じました。
クレジットカードを製造する技術 by Yuta Horii
普段なにげなく使っているクレジットカードを「作る」といった発想がなかったので、そこにエンジニアとして取り組んでいることに感銘を受けました。
カード番号や磁気カード、ICチップやカードリーダーなどにもそれぞれの事情に則った仕様があるそうです。
それらを読み解きながら実装していくのは、まさしくエンジニアリングなのだなあ、と思わされました。
なにより、「知らなかったことを知る」という知的好奇心がとても刺激されるセッションでした。
そういえば8月に開催されたbuiderscon 2024でも、スマートバンクのエンジニアの方が本人認証システムを自作した話をされていて、そちらも大変面白かったのを思い出しました。
雰囲気
はこだて未来大学は、たくさんの緑に囲まれた素晴らしい環境にあります。
雨の前夜祭から一転、好天に恵まれ、ランチブレイクの時間にはキッチンカーで提供されたランチを食べたり広い芝生広場を歩いたりと、10月の函館の気持ちよさを満喫できました。
プログラムのラストはLT(Lightning Talks : 5分間の短いセッションを続けて行う)とキーノートが行われ、どちらもとても楽しく聴きました。
本編のセッションとは違う面白さで、カンファレンスならではの大事なお楽しみです。
懇親会は函館駅前のホテルで開催されました。
飲食もおしゃべりも楽しいのですが、スピーカーにセッションの感想を伝えたり質問したりできる機会でもあります。
今回は函館未来大学から離れた会場にチャーターしたバスでまとめて移動したので、参加者のほとんどが参加していたのではないでしょうか。
そのおかげか、新しい知り合いが増えるといった楽しみもありました。
函館いいところだった
翌日は1日フリーにしたので、朝市で海鮮丼を食べ、函館山に登り、クラフトビールを飲み、お土産を買って…と、函館を満喫しました。
わたしは東京在住なので、カンファレンスで地方に行くたびに「ここに住みたいなあ」などと考えてしまいます。
函館も素晴らしいところだったので、またひとつ移住の候補地が増えてしまいました。
LIFULL seniorとYAPC
本編の会場にはスポンサーブースがたくさん設置され、各社さまざまに自社をPRしていました。
特にセッションスピーカーが在籍している企業だと、本人がブースにいるとより盛り上がるものです。
今回わたしはプライベートでの参加だったのですが、LIFULL seniorでもエンジニアが登壇したり、スポンサーブースを出したり、ということに今後チャレンジしていきたいです。
登壇やスポンサーは、楽しいカンファレンスを一緒に作っていくことでもあります。
わたしたちLIFULL seniorもその一員としてコミュニティに貢献していけるよう、これからも頑張っていこうと思います。